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軽飛行機
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軽飛行機(けいひこうき)とは小型の飛行機を指す非公式なカテゴリーのひとつ。公式ないし明確な定義があるわけではないが、概ね自重1,500kg以下、レシプロ単発、プロペラ推進、発動機出力300hp以下、乗員8名程度以下の固定翼飛行機で、遊覧・移動・写真撮影などを目的とし、飛ぶこと以外の特別な装備を持たないものを指す。

アメリカの航空業界では最大離陸重量が12500ポンド (5,670 kg)以下の航空機を「Light aircraft」と分類している[1]。
概要
国際民間航空機関の航空機分類にある「軽航空機」は気球や飛行船などの空気より軽い航空機を、超軽量動力機は非常に軽量かつ簡単な構造の機体を有する動力付の航空機を指し、軽飛行機とは異なる。
軽飛行機でも業務としての輸送、ビジネス、曲技飛行、農薬散布などの目的を持ち、そのための設計が行われている場合はそれぞれ輸送機(軽輸送機)、ビジネス機、曲技機、農業機などと呼ばれ、軽飛行機とは言わないのが普通である。また、軽飛行機は軍用に用いられることもあるが、その場合も「連絡機」「観測機」「練習機」等、その目的に沿った呼び方が行われるが、マスコミであっても外形的な印象から「軽飛行機」と記述することがある[2][3]。
エンジンはライカミング・エンジンズやコンチネンタル・モータースの製品が主流であるが、近年では複合材料により機体を軽量化することで100馬力以下の低出力だが軽量なエンジンを搭載した機体もある(テクナム P2008など)。
完成品だけでなくユーザー自らが機体を組み立てることを前提とし、設計図と部品のリスト(専用部品は付くこともある)を販売する組み立てキット(ホームビルト機)も多い。
長年セスナ、ビーチクラフト、パイパー・エアクラフトのビッグスリー[4]にムーニー社(Mooney International Corporation)が続くという状態であったが、近年では新興メーカーのダイヤモンド・エアクラフト・インダストリーズ[5]とシーラス・エアクラフト[6]のシェアが伸びている。
フランスやアメリカなど超軽量動力機の規制が緩い国の市場向けにFk14 PolarisやCZAW SportCruiserのように軽飛行機と遜色ない機体も開発されている。近年では軽飛行機の中でも性能を限定することで低価格を実現したLight-sport aircraft(LSA)と呼ばれるカテゴリーが登場しており、アメリカでは自家用操縦士よりも簡単に取得できるLSA限定資格(sport pilot)も創設された。
高出力の電動機やリチウムイオン電池、小型のジェットエンジンなどが安価に生産されるようになったことで、軽飛行機並みの運動性能を備えたモーターグライダーも登場している。
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代表的な軽飛行機
→詳細は「生産量の多い航空機」を参照
アメリカ合衆国
- セスナ 172シリーズ
- 単発高翼。高翼式のため安定性・下部視界が良好で練習や遊覧に広く使用されている。1956年の製造開始から1985年の製造中断までに35,000機以上生産され、「セスナ機」が軽飛行機の代名詞ともなる原因を作った。1996年には製造が再開され、2014年時点で45,000機に達している。同社の150/152や182も共に23000機以上が生産されるベストセラー機となっている。
- パイパー PA-28シリーズ
- 単発低翼。普及型の軽飛行機。セスナ 172に対抗するためドアを1つにするなどの割り切った設計で性能を落とさず低価格を実現し、各型合わせて32000機以上が生産された。同社のパイパー カブも20000機以上が生産されている。
- ビーチクラフト ボナンザシリーズ
- 単発低翼。初期型のボナンザ35はV字型の尾翼が特徴だった。現在のA36は通常形式の尾翼に改められている。やや高級なクラスであるが航空大学校などのプロパイロットの養成機関で一括採用されたこともあり、17000機以上が生産されている。
- ムーニー M20シリーズ
- 単発低翼。低コスト生産により価格を抑えながら速度性能を追求することで個人向けスポーツ機として人気を博し、1955年のデリバリー開始から事業を停止する2008年までに11000機以上が生産された。2014年の会社の再建により生産が再開され、最新モデルのM20Vは軽飛行機では最速クラスとなる448km/hを発揮する。
- シーラス SRシリーズ
- 単発低翼。SR20、SR22。充実した装備によりパイロットスクールやエアタクシーなど法人向けやプライベート機としての需要が高まり、2013年には年間デリバリー機数がセスナの軽飛行機(172, 182, 206, TTxの合計)を抜き、次世代のベストセラー機としての地位を確立しつつある[6]。デリバリーは1999年からだが既に6500機以上が生産されている。
- ダイヤモンド DAシリーズ
- 単発低翼。DA20、DA40。1991年からデリバリーを開始。充実した装備によりシーラスのSRシリーズと同じくパイロットスクール向けやプライベート機として人気が高まっている[7]。
ドイツ
- グロプ・エアクラフト・G 115
- 単発低翼。複合材料を多用し軽量化と強度の確保を両立している。ヨーロッパを中心に軍民で練習機として使われているが、曲技飛行も可能なためアマチュアの曲技飛行士にも人気が高い。
フランス
イタリア
日本
- SUBARU FA-200 エアロスバル
- 単発低翼。戦後に開発された日本製の代表的な軽飛行機で、曲技飛行にも対応しており個人向けのスポーツ機や練習機として利用された。旧中島飛行機の流れを汲む富士重工業(現・SUBARU)の製品ということで当初「隼」という名前も候補に上がったが結局「エアロスバル」という名前になった。
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ギャラリー
- パイパー・チェロキー
- ビーチ・ボナンザ
- ムーニー M20
- シーラス SR20
- ダイヤモンド DA20
- TB9 タンピコ
- テクナム P2008
- FA-200 エアロスバル
軍用機
かつては弾着観測や連絡飛行に多用されたが、それらの任務の大半はヘリコプターに移っている。また初等・基本練習機としての用途でも、軍用機の発動機がターボプロップやターボジェットおよびターボファン主流になるなかで、レシプロエンジンよりも強力なターボプロップエンジンを装備した運動性の高いものに変わってきている[8]。そのため、今日では軽飛行機は軍用の主力機として用いられることは多くない。例外として、軽飛行機をベースに武装を施した軽攻撃機がCOIN機(Counter Insurgency) として対ゲリラ・対テロ作戦などに使用される事がある。
- セスナ L-19 / O-1 / T-41(アメリカ)

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類似する小型機
軽輸送機
農業機
- 大面積の畑に農薬や肥料を散布するための機体。超低空を低速で飛行するため、安定性や操縦者の視界確保のため操縦席が盛り上がっている。また十分な設備のない農場での使用を想定し、STOL性能や不整地での離着陸に耐える降着装置なども重視される。農薬が機内に入らないよう与圧構造とすることが多い。グラマン・アグキャットやエア・トラクター AT-400など。
スポーツ機/曲技機
超軽量ジェット機
- 機長一人での運行が可能で乗客が4-8人の単発ジェット機。ビジネスジェットよりも運行経費も小さく、エアタクシーや個人向けの高級プライベート機として需要が伸びている。エクリプス・アヴィエーションのエクリプス 500、シーラス・エアクラフトのVision Jetなど。
ミニジェット機
- 主として個人のユーザーを前提とした、スポーツ用のジェット機。超軽量ジェット機よりも小型であり、多くは単座もしくは複座で、軍用のジェット練習機に近似したスタイルを持つ事が多い。安全性や経済性の問題から実用化に至ったケースは少ない。バイパージェット(アメリカ)、ATGジャベリン(アメリカ/イスラエル、中止)、SIPA S-200(フランス)など。
ギャラリー
- 農薬散布中のエアトラクターAT402
- エアレース機、ジブコ エッジ540V
- シーラス Vision Jet
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脚注
資料
関連項目
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