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逆受動態
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逆受動態(ぎゃくじゅどうたい、antipassive voice)とは、能動態と異なる特別な形式を持つ有標な態の一つである。能動態の他動詞の主語は逆受動態の主語となり、能動態の他動詞の目的語は逆受動態の斜格語となるか、あるいは表現されない。[1]:146,[2]。
受動態と逆受動態
受動態は、逆受動態と対称的な構造を持っている。受動態は能動態と異なる有標な態の一つで、能動態の他動詞の目的語は受動態の主語となり、能動態の他動詞の主語は受動態の斜格語となるか、あるいは表現されない。
逆受動態の意味と機能
逆受動態の重要な機能の一つは、他動詞の主語を自動詞の主語に変えることである。能格言語では、絶対格項(自動詞の主語と他動詞の目的語)だけが統語プロセスの対象となることがよくある。たとえばチュクチ語では、絶対格項だけが関係節化できる。したがって、他動詞の主語は絶対格項でないので関係節化できない。しかし、逆受動態にすることで他動詞の主語は自動詞の主語となり、絶対格項となるので関係節化が可能になる。
逆受動態と能格性
逆受動態が能格言語に特有の現象であるか否かについては見解が分かれている。R・M・W・ディクソン[3]は逆受動態と能格性の関連を主張している。
マリア・ポリンスキー[2]は、194言語の調査から、以下のように逆受動態が格組織のアラインメントタイプにかかわらず見られることを示した。
名称
Antipassive という名称は1968年にマイケル・シルバースティーンによって造られた[1][* 1]。これとは別に、1969年にはウィリアム・ヤコブセンが agentive という呼び方で同じ現象についての発表を行なっている[1][* 2]。
例
アイヌ語
アイヌ語には、目的語不定人称接辞のi=と同源の逆受動態接辞i-がある[5]。アイヌ語は動詞の項の数(アリティー)について厳密な言語で、この接辞は項を一個減らす(埋める)ことができ、即ち他動詞を自動詞に変えることができる。
以上の例文のように、アイヌ語の逆受動態は、形態上接辞を挿入し、統語上動詞の項を埋め、意味上目的語をぼやして「なにかを」を表すという機能がある。そのため、婉曲的に省略することも多く、例えばkuは「飲む」ことであるが、ikuは多くの場合特別に「酒を飲む」ことを指す。
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注釈
出典
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