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継続審議
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継続審議(けいぞくしんぎ)とは、会期制を採用している議会において会期中に議決されなかった案件を次の会期で引き続き審議すること。日本の国会の委員会のように「審議」でなく、「審査」の用語を用いる場合は「継続審査」と表現される。以下本稿では日本の国会・地方議会を例に述べる。
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概説
要約
視点
会期不継続の原則のもと、会期中に議決されなかった案件は(一部の例外を除き)廃案となる。しかし、会期終了前に継続審議(日本の国会の場合は「閉会中審査」)を議決すれば、会期終了後も廃案とならず、次の会期でも審議・審査が継続となる。
日本の国会の場合、単に「次の国会(後会)への継続を認める議決」といった制度はなく、あくまで「今の国会の終了後つまり閉会中に継続して委員会で審査を行う」という議決の制度があるのみで、その閉会中審査の対象として認められた案件のうち「議案」及び「懲罰事犯の件」が国会法第68条の規定により(結果として自動的に)後会で再び審議・審査の対象となる(継続する)という2段階の形式をとっているため、ある国会(前会)と後会の間には実際に審査を行ったかどうかにかかわらず「閉会中状態」となるための日数(最低1日)が必要となる。仮に、前会の最終日の翌日に後会が続けて召集された場合(間に閉会中の日がない場合)は、閉会中という状態を経ないため、前会で成立しなかった議案及び懲罰事犯の件は後会に継続せず原則としてすべて廃案となる。1日以上の「国会会期でない日」が間にあれば、仮にその「会期でない日」の期間中に一度も当該委員会の閉会中審査が行われなくとも、「閉会中という期間を経た」との要件を満たすため[1]、その議案及び懲罰事犯の件は廃案とならず後会に継続されることになる。
国会法における審議・審査・調査等の対象区分では、大区分として「案件」があり、その細目として「議案」、「請願」、「国政に関する調査」、「懲罰事犯の件」[2]等がある。法文上、第47条第2項の閉会中審査の対象は「議院の議決で特に付託された案件(懲罰事犯の件を含む。)」となっているため、本会議での事前の議決さえあればあらゆる案件を閉会中に審査することが可能となってはいるが、そのうち第68条により自動的に「後会への継続」の対象とされるのは「議案」及び「懲罰事犯の件」に限られている[3]ため、たとえばそれに含まれない「国政に関する調査」や「請願」は「案件の一種」として閉会中審査の段階までは存続しそこで何らかの議了・採択に至れば後会の冒頭で提出される報告内容に記録として残るが、閉会中審査を尽くしても議了・採択に至らなかった場合は後会召集と同時に廃案となるなど、厳密には「閉会中審査」と「継続審査」の語義・対象には差異が存在する。
地方公共団体の議会(都道府県議会)においても、地方自治法に基づき、閉会中審査の制度が定められている。
法定継続案件
次の案件については、閉会中審査の議決なしに、後会に継続することが国会法で規定されている(前述の空白期間なしの連続召集の場合でも廃案とならずに継続する)。
- 全ての「憲法改正原案」(国会法第102条の9第2項適用): 憲法審査会そのものが会期中・閉会中を問わず開会できることとされているため、会期の区切りにかかわりなく、自動的に後会に継続する(下記「後議院での継続審査」の節に記載のいわゆる先議・後議の「リセット」の適用は受ける)。
- 特定の条件に該当する「懲罰事犯の件」(国会法第121条の2第1項・第2項適用): 事犯の発生が会期の終盤2日間(最終日又はその前日)であって閉会中審査の議決に至らなかったもの(懲罰委員会で議了したが本会議上程中に会期が終了し議院としての結論に至らなかったものを含む)については、閉会中審査自体をすることはできないが次会の召集3日以内に委員会に付託し、又は動議に付することができる。自動的な継続でなく、3日以内に(再)付託が可能という規定である(付託がなければ廃案)。この条件に該当しない(会期最終日の前々日以前の)「懲罰事犯の件」は、閉会中審査の議決を要する。
なお、閉会中の期間は、本会議を開くことのできる狭義の「会期そのもの」には該当しないが、完全に会期から独立した空白期間というわけではなく、閉会中審査・調査等を行った場合の区分等の必要もあり、広義には直前の会期に属するものとして扱われる。懲罰事犯の件の閉会中審査は、「その会期中に生じた事犯」に限られるため、継続審査による「懲罰事犯の件の延命」は最大1回に限られる(閉会中審査手続なしに特例的に次会で付託された懲罰事犯の件の場合は当該「次会」の前の会期に生じた事犯であるため、次の閉会中審査の対象とすることはできない)。
慣例・先例による廃案
閉会中審査手続を経て継続審査となっている案件であっても、大型選挙を経て議院の構成が変化する場合は、廃案となる慣例となっている。具体的には、衆議院議員総選挙を経た場合は両院すべての継続案件が、参議院議員通常選挙を経た場合は参議院の継続案件が、それぞれ廃案となる(参議院に関しては例外もある[4])。後者の場合、衆議院の継続案件は存続するが、これには単に衆議院先議で継続となっているものだけでなく、参議院先議で可決・送付され衆議院で継続となっているものも含まれる(一度参議院の議決が関与している案件ではあるが現に存在する場所が衆議院であるため廃案の影響が及ばない)。
国会法の整備に伴う経緯
- 1947年5月3日 - 日本国憲法とともに国会法施行。閉会中審査の制度はこの当初から設けられていたため、会期終了直後の閉会中の審査は可能であったが、後会には継続しなかった(このときの表現は第47条各項が「事件」、第68条が「案件」)。
- 1948年7月5日 - 国会法の一部改正施行により、閉会中審査の事件は(自動的に)後会に継続する扱いとなった(帝国議会時代の議院法第25条及び第35条と同様の状態に復した)。また、後述の「後議院での継続審査」により議決された議案については、その有効性を明確に認める条項はこの時点では整備されなかったが、解釈運用により(後の整備以降時代と同様に)先議・後議のリセットを要するものの存続するものとして扱われた。
- 1950年3月18日 - 国会法の一部改正施行により、第47条各項の表現が「事件」から「案件」に改められ、一方で第68条ただし書では「議案」となり、法文上の閉会中審査の対象が限定された(「議案」でないものは閉会中審査には付せるが後会には継続しない)。また、後議院での継続審査後の議決議案の存続有効性を認める条項が整備された(第83条の4。ただし、2007年8月7日施行の改正により同条は第83条の5に繰り下げられた)。
- 1958年6月10日 - 国会法の一部改正施行により、懲罰事犯の件が新たに閉会中審査の対象に含められ、かつ、後会への継続対象にも含められた。ただし、複数回にわたって閉会中審査の議決をする(3つ以上の会期にわたって継続する)ことが可能な「議案」と異なり、懲罰事犯の件を閉会中審査に付せるのは1回のみ(継続できるのは最長2つの会期まで)とされた。
- 2007年8月7日 - 国会法の一部改正施行により、憲法改正原案が自動的な後会継続対象案件に加えられた(ただし、実際の適用は2010年5月18日以降)。
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後議院での継続審査
要約
視点
先議院で可決され後議院に送付された議案(国会法第83条第1項)については、同一会期中(延長を含む)に可決された場合はそこで成立し(国会法第83条第2項)、修正議決された場合は先議院に回付され(国会法第83条第3項)、その同意を求める手続に入る(国会法第83条第4項)。一方、後議院においてその会期中に議決に至ることができず閉会中審査となり後会(直後の後会のみに限らない)に継続して可決(修正議決を含む)した場合は、そこでその議案が成立(修正議決の場合は先議院に回付)するのではなく、国会法第83条の5に定められた特則により、再度先議院に当該議案を送付しそこでの可決(事実上の再可決)を経てようやく成立となる。
つまり、ある議案が後議院で継続審査となった場合は、記録上先議院・後議院それぞれの審議経過・順序が消えるわけではないが、あたかも後議院が新・先議院となり、先議院が新・後議院となったかのような手順が求められることになる(したがって後議院からの議案の再移転には「回付」や「返付」ではなく本来は最初の移転にしか使わない「送付」の語を正式なものとして用いるが、口頭では事実上の表現として「再送付」「再び送付」なども使われる)。この場合、先議院(新・後議院)での審議・審査は事実上の再審議・審査となるため、後議院で新たに提起された問題点以外の、議案の趣旨説明・重複質疑等は省略して早期の採決をする例が多い。
このように、会期不継続の原則の中で特例的に認められている「閉会中審査・継続審査による議案の延命」は万能の措置ではない。他院と連続して審議しなければならない議案は、先議院の可決と後議院の議決(可決・修正議決・否決のいずれをも含む)が同一会期内に行われることが成立等の要件となり、前述のとおりそれを逃した場合はいわば先議・後議の関係のリセットが求められることになる。この「リセット」の回数に法的な制限はなく、同一議案につき、後議院で継続審議を経て可決した後、その「送付」を受けた先議院(新・後議院)でも継続審議を経て可決したためそこが新・新・先議院となり、もう一度、後議院(新・新・後議院)へ「送付」するという、いわゆる「再送付」が2回行われた実例も存在する。
いわゆる再送付の対象となった議案
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
- 議場での委員長報告には、同委員会の理事(主に筆頭理事)による代理を含む。
- 会期終了に伴う議案の審査未了・廃案の日付は、会期終了日当日を記載した。
- 第26回国会閣法第130号及び同第152号は、衆議院の修正において法案の題名中「中小企業団体法」の部分が「中小企業団体の組織に関する法律」となったが、国会審議での議案件名としては最後まで当初のものが使用された。
後議院で継続審査を経て否決された議案
- 議案番号は衆議院方式で記載(参議院方式の場合は「閣法第」はそのまま、「衆法第」及び「参法第」がそれぞれ「衆第」及び「参第」となる。)
- 後議院での継続審査を経た議案で、審査未了(衆院解散及び参院改選に伴うものを含む)により廃案となったものは多数あるが、否決により廃案となったのはこの3例のみである。
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脚注
関連項目
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