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2025年ロシア無人機のポーランド侵犯
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2025年9月9日午後11:30(CEST)頃[4]、ロシアから発射された19[5]から23機[6]の無人航空機がポーランドの領空に侵入した。侵入を受けてQRAが発動し、ポーランド空軍および他のNATO加盟国によるスクランブルが行われ[7][4][8]、主にオランダ空軍によって少なくとも8機の無人機が撃墜されたと主張された[2]。ポーランドのドナルド・トゥスク首相は無人機によって「直接的な危機に晒された」と語り、無人機が撃墜されたと述べた[5]。ロシアの無人機がポーランド領空を飛行中、ワルシャワ・ショパン空港、ワルシャワ・モドリン空港、ジェシュフ=ヤションカ空港、ルブリン空港上空が封鎖された[9][10]。
![]() | このページ名「2025年ロシア無人機のポーランド侵犯」は暫定的なものです。(2025年9月) |
侵入の直後、ポーランド政府は北大西洋条約第4条を発動し[5]、ラドスワフ・シコルスキ副首相は「我々はポーランド領土のみならず、NATOおよびEU領土に対する前例なき事態に対処している」と語った[11]。事件後、ロシアとベラルーシはロシアのウクライナ侵攻勃発後最大規模となる合同軍事演習に踏み切った[12]。
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侵入と防衛
ポーランドの新聞『ジェチュポスポリタ』紙はロシアの無人機が23機だったと主張している[1]。ベラルーシ経由でポーランドに侵入した[13]。侵入前、ベラルーシはポーランドおよびリトアニアに対し、ウクライナ領内で電磁波攻撃を受けた無人機がベラルーシ領内を通過していると警告していた[14][15]。
複数のNATO加盟国がポーランド軍のF-16と共に無人機撃墜作戦に参加した。この中にはオランダ軍のF-35、イタリア軍の早期警戒管制機、ベルギー軍のエアバス A330 MRTT空中給油機が含まれる[16]。ドイツ軍のパトリオット地対空ミサイルシステムは高度警戒下に置かれ[17][18]、無人機の航路を追跡した[19]。撃墜された無人機の多くはオランダ軍のF-35に攻撃されたものだった[1][20]。最後の撃墜は中央ヨーロッパ夏時間06:45におきた[21]。ロシアによるウクライナ全面侵攻以降、ポーランドを含むNATO加盟国にとって領空上でロシア軍機を追跡・撃墜したのはこれが初めてのことであった[22][23]。
無人機とその残骸はポーランド東部国境付近(ビハフカ・チェチャ、チェシニキ、チョスヌフカ、クシヴォヴィエジバ=コロニャ、ヴィエルキ・ワン、ヴォヒニ、ヴィハレフ、ヴィリキ=ヴォラ、ザブウォチェ=コロニャ、ラビャニ付近)、ポーランド南東部の複数地点(チジュフ、スミクフ、ソブトカ)およびポーランド中央部・ムニシクフおよびノヴェ・ミャスト・ナト・ピリツォン付近の平野[21]、ポーランド北部のオレシノで見つかった[24][25][26]。無人機のうち1機はルブリン県ヴィリキ=ヴォラの住宅に衝突し、屋根を破壊した[27]。
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分析

侵入した無人機のうち少なくとも複数機はゲルベラであった[28]。他はポリスチレン製だった。ルブリンの地方検察庁は、修復された無人機は武器や爆薬を装備していなかったと説明しており、「おとり」だったと述べている[29]。BBC Verifyに引用された2人の専門家(英国王立防衛安全保障研究所のジャスティン・ブロンク(Justin Bronk)およびリスク・情報会社Sibyllineのジャスティン・クランプ(Justin Crump))は「侵攻の規模から、ほぼ確実にロシアによる意図的な行動であったことが示唆される」と述べている[28]。
9月9–10日の侵入を受け、『ジェチュポスポリタ』紙は予算不足によって国防省によるポーランド国内での対無人機システム「SkyCTRL」整備が18か月も延期されており、システムが効果的に無効化されたと述べた。同紙は国防省が必要な資金を獲得できるよう期待すると述べたが、実施には数か月を要するとした[1]。
2025年9月12日時点で、17機の無人機残骸が特定されている。マルチン・プシダッツ外務大統領補佐官は21機の無人機がポーランド国境を越えて侵入したと述べた[30]。
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反応
ポーランド – ドナルド・トゥスク首相は北大西洋条約第4条の発動を要請した[31]。
ロシア - ロシアのアンドレイ・オルダシュ(Andrey Ordash)駐ポーランド代理公使は侵入に対する非難は事実無根だと述べた[32]。
ベラルーシ - 誤侵入したとされる無人機を捕捉した[33]。パーヴェル・ムラヴェイコ参謀総長は、ベラルーシがポーランドおよびリトアニアに対し、無人機が電磁波妨害により制御不能になっているとあらかじめ告げていたと語っている。彼はまた「ベラルーシ共和国は、ポーランド共和国及びバルト諸国との航空状況に関する情報交換の枠組みにおける義務を引き続き履行していく。」と付け加えた[14]。
ベルギー - テオ・フランケン国防大臣は「ロシアによるNATO領空侵犯は容認できない」と語り、ポーランドに対する連帯および支持を表明した[34]。
ブルガリア - ルメン・ラデフ大統領はTwitter上で「主権国家であるポーランドの領空を侵犯することは、ロシアとNATOの間の緊張を危険なまでにエスカレートさせる」と語った[35]。ロセン・ジェリャスコフ首相は「我々の立場は明確であり、同盟国の立場と一致している。我々は、条約で想定されているあらゆる必要な措置を講じるという同盟の決意を表明する」と述べた[36]。
欧州連合 - ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は欧州連合が「ポーランドに対する全面的に連帯する」と語った[33]。カヤ・カッラス欧州連合外務・安全保障政策上級代表もポーランドを支持し、ロシアを非難する声明を公表した[37][38]。
フィンランド - ペッテリ・オルポ首相はロシアの行動を非難し、「ポーランドに対する全面的な支持」を表明した[39]。
フランス - エマニュエル・マクロン大統領は侵入を「容認できない」と述べた[33]。
ドイツ - ボリス・ピストリウス国防大臣は「これらの無人機は、ウクライナに侵入するために、この航路に意図的に誘導されたことは明らかである」と述べた。また、ポーランドの要請による第4条協議への支持を表明した[40]。
ハンガリー - オルバーン・ヴィクトル首相はポーランドとの完全な連帯を表明し、ポーランドの領土保全の侵害を「容認できない」と述べた[41]。
イタリア - ジョルジャ・メローニ首相は「深刻で、容認できない(領空)侵犯」に対するポーランドへの全面的な連帯を表明している[42]。
モルドバ - マヤ・サンドゥ大統領はウクライナに対する攻撃およびポーランド領空侵犯を非難し、モルドバも同様の事例に苦しんでいると付け加えた。彼女はウクライナに対するより一層の支援と、欧州のより強固な対空防衛への投資を呼び掛けた[43]。
ルーマニア - ニクショル・ダン大統領とイオヌツ・モシュテアヌ国防大臣はルーマニアとポーランドの全面的な連帯を宣言した。ダン大統領は「ロシアを止め、交渉の座につかせる必要がある」と付け加えた[44]。ルーマニアはジェット戦闘機をスクランブルさせ、国境付近のロシア無人機を監視したが、無人機はルーマニア領内へ侵入することはなかった[45]。
スペイン - ペドロ・サンチェス首相はTwitterに「ロシアの欧州領空侵犯は容認できない。我々はポーランドへの完全な連帯を表明する。ポーランドは、我々の共通の平和と安全を守るうえで、常にスペインを頼りにできる。」と投稿した[46]。ホセ・マヌエル・アルバレス外務大臣はTwitter上に「ちょうどポーランドの外務大臣と会談したところだ。私は、ロシアによるポーランド領空のあからさまな侵犯に直面する彼に対し、スペインの連帯を伝えた。欧州諸国と同盟国は団結している。我々は欧州とその人々の平和と安全を守る。」と投稿した[47]。
ウクライナ - ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は侵入を「事故」と呼ぶことはできないとする声明を公表した[48]。
イギリス - キア・スターマー首相は無人機侵入に対し「深刻な懸念」を表明し、ロシアによる「きわめて無謀な行動」だと述べた。イギリスのジョン・ヒーリー国防大臣は事態を「欧州に対する新たな段階の敵意」だと説明した。彼はまた、イギリス軍に対し「ポーランド上空におけるNATOの防空を強化するための選択肢を検討するよう求めた」と述べ、さらに「我々はプーチンが何をしているかを見ている。彼は再び我々を試している。だが我々は再び断固として立ち向かう。」と付け加えた[49][50]。
アメリカ合衆国 - NATOのマシュー・ウィテカー米国代表は「我々はこれらの領空侵犯に対し(NATO)同盟国の側に立つとともに、NATOの領土を1インチに至るまで守り抜く。」と述べた[51]。ドナルド・トランプ大統領はTruth Social上に「ポーランドの領空を無人機で侵犯するなんて、ロシアはどうなっているのか。さあやるぞ!」と投稿した[52]。
ノルウェー - エスペン・バルト・エイデ外務大臣は事件が緊張が高まる中でNATOに探りを入れようとするロシアの試みを反映しているようだと述べた[53]。
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影響
要約
視点
ポーランドへの軍事支援
無人機侵入後、複数の国がポーランドに対する軍事支援を表明した。
チェコは3機のMi-171Shヘリコプターおよび100名近い兵士からなる特殊作戦部隊を送った[54][55]。
フランスは3機のラファール戦闘機をポーランドに派遣し、領空防衛を支援した[56]。
オランダはパトリオット、NASAMS、対無人機兵器および300名の兵士を送った[57][58]。
スウェーデンは緊急で[59][60][61]サーブ 39 グリペン戦闘機と対空兵器をポーランドに送った[62]。
イギリスはユーロファイター タイフーンのポーランド再派遣を検討している[63]。
ノルウェーは東方の番人作戦の一環として、F-35戦闘機のポーランド派遣を検討している[64]。
ウクライナはポーランドに対無人機訓練を提供する予定である[65]。
ザパード2025演習中のポーランド・ベラルーシ国境封鎖
2025年9月9日、ポーランドのドナルド・トゥスク首相は国家安全保障上の懸念から、9月11日午前0時よりザパード2025演習の期間中ベラルーシとの国境を封鎖すると公表した。ポーランドのマルチン・キェルヴィンスキ内務大臣は、政府がポーランド市民に対し脅威が存在しないと確信するまで国境封鎖は続くと述べた。演習を受け、NATOおよびリトアニアをはじめとする近隣諸国も国境警備を強化する。ベラルーシとポーランドの関係は2022年のロシアのウクライナ侵攻以降悪化の一途をたどっており、両国とも相手国の市民を諜報容疑で逮捕しており、緊張が増している。ベラルーシは封鎖を非難し、ポーランドの地理的な「虐待」だと述べている[66]。国境は9月12日に封鎖された.[67]。
東方の番人作戦
2025年9月12日、NATOのマルク・ルッテ事務総長は同盟の東側国境を守るための行動が今後数日以内に開始されると公表した。この作戦は「東方の番人」(Eastern Sentry)と名付けられ、デンマーク、フランス、イギリス、ドイツなどの軍隊が参加する。ルッテは「ロシアの東側正面における空での無謀な行動は頻度を増している」と述べ、この任務は「柔軟かつ機動的」であると強調した。作戦には2機のF-16、デンマーク軍の防空フリゲート艦、フランス軍のラファール戦闘機3機、ドイツ軍のユーロファイター戦闘機4機が含まれる。さらにルッテは、「我々の焦点が現時点ではポーランドにあるとはいえ、この状況は1国の国境を超えている。1国の同盟国に影響を及ぼすことは、我々全員に影響を及ぼす」と付け加えた。東方の番人作戦は、すでに進行中の「バルトの番人作戦」を基盤としており、これはバルト海におけるケーブル破壊工作への対応として開始された取り組みである[68]。
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脚注
関連項目
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