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GSLV
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GSLV(英語: Geosynchronous Satellite Launch Vehicle, GSLV)とは、インド宇宙研究機関 (ISRO) が開発した使い捨て型の静止衛星打ち上げロケットである。
歴史
GSLV計画は1990年に静止衛星の打ち上げ能力の獲得を目的として開始された。当時のインドはソビエト連邦に大型衛星の打ち上げを依存していた。
第1段のS125/S139固体燃料モーター、第2段およびブースターに用いられるヴィカース液体燃料エンジン等の主要コンポーネントはPSLVから受け継がれた。 その一方、第3段エンジンはロシアからの調達が決定し、1991年にはロシアとの間でエンジンの技術移転を含む調達契約が結ばれた。しかし、翌1992年にアメリカ合衆国がミサイル技術管理レジーム (MTCR) に基づきロシアからのインドへの技術移転に異議を唱えた為、契約は撤回された。 [1] 結果として、技術移転を伴わない7基のKVD-1上段および1基のモックアップの引き渡しが再契約された。
最初のGSLV-MkIの打ち上げは2001年4月18日に行われた。[2] GSLV-MkIは3段目にロシア製の液体水素エンジンを搭載していたが、GSLV-MkIIではインドが開発したエンジンへ変更されることとなり、 2014年1月5日に国産エンジンを搭載したGSLV-MkIIによる衛星打ち上げに成功した。インドは1994年から極低温上段プロジェクトを開始し、3段目の国産化に努めていた。[3]。
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構成と諸元
要約
視点
GSLVはPSLVに高推力の液体燃料ロケットブースターと低温液体燃料ロケットの第3段を加える事で打ち上げ能力を向上させた三段式のロケットである。第1段は固体燃料ロケットで第2段は自己着火性推進剤を使用する液体燃料ロケットである。これらはPSLVから受け継がれた要素である。第3段にはGSLV-MkIではロシア製エンジン、現用のGSLV-MkIIでは独自に開発された低温燃料ロケットエンジンを使用している。
4基の液体燃料ブースターは第1段コアステージを囲むように取り付けられている。このブースターはコアステージよりも長く燃焼し、投棄の際はコアステージに固結されたまま第2段から分離される。そのためGSLVは役目を終えたコアステージモーターケースを抱えながら飛行するという、極めて特殊な構成をとるロケットである。[4]
GSLV-MkIIは低軌道へ5000 kg、傾斜角18°の静止トランスファー軌道へ2500 kgの衛星を投入できる。
主要諸元一覧
- ブースター
- 直径2.1 mの液体燃料ロケットであり、最初の打上であるGSLV-MkI D1ではL40ブースターを、以降の打上ではより高圧のエンジンを搭載したL40Hブースターを4基使用している。このブースターは第2段L37.5の改良型であり、42.7 tの自己着火性推進剤 (N2O4/UH25) がターボポンプでエンジンへ供給され、1基あたり760 kNの推力で150秒間燃焼する。推進剤は独立した直径2.1mのタンクに貯蔵される。ジンバルによって制御される。[4]
- 第1段
- 直径2.8 mのM250高張力鋼製、固体燃料ロケットである。最初の打上であるGSLV-MkI D1ではS125モーターを、以降の打上ではより大型のS139モーターを使用している。S125は推進剤125 t/燃焼時間100 秒、S139 は推進剤139 t/燃焼時間109 秒で、最大4,700 kNの推力を生み出す。[8]ブースターに飛行制御を依存しているが、オプションで二次噴射装置を利用可能である。投棄時は2段目エンジンの点火後、FLSC接手の爆破により分離される。[4]
- 第2段
- 直径2.8 mの液体燃料ロケットでヴィカースエンジンを動力として、約800 kNの推力を出す。自己着火性推進剤を、L37.5Hで39.5 t、GL40で42.2 t使用する。2つのアルミニウム合金製の貯蔵タンクは共通の仕切りで区切られる。ブースターのシャットダウン前に点火することでアレッジモーターを省いている。ピッチ、ヨー制御はジンバル、ロール制御はコールドスラスタにより行われる。第3段とは作動時の衝撃が比較的小さいマルマンクランプ方式の分離接手により接続されている。[4]
- 第3段
- 直径2.8 mの液体燃料ロケットである。GSLV-MkIではロシア製のKVD-1、Mk IIではインド国産のCE-7.5エンジンを搭載している。いずれも液体酸素および液体水素 (LOX/LH2) を用いる二段燃焼エンジンである。しかし、2010年4月のMk IIの初打ち上げは、CE-7.5の燃料ターボポンプ故障により失敗に終わった。後の2014年1月の打ち上げで初の成功を収めた。
- このステージは再点火可能であり、フライトコンピュータと慣性誘導装置、テレメータ用Sバンドアンテナ、追跡用Cバンドトランスポンダを搭載している。制御は旋回可能な2基のバーニアによる。GSLV-Mk IIのCUS12で12.8 t、CUS15で15 tの推進剤を使用する。[4]
- 第4段(オプション)
- PSLV第4段に類似したPAM-G上段ステージをオプションとして利用できる。[9]
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型式
GSLV Mk I (a)
S-125を第1段として使用する。GTOに1,500 kgの打ち上げ能力を持つ。運用終了。
GSLV Mk I (b)
S-139を第1段、L40Hを液体燃料ブースター、L37.5Hを第2段として使用する。これ以降、液体燃料ブースターと第2段の燃料がUH 25に変更された。GTOに1,900 kgの打ち上げ能力を持つ。運用終了。
GSLV Mk I (c)
推進剤が15tに増量されたC15を第3段として使用する[10]。運用終了。
GSLV Mk II
国産極低温エンジンを搭載したCUS12を第3段として使用する[11]。GTOに2,200kgの打ち上げ能力を持つとされる[12]。以前 (GSLV-MkI) はロシア製の低温燃料エンジンを使用していた[13]。運用中。
GSLV Mk IIA
国産極低温エンジンを搭載したCUS15を第3段として使用する[12]。GTOに2,350kgの打ち上げ能力を持つ[12]。運用中。
GSLV Mk IIC
PAM-Gを第4段として使用する[12]。中軌道への測位衛星の打ち上げを想定しているが、静止軌道へ955kgの衛星を直接投入することも可能とされる[12]。開発中。
LVM3
→詳細は「LVM3」を参照
当初はGSLV-MkIIIとして開発された後継機。2014年12月に試験機の打ち上げ、弾道飛行に成功。2017年6月には人工衛星の打ち上げにも成功。4500から5000kgのINSAT-4級の大型の静止通信衛星の打ち上げや有人打上げを目的としている。
打ち上げ実績
要約
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競合するロケット
脚注
外部リンク
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