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Invert 城塚翡翠倒叙集
日本の小説 ウィキペディアから
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『invert 城塚翡翠倒叙集』(インヴァート じょうづかひすいとうじょしゅう)は、相沢沙呼による小説。「城塚翡翠シリーズ」の第2作。
『小説現代』(講談社)2021年1月号に掲載された「泡沫の審判」と、書き下ろし中編2編「雲上の晴れ間」、「信用ならない目撃者」が収録されている。講談社より2021年7月7日に単行本[1]、2023年11月15日に講談社文庫版が発売された[2]。
タイトルに倒叙とあるように、予め読者に犯人を明かした状態で、主人公の城塚翡翠が事件を解明する構成で物語が展開される。
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概要
本作は犯人の視点で語られる倒叙ミステリである。各編には読者への挑戦が挿入されている[4]。冒頭に「この作品は『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の結末に触れています。未読の方はご注意ください。」と注意書きが掲載されている[5]。相沢は『古畑任三郎』と『刑事コロンボ』を意識して執筆したと述べており、「信用ならない目撃者」は『刑事コロンボ』の「ホリスター将軍のコレクション」、「指輪の爪あと」をオマージュしている[6]。
カバーイラストは遠田志帆が担当した[7]。ブックデザインの坂野公一の発案で、城塚翡翠の二面性を表現するために、ゆるふわな翡翠と探偵の翡翠が描かれている[6]。小説を読了後に装幀を見ると、新しい解釈が出来る仕掛けが施されている[7]。
初版帯のフレーズは「すべてが、反転。」[8][7]。講談社の担当編集者は、最初「すべてが、逆転。」を提案していた[8]。しかし、相沢から「倒叙ミステリは英語でinverted detective mysteryだから、反転(invert)じゃないか」という指摘を受け、それが採用された[8]。
『このミステリーがすごい! 2022年版』国内編6位[9] 。『2022本格ミステリ・ベスト10』国内ランキング9位[10]。『ハヤカワミステリマガジン』2022年1月号掲載「ミステリが読みたい! 2022年版」国内篇9位[11]。
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あらすじ
- 「雲上の晴れ間」
- システムエンジニアの狛木繁人は、自身が勤務する会社の社長・吉田直政の自宅に行き、吉田を浴室で転倒して溺死したように偽装して殺害する。その直後、同僚の須郷から緊急の連絡が入る。翌日、狛木は警察にアリバイを聴かれ、昨晩は急遽プログラムのバグの調査と修正を行うことになり、会社に一人で残っていたと答える。その作業は、吉田宅から片道1時間かかる会社の中でしかできなかった。しばらくして、狛木が住むマンションの隣室に城塚翡翠が引っ越してくる。
- 「泡沫の審判」
- 小学校教諭の末崎絵里は、児童や教師の盗撮を繰り返す元校務員の田草明夫を自分のクラスの教室で殺害し、田草が小学校に不法侵入して防犯システムを作動させてしまい、逃げようとして3階理科室のベランダから誤って転落して亡くなったように偽装する。田草の死による臨時休校が明けてから数日後、小学校にスクールカウンセラーの白井奈々子が赴任する。浮いた服装とぶりっ子な言動でなにかと絵里を苛立たせる奈々子の正体は、学校に潜入した翡翠だった。
- 「信用ならない目撃者」
- 探偵事務所の社長・雲野泰典は、社員の曽根本のマンションを訪問し、彼を射殺する。窓辺に立った雲野は、50メートル先の対岸にある雑居ビルのベランダに、女性の人影を見つける。雲野は悩んだ末、犯行は見られていないと判断し、曽根本が拳銃で自殺したように偽装してその場を立ち去る。そのころ、涼見梓は母に電話し、興奮した様子で今見た光景を伝えていた。ベランダでビールを飲んでいた梓は、対岸のマンションの一室で男が拳銃を構える姿を目撃していた。
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登場人物
主要人物
「雲上の晴れ間」
- 狛木繁人(こまき しげひと)
- ITベンチャー企業「ジェムレイルズ」のシステムエンジニア。
- 吉田直政(よしだ なおまさ)
- 狛木が勤務する会社の代表取締役社長。
- 須郷(すごう)
- 狛木の同僚の男性。システムエンジニアで、インフラ担当。
「泡沫の審判」
- 末崎絵里(すえざき えり)
- 小学校教諭。2年生の担任。
- 田草明夫(たぐさ あきお)
- 絵里が働く小学校の元校務員。
- 櫛笥隼人(くしげ はやと)
- 警視庁第二機動捜査隊員。階級は巡査部長。
- 優太(ゆうた)
- 小学2年生。絵里のクラスの生徒。
- 当初は田草が亡くなった日の翌日に、クラスで彼のお別れ会を開く予定だった。
- 真央(まお)
- 小学2年生。絵里のクラスの生徒。
- クラス内で飼っているハムスターをかわいがっている。
- 小池大地(こいけ だいち)
- 小学2年生。絵里のクラスの生徒。4月に転入してきた。
- 宗也(そうや)
- 小学2年生。絵里のクラスの生徒。大地と仲がいい。
「信用ならない目撃者」
書誌情報
- 相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』
- 単行本:2021年7月5日発行(2021年7月7日発売)、講談社、ISBN 978-4-06-523732-8
- 文庫本:2023年11月15日発行(同日発売)、講談社文庫、ISBN 978-4-06-533789-9
オーディオブック
2022年6月21日よりオトバンクが運営するaudiobook.jpにて配信[14]。audiobook.jpのユーザー投票により決定する「オーディオブック大賞2022」で文芸部門の大賞を受賞した[15]。
キャスト(オーディオブック)
テレビドラマ
要約
視点
『invert 城塚翡翠 倒叙集』(インヴァート じょうづかひすい とうじょしゅう)のタイトルで、2022年11月20日から12月25日まで、日本テレビ系「日曜ドラマ」枠で放送された[3]。主演は清原果耶[3]。
原作には小説の続編となる『invert II 覗き窓の死角』を含む[16]。
同年10月16日から11月13日まで放送された、同枠の前番組『霊媒探偵・城塚翡翠』からストーリー上直接つながる続編として、連続ドラマ史上初となるタイトルとビジュアルを一新した同一主人公による新ドラマとして制作された[17]。
原作者の相沢沙呼が、第4話と最終話の脚本および第1話から第3話の脚本協力で参加している。第4話と最終話は、原作の「信用ならない目撃者」をそのまま映像化するのは不可能だったため、別のトリックが用意された[18]。
あらすじ(テレビドラマ)
ある日、真は翡翠のアイスクリームを食べてしまい、隠ぺいを図ろうとする。だが、あっさり見抜かれてしまい、挙句、真が倒叙ミステリの犯人ならばあっという間に逮捕されるとまで言われてしまう。
2023年6月からクリスマスにかけて翡翠と真が挑んだ4つの事件が、倒叙ミステリの形式で描かれる。
キャスト(テレビドラマ)
主要人物
- 城塚翡翠(じょうづか ひすい)
- 演 - 清原果耶
- 主人公。翠眼の女性。
- 左遷された鐘場を警視庁捜査一課に復帰させることを条件に、警察庁に協力することを約束してしまったため、警察庁の諏訪間から依頼されたUYリサーチ社員が死亡した理由の調査を断れなくなってしまう。
- 千和崎真(ちわさき まこと)
- 演 - 小芝風花[3]
- 翡翠のパートナー。
- プライベートでは、いつも変な柄のTシャツを着ている。
- 鐘場正和(かねば まさかず)
- 演 - 及川光博[3]
- 警視庁捜査一課の警部補。
- 前作のあと警部から警部補に降格処分となり捜査一課から外され、半年後に復帰する。捜査一課に戻れた理由は本人には知らされていないが、翡翠のおかげだと勘づいている。
- 雨野天子(あまの てんこ)
- 演 - 田中道子[3]
- 警視庁捜査一課の巡査部長。鐘場の部下。
- 蛯名海斗(えびな かいと)
- 演 - 須賀健太[16]
- 警視庁捜査一課の巡査部長。天子の先輩。
ゲスト
第1話
第2話
第3話
第4話
- 雲野泰典(調査会社「UYリサーチ」の社長) - 杉本哲太[34](最終話)
- 涼見梓 / 岩戸(雲野が見つけた事件の目撃者) - 若月佑美[35](第2話、最終話)[注 1]
- 曽根本雅雄(「UYリサーチ」の社員) - 鈴之助[36]
- 磯谷(「UYリサーチ」の社員) - 村上新悟[37](最終話)
- 宮本久司(代議士) - 谷仲恵輔[38]
- 宮本祥子(宮本久司の妻) - 舟木幸[39]
- 涼見梓(事件の本当の目撃者) - 愛理[40](最終話)
- 雲野の妻 - 夏目実幸[41](最終話)
- リポーター - 吉年愛梨
- 鶴丘文樹(女性刺創連続殺人事件の犯人) - 瀬戸康史(友情出演)[42][43](最終話)
スタッフ
放送日程
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脚注
外部リンク
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