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LinuC
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LinuC(リナック)とは、日本のNPO法人LPI-Japanによって企画・開発・運営されているLinux技術者認定資格である。
概要
2018年3月から提供が開始されており、提供当初は日本語版のみとなっていたが2019年には英語版の提供を開始[1]、2025年現在は日本語または英語で受験することが可能である。
また提供当初は3段階のレベル表記を持つ試験であったが、2023年10月にLinuCシステムアーキテクト(2025年11月にLinuCレベル4 システムアーキテクトに改称)が最上位資格として追加[2]されたことで、4段階のレベル表記を持つ試験となった。
2024年11月にはLinuCシステムアーキテクトの英語版が提供開始され[3]、日英両言語で全ての試験を受験可能となった。
LinuCは世界180以上の国と地域の5,500拠点のテストセンター、およびオンラインでの受験が可能となっている[4]
LinuCは、実務に即した知識とスキルを段階的に習得できるよう、4つのレベルで体系的に試験が構成されている。システム構築・運用管理から大規模システムのアーキテクチャ設計・構築までレベルごとに求められるスキルと知識が明確に定義されており、ITエンジニアはステップを踏んで技術力を高めることが可能となっている。
出題範囲の策定や出題される問題の作成は、技術者コミュニティの協力によって行われている。現場の第一線で活躍する多数のITエンジニアたちが何度も議論を重ねることで、グローバルで標準化された技術領域をカバーすることはもちろん、現場の実務で本当に必要とされるスキルと知識が体系化されている。そのため、用語の意味を問うような問題は出題されず、目的を達成するための手段や手法を問うような問題が多く出題される。
- 仮想環境を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理が行える技術者認定となるLinuCレベル1
- 仮想環境を含むLinuxのシステム設計、ネットワーク構築において、アーキテクチャに基づいた設計、導入、保守、問題解決ができる技術者の認定となるLinuCレベル2
- エンタープライズレベルのシステムを構築するための高可用プラットフォームとセキュリティのスペシャリストとしての認定であるLinuCレベル3
- オンプレ/クラウド、物理/仮想化を含むシステムのライフサイクル全体を俯瞰して最適なアーキテクチャを設計・構築ができる上級エンジニアの証明となるLinuCレベル4 システムアーキテクト
2025年12月現在の最新バージョンは、2020年4月に仮想化・コンテナ技術などのテーマを出題範囲に加える改訂が行われた「Version 10.0」である[5]。
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認定レベル
要約
視点
LinuC(リナック)には4つの認定レベルがあり、求められる技術を習得することで順次ステップアップしていく構成となっている。上位レベルの認定を取得するためには、下位レベルの認定取得が必須となる。
LinuCレベル1
仮想環境を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理が行える技術者であることが認定され、以下の知識と技術を持つことの裏付けとなります[6]。
- 仮想マシンとコンテナを含むLinuxサーバーの構築と運用・管理ができる
- クラウドのセキュリティを理解し、安全に運用できる
- オープンソースの文化を理解し、業務に活用できる
LinuCレベル1の諸条件は以下の通り。
- 受験の前提条件:なし
- 認定取得の要件:101試験、102試験の2試験に合格すること(5年以内に2試験合格が必要)
- 受験費用:1試験あたり15,000円(税抜き)/16,500円(税込)
- 試験実施方式:CBT(Computer Based Testing)
- 問題数:約60問
- 試験時間:90分
- 合否結果:試験終了と同時
LinuCレベル2
仮想環境を含むLinuxのシステム設計、ネットワーク構築において、アーキテクチャに基づいた設計、導入、保守、問題解決ができる技術者であることが認定され、以下の知識と技術を持つことの裏付けとなります[7]。
- Linuxシステムの設計、構築、監視、トラブルシューティングができる
- 仮想マシンやコンテナの仕組みを理解し、その管理と運用ができる
- セキュリティとシステムアーキテクチャの基本を理解し、サービスの設計、構築、運用・管理ができる
LinuCレベル2の諸条件は以下の通り。
- 受験の前提条件:なし
- 認定取得の要件:有意なLinuCレベル1を保有し、201試験と202試験の2試験に合格すること(5年以内に2試験合格が必要)
- 受験費用:1試験あたり15,000円(税抜き)/16,500円(税込)
- 試験実施方式:CBT(Computer Based Testing)
- 問題数:約60問
- 試験時間:90分
- 合否結果:試験終了と同時
LinuCレベル3
2025年11月に改定され、エンタープライズレベルのシステムを構築するための専門的な技術力を証明する認定という位置づけになった。LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリストとLinuCレベル3 セキュリティスペシャリストの2つの試験がある。どちらか1つに合格すればLinuCレベル3を取得することができる(認定を取得する上でレベル1やレベル2のように2試験の合格は必要とせず、どれか1試験に合格すれば認定を取得できる)。
LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリスト
仮想化や自動化などの技術を活用して柔軟性や可用性を備えたプラットフォームをLinux/OSSで構築・運用できる技術者であることが認定され、以下の知識と技術を持つことの裏付けとなる。
- 仮想マシン/コンテナの技術をベースに、コンピューティング・ストレージ・ネットワークの柔軟な払い出しが可能なプラットフォームを Linux と OSS を用いて構築できる。
- 業務システムの安定稼働と継続的改善を支える高可用性プラットフォームを構築し、自動化・監視・バックアップによる効率的な運用管理体制により持続可能なインフラ運用を実現できる。
LinuCレベル3 プラットフォームスペシャリストの諸条件は以下の通り。
- 受験の前提条件:なし
- 認定取得の要件:有意なLinuCレベル2を保有し、3PS試験に合格をすること
- 受験費用:1試験あたり25,000円(税抜き)/27,500円(税込)
- 試験実施方式:CBT(Computer Based Testing)
- 問題数:約60問
- 試験時間:90分
- 合否結果:試験終了と同時
LinuCレベル3 セキュリティスペシャリスト
Linuxシステムのセキュリティ実装から運用まで一貫して対応できる高度な能力を有する技術者であることが認定され、以下の知識と技術を持つことの裏付けとなる。
- 最小権限の原則に基づくセキュアな Linux 環境の構築・運用ができ、仮想マシンやコンテナを含む各層の堅牢化ができる。
- セキュアプロトコルによる基盤サービスと認証基盤の実装ができ、また攻撃種類に応じた予防・検知・対応ができる。
LinuCレベル3 セキュリティスペシャリストの諸条件は以下の通り。
- 受験の前提条件:なし
- 認定取得の要件:有意なLinuCレベル2を保有し、3SS試験に合格をすること
- 受験費用:1試験あたり25,000円(税抜き)/27,500円(税込)
- 試験実施方式:CBT(Computer Based Testing)
- 問題数:約60問
- 試験時間:90分
- 合否結果:試験終了と同時
LinuCレベル4 システムアーキテクト
オンプレ/クラウド、物理/仮想化を含むLinuxの大規模システムのライフサイクル全体を俯瞰し、柔軟かつ拡張可能なアーキテクチャを設計・構築ができる「プレイングシステムアーキテクト」として認定されます。以下の知識と技術を持つことの裏付けとなります。
- 分散システムの処理構造について、典型的なパターンの特長を理解し使い分けられる。
- プラットフォーム/ミドルウェア/ネットワーク/ストレージについて、Linux/OSSによる具体的な構成を決定し構築・設定でき、クラウドサービスの機能を用いたりリソースを動的に確保するなどの構成も必要に応じて選択できる。
- 非機能要件のそれぞれを実現するための要素技術を理解し、 Linux/OSSにより実践できる。また、クラウドネイティブな設計アプローチや開発手法を理解し、システムに採り入れられる。
- 安定稼働と継続的開発を見据えた監視やテスト体制を設計し、また運用中のトラブル対応を主導できる。
LinuCレベル4 システムアーキテクトの諸条件は以下の通り。
- 受験の前提条件:なし
- 認定取得の要件:有意なLinuCレベル2を保有し、4SA01試験と4SA02試験の2試験に合格すること(5年以内に2試験合格が必要)
- 受験費用:1試験あたり25,000円(税抜き)/27,500円(税込)
- 試験実施方式:CBT(Computer Based Testing)
- 問題数:約40問
- 試験時間:90分
- 合否結果:試験終了と同時
有意性の期限
有意性の期限とは、技術の陳腐化が早いIT業界において最新の技術要素を反映した技術力を保持していることを証明するための認定ステータスの概念である。期限内であればACTIVEという認定ステータスであり、期限を超えるとINACTIVEという認定ステータスとなる。INACTIVEとなっても、認定された事実が無効になることはない。
- 認定日から5年目の日付を過ぎると、認定ステータスがACTIVEからINACTIVEに変更される
- ACTIVEの認定ステータスを維持するためには、認定日から5年以内に同一レベルの認定の再取得、または上位レベルの認定を取得することが必要
- 有意性の期限を超えてしまった場合、全てのレベルでINACTIVE表示となり、ACTIVEの認定ステータスに戻すには全ての試験の再受験が必要となる
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LPICとLinuC
LinuCを提供するLPI-Japan(LPI日本支部とは異なる)は、LPI (Linux Professional Institute)が提供するLinux技術者の認定資格であるLPICの日本国内でのライセンス契約を結び、2018年8月まで提供していた。
LPI-Japanは、LinuCを独自にリリースすることとした理由の一つとしてLPICの問題漏洩があると主張[8]、2018年8月にLPICの提供を中止した際にも、特に海外においてLinux Professional Instituteによる試験問題の品質改善や漏洩防止などの対応がなされず後も改善されなかったためであると主張した[9]。
LPI-Japanは「LinuC」では技術変化への即応、試験問題の品質改善、漏洩防止などのための試験の改定などを自ら対応することで、技術者を正しく認定できる価値ある認定試験として提供を開始したと主張している。
一方、LPICを運営するLPIは、2017年に実施したLPI細則の改訂を施行するに当たって必要となるLPI日本支部の設立に際し、LPI-Japanがその立場を担うことを求めたところ関心を得られなかったと説明しており[10]、LPI日本支部をLPI主導で設立し、今後も日本国内でのLPICの提供を続けていくことを説明している。
尚、LPI-Japanは、LPICに関するLPIとの恒久的かつ剥奪不能で独占的なライセンス契約を保有していると主張しており[11]、日本国内でのLPICの商標はLPI-Japanを運営する一般社団法人エデュコが保有している状況となっている[12]。
なお、LinuCの初期リリースでは、試験範囲がLPICと同一であったため[13]、2018年8月までにLPICを受験していた場合には、 LinuCとして確認・管理を行うことができる[14]。
「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ」との関係
LinuC(リナック)は、2025年11月時点においてITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ (Ver12.4) に掲載されている。
脚注
外部リンク
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