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Q-類似
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q-類似(きゅーるいじ、英: q-analog, q-analogue)とは、理論に q → 1 の極限で、元の理論に一致するように径数 q を導入するような拡張のことをいう。q-拡張(英: q-extension)などとも呼ばれる。
そのような拡張は何通りも考えうるが、q-数や、q-微分やq-積分を用いるq-解析学の定義に基づいた拡張が一般的に用いられ[1]、解析学や組合せ論、特殊関数、量子群などの分野に応用されている。
概要
要約
視点
q-数
最も基本的な q-数 [n]q (q-整数やq-ブラケット(英: q-bracket)とも呼ばれる)とは、自然数 n の q-類似であって、q → 1 の極限で [n]q → n となるように
と定義される[2]。ただし、文献によっては、とくに量子群の文脈では、 で不変な
あるいは
と定義される。この記事では最初の定義を用いるが、他の定義でも後述の q-階乗やq-二項係数は q-数を用いて同様に定義される。
q-階乗
またq-階乗 [n]q! (英: q-factorial)は、q-数によって
と定義される[2]。ただし (q; q)n はq-ポッホハマー記号を表す。
このとき Sn を n 次の対称群、inv(σ) を置換 σ の転倒数として、
が成り立つ[3]。これは の極限で、通常の階乗 が 個のものを並べる順列の総数を表すことに対応している。 また有限体 Fq 上の一般線型群 GL(n, q) の位数は
と表せる。
q-二項係数
q-二項係数(英: q-binomial coefficient)は、二項係数の q-類似で、
によって定義される[2][3]。q が素数のべきのとき、q-二項係数は有限体 Fq 上の n 次元線型空間内における k 次元部分空間の数に等しい[3]。
より一般に q-多項係数は n = k1 + … + km のとき
によって定義される[3]。 このとき
のようなよく知られた等式の類似が成り立つ[3]。
q-二項定理
→「q二項定理」も参照
q-二項定理は、二項定理のq-類似であり、
について、とするとき、
これは、後述のq-超幾何級数を用いて、
と表すことができる。
また、q-二項係数を用いて、
と表すこともできる[5]。
q-ポッホハマー記号
→「qポッホハマー記号」も参照
q-ポッホハマー記号(英: q-Pochhammer symbol,q-シフト因子,q-シフト階乗とも呼ばれる[1])は、ポッホハマー記号(昇冪)のq-類似であり、q-類似の計算において頻繁に現れ、有限積あるいは無限積を簡略化して表記するために用いられる。
によって定義され、有限積については、
と定義される[2]。とくにn > 0のときは、
が成り立つ。
第二引数(基底と呼ばれる)がqのときは、と略記され、複数の引数を持つq-ポッホハマー記号は、と分解される。
以下のようにq → 1 の極限を求めれば、ポッホハマー記号に一致する[2]。
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q-解析学
要約
視点
→「量子解析学」も参照
q-微分
q-微分(q-差分とも呼ばれる[1][7])は微分の q-類似で、任意の関数 ƒ(x) について q-微分を
によって定義する。さらに導関数の q-類似である q-導関数は
q-導関数を求める演算は線形性を持つが、ライプニッツ則はq → 1 の極限のみで成り立つ[7]。
q-積分
q-積分(ジャクソン積分)は、積分のq-類似であり、不定積分は、
によって定義され、定積分は、
によって定義される[2]。
q-積分はq-微分の逆演算であり、
となることからも確かめられる[2]。
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初等関数のq-類似
要約
視点
q-指数関数
q-指数関数は、指数関数のq-類似であり、
によって定義され、次のような同値の定義が用いられることもある[6]。
指数関数の導関数が指数関数であるのと同様に、
が成り立つ[6]。
とくに、可換性を持たず、を満たすような量子平面上の変数x, yについて、次のような指数法則が成り立つことが知られている[6]。
q-対数関数
q-対数関数は、対数関数のq-類似であり、
によって定義されるが、これはq-指数関数の逆関数ではなく、これとは異なる定義も複数存在する[6]。
また、ツァリス統計で用いられるq-指数関数およびq-対数関数は、q-類似とは全く異なる点に注意が必要である。
q-三角関数
q-三角関数は、三角関数のq-類似であり、q-指数関数を用いて、
によって定義され、通常の三角関数と同様に正接、余接、正割、余割関数のq-類似も定義される[6]。
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特殊関数のq-類似
要約
視点
q-ガンマ関数
q-ガンマ関数は、ガンマ関数のq-類似であり、
によって定義される[10]。
通常のガンマ関数のように、
が成り立ち、またxが自然数のとき、
が成り立つ[10]。
その他にも、以下のような性質が知られている[10]。
また、q-ベータ関数は、ベータ関数のq-類似であり、q-ガンマ関数を用いて、
と定義される[10]。
さらに、q-円周率は、円周率のq-類似であり、
によって定義される[6]。
q-ポリガンマ関数
q-ポリガンマ関数は、ポリガンマ関数のq-類似であり、q-ガンマ関数を用いて、
によって定義され、以下のような性質が成り立つことが知られている[10]。
また、q-オイラー定数は、オイラー定数のq-類似であり、q-ポリガンマ関数を用いて、
と定義される。
q-超幾何級数
→「q超幾何級数」も参照
q-超幾何級数は、超幾何級数のq-類似であり、
によって定義される[2]。
とくに、ガウスの超幾何関数のq-類似は、
によって定義される[11]。
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脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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