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超幾何関数
超幾何級数で定義される特殊関数 ウィキペディアから
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数学における超幾何関数(ちょうきかかんすう、英: hypergeometric function)とは、超幾何微分方程式なる常微分方程式の解となる特殊関数をいう。超幾何関数は、絶対値が 1 より小さい複素数 z を引数として、以下の超幾何級数

で定義される関数 2F1 をいい、多くの初等関数や特殊関数を包含する。ここで (·)n はポッホハマー記号で表した昇べきである。厳密には、左辺の記号は原点の近傍で絶対収束するべき級数の和と、それから解析接続によって定義される解析関数としての超幾何関数を表すものである。ポッホハマー記号のガンマ関数による表現を用いれば、超幾何関数は
と書き直すこともできる。このことからもわかるように、右辺の級数が収束するためには c が零もしくは負の整数ではないことが必要である。超幾何関数は、ガウスがこの関数について詳しく研究していたことから、彼の名前を冠してガウスの超幾何関数と呼ばれることもある。
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概要
要約
視点
以下の形をした二階線型常微分方程式をガウスの微分方程式または超幾何微分方程式という。
この微分方程式は z = 0, 1, ∞ において確定特異点をもち、それ以外の点では特異点をもたない。各特異点での一般解はガウスの超幾何関数を用いて表せる事が知られており、適当な定数 c1, c2 を用いて
と表せる。超幾何級数そのものはオイラーがよく研究したが、最初の体系的な扱いをしたのはガウスであるとされる。その後の研究には、クンマーやリーマンらによる、超幾何関数が満たす微分方程式を用いた超幾何関数の基本的な特徴付けなどがある。超幾何微分方程式の確定特異点のうち、1 を ∞ に「融合させて」一級の不確定特異点とした二階線形常微分方程式
は(クンマーの)合流型超幾何微分方程式と呼ばれ、この一般解を合流型超幾何関数という。
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諸関数の表現
要約
視点
超幾何関数は、多くの初等関数や特殊関数を包含する。さらに一般化された超幾何関数を用いれば、より多くの関数を表現することができる。
有理関数
対数関数
逆三角関数
完全楕円積分
不完全ベータ関数
ルジャンドル陪多項式
ヤコビ多項式
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積分表現
要約
視点
オイラー積分表示
ガウスの超幾何関数は、以下のようにオイラー積分
として表現することができる。ここで 0 < Re b < Re c である。ベータ関数を用いれば
となる。
証明
バーンズ積分表示
不等式 |arg(−z)| < π を満たす任意の複素数 z に対し、
が成り立つ。
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特殊値の公式
要約
視点
ガウスの超幾何定理
以下の式をガウスの超幾何定理(英: Gaussian hypergeometric theorem)という。
ここに Re(c − a − b) > 0 である。また、この式に a = −k を代入すると、ヴァンデルモンドの恒等式を得る。
証明
ガウスの超幾何関数のオイラー積分表示に z = 1 を代入する。
クンマーの定理
以下の式をクンマーの定理(英: Kummer's theorem)という。
証明
左辺をガウスの超幾何関数のオイラー積分表示を用いて計算する。
ここで、右辺の積分において t = √s と置換する。
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変換公式
要約
視点
パーフの変換公式
不等式 |z| < 1/2 を満たす任意の複素数 z に対し、
が成り立つ。ここで 0 < Re b < Re c である。これをパーフの変換公式(英: Pfaff's transformation)という。
証明
ガウスの超幾何関数のオイラー積分表示において t = 1 − s と変数変換する。
オイラーの変換公式
不等式 |z| < 1/2 を満たす任意の複素数 z に対し、
が成り立つ。ここで 0 < Re b < Re c である。これをオイラーの変換公式(英: Euler's transformation)という。
証明
パーフの変換公式を繰り返し適用する。
クンマーの二次変換公式
不等式 |z| < 1/2 を満たす任意の複素数 z に対し、
が成り立つ。これをクンマーの二次変換公式(英: Kummer's quadratic transformation)という。
ベイリーの変換公式
不等式 |z| < 3 − 2√2 を満たす任意の複素数 z に対し、
が成り立つ。これをベイリーの変換公式(英: Bailey's transformation)という。
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超幾何微分方程式
→詳細は「ガウスの微分方程式」を参照
参考文献
- 齋藤利弥『常微分方程式論』朝倉書店〈近代数学講座5〉、1967年8月25日。ISBN 978-4254116533。
- 福原満洲雄『常微分方程式』(第2版)岩波書店〈岩波全書116〉、1980年5月23日。ISBN 978-4-00-021234-2。
- 青本和彦; 喜多通武『超幾何関数論』シュプリンガー・フェアラーク東京〈シュプリンガー現代数学シリーズ〉、1994年8月23日。ISBN 978-4431706625。
- 西本敏彦『超幾何・合流型超幾何微分方程式』共立出版、1998年11月。ISBN 978-4-320-01593-7。
- 原岡喜重『超幾何関数』朝倉書店〈すうがくの風景7〉、2002年10月25日。ISBN 978-4-254-11557-4。
- 坂井秀隆『常微分方程式』東京大学出版会〈大学数学の入門10〉、2015年8月24日。ISBN 978-4-13-062960-7。
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関連項目
超幾何級数
- 一般化された超幾何関数
- q 超幾何関数
- マイヤーの G 関数
- アペルの超幾何関数
- カンペドフェリエの超幾何関数
- ラウリチェラの超幾何級数
合流型超幾何関数
- 合流型超幾何関数
- ハンバート級数
その他
外部リンク
- Weisstein, Eric W. "Hypergeometric Function". mathworld.wolfram.com (英語).
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