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ST-V

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ST-V(エスティーブイ)は、セガ(後のセガ・インタラクティブ)が発売したアーケードゲーム基板であり、セガ社員の石川雅美が開発した[1]

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ST-V

概要

基板名の『ST-V』は「Sega Titan Videogame system」(セガ・タイタン・ビデオゲームシステム)の略であり[2]、「タイタン」は開発当時のコードネームである[3]土星(=Saturn、サターン)の衛星であるタイタン(Titan)の名が示す通り、セガサターンとの互換性を持つ[1][2]

セガサターンとの違いは、対応メディアがロムカートリッジCD-ROMかというだけで、本体の性能じたいは全く同じである。そのため、本基板で開発、発売されたゲームはセガサターンに移植が容易かつ非常に高い移植度を実現しやすく[3]、移植されたゲームも多い[注釈 1]。データはロムカートリッジから直接読み込めばよいので、セガサターンにあったバッファRAMは省略されており、バッファRAMと同じバスにROMが乗っている。

CPUにSH-2、サウンド用として68EC000が使われており、ソフトは基本的にロムカートリッジで供給されるが、基板にCD-ROMドライブを接続することは可能で、「スポーツフィッシング」など一部CD-ROMに対応した作品もあった[3]ネオジオを意識してカセットを何本も差してゲームを選択できる設計になっておりオプションのアダプタで対応させる予定があったが実際にはリリースされなかった。ST-V用のロムカートリッジをセガサターンに用いることはできない[3]。メディアにロムカートリッジを用いた設計と、別途でディスクドライブを追加できる設計は、共に後のセガの次世代アーケード基板NAOMIドリームキャスト互換)にも受け継がれた。

部品調達難に伴い、2017年3月31日を以って修理サポートが終了した[4]

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展開

要約
視点

元セガAM1研でST-Vのテクニカルサポートを担当したメンバーの回想によると、ST-Vはもともと、SNKの展開するMVS/ネオジオの開拓した「駄菓子屋ロケーション」を奪う目的で開発された[5]。『バーチャファイターリミックス』も、元々は駄菓子屋向けの戦略商品(駄菓子屋向け『バーチャファイター』)として開発された。しかし、駄菓子屋ロケーションの開拓を目論んだセガの上層部は、そのための「体制づくりは何一つやらなかった」[6]ため、駄菓子屋への展開は行われず、もっぱらゲーセン向けとなった。

ST-V第1弾は『ゴールデンアックス・ザ・デュエル』。当時のセガが擁していた2D基板のシステム32基板は、2D表示性能自体は優れていたものの、2Dアニメーション性能においては競合であるSNKのMVS基板に劣っており、セガは当時ブームとなっていた2D対戦格闘ゲーム市場において存在感を出せずにいた(セガはシステム32を2D基板の到達点として、以後は3D基板の開発に移行していた)。ST-V基板は競合に十分太刀打ちできる2Dアニメーション機能を持っており、第1弾が対戦格闘ゲームであったのは自然な流れであったと、元セガAM1研のメンバーは回想している[7]

ゲームの開発は、当初はAM1研のみが担当した。落ち物ゲーム『コラムス』(『コラムス'97』)や、野球ゲーム『ファイナルアーチ』など、「決して派手ではないが、ゲームセンターの隅に1台は置いておかないといけないようなゲーム」[8]を中心として開発が行われた。開発されるゲームの本数は少なく、そもそも売り上げが伸びるようなゲームではなかった。また、営業においては「売上」ベースのノルマが課されていたため、営業は安いST-VではなくMODEL2などの高価なボードを売りたがった。『バーチャファイターリミックス』ではなく『バーチャファイター2』を売りたがった。結果として、ST-Vの展開は伸び悩んだ。しかし、作った以上は売らねばならないので、一応展開された。

その後、会社の方針として、ST-Vのテコ入れが行われた。セガ社内においては売り上げの見込めないST-V向けゲーム開発に力を入れたいと思う開発部署は存在せず、ゲームの内部開発のモチベーションが起こらないため、ST-V基板をサードパーティにも広く開放することとなり、サターン向けゲームをST-Vに移植してくれるように営業がサードパーティに頼んで回った。ST-V専任の営業が割り当てられ、またAM1研にテクニカルサポート部署が置かれた。

1998年、セガの代表的なサードパーティとして、セガAM1研のメンバーらがトレジャーにお願いに行き、当時サターン向けソフトとして開発中であった『レイディアントシルバーガン』を先にST-V向けにリリースしてくれることになった。ST-V版『レイディアントシルバーガン』は、ゲーム自体の評価は高かったが、マニア受けするゲームであったため、マニアによってすぐに攻略が行われ、インカムがすぐに落ちた。またリリースから1か月後にサターン版の発売告知が行われ、インカムが一気に落ち、店舗側から不評を買った上、カートリッジの売れ行きも落ちた。『レイディアントシルバーガン』は、このST-V版カートリッジの売れ行きをベースにサターン版の製造本数が決められたため、ゲームとしての出来が非常に良いにもかかわらず、製造本数が少なくなったという[9]。(なお、本項が典拠としている記事を執筆したセガAM1研のメンバーの名前も、開発のアドバイスを行った功績で『レイディアントシルバーガン』のクレジットに記載されている)

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主なタイトル

その他

脚注

参考文献

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