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Sailfish OS
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Sailfish OS (セイルフィッシュ オーエス)は、フィンランドのヨーラ社によって開発されているLinuxベースのオペレーティングシステム(OS)。Merなどのオープンソースを基本とするがクローズドソースのUIも含んでいる。
このOSは、2013年にヨーラ社スマートフォンで最初に出荷され[注釈 1]、続いて2015年に同社タブレット[5]および同OSとライセンス契約を結んでいる他の販売会社からも出荷された[6]。このOSは、熱心なコミュニティによってスマートフォン[7]やタブレットを含むサードパーティのモバイル端末に移植されている[8]。Sailfish OSは様々な種類の端末で使用可能であり、日本国内だとソニーモバイルコミュニケーションズのXperia端末で使える仕様である[9]。
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経緯および開発
このOSは、ノキアとインテルの提携により以前開発されていたLinux系OSのMeeGo を進化させた後継種である。中核部のMer[注釈 2]には、MeeGoの遺産といえるコードの約80%が含まれている。これを土台に、カスタムUIとデフォルト (コンピュータ)のアプリケーションを有するヨーラがOSの拡張を行なった。ヨーラとMER事業は、当時のMeeGo事業の予期せぬ頓挫につながった失敗を避けるため、メリトクラシー体制[注釈 3]を敷いている。
開発状況
Sailfish OSはヨーラによって推進され、2011年に設立された企業提携グループSailfish Alliance (OEMおよびODMメーカー、チップセット供給業者、オペレーター企業、アプリ開発会社、小売業者を結びつけるために設立)によってサポートされている[10]。2012年8月16日、同UIの公開準備が整ったと報道された。 ヨーラ社CEOのユッシ・ハルモラは「我々のUIは今や準備万端ですが、まだ非公開にします。我々は製品発売までそれを温存する予定で、現在プラットフォームの立ち上げ中なので、この事業はかなり上手く行きそうです」とZDNetのインタビューで語り[11]、その翌日には、同じくヨーラ社CEOのマーク・ディロンが最初の開発目標に達したとTwitter上で語った。
Sailfishは、2012年11月21-22日にヘルシンキでのSlushイベントで、OSのデモとして、ヨーラチームによって初披露され(世界規模のネット配信含む)、またUIやソフトウェア開発キット(SDK)も公開された。Sailfish OS SDKのα版は2013年2月末に公開され、無料ダウンロードできるようになった。
2013年9月16日、ヨーラはこのOSにAndroidのアプリケーションおよびハードウェアとの互換性を持たせたと発表した[12]。それを組み込んだ最初の電話は、2013年11月27日にヘルシンキで発売。そのイベントでは最初の450台が販売され、予約済みの端末の残り台数もほどなく出荷された。
2015年9月、ver1.1.9.28"Eineheminlampi"がリリースされ、改良されたSailfish OS 2.0のUIの主要素が追加された。Sailfish 2.0はヨーラのタブレット端末で発売され、既存デバイスについては同社公式チャンネルから2.0へのアップグレードでるように対応した。
2016年5月、ヨーラはSailfish コミュニティ向けの端末プログラムを公表し、SailfishOSコミュニティの開発者と会員をサポートした。
2018年、スペインのバルセロナで開かれたMWCでSailfish 3が発表され、日本だとXperia端末で使えるようになった[9]。
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ソフトウェアアーキテクチャ
Sailfish OSと同ソフトウェア開発キットはLinuxカーネルとMerを土台としている[13][14][15]。Sailfish OSには、ヨーラによってWayland(ディスプレイサーバの通信プロトコル)上に構築された"Lipstick" と呼ばれるマルチタスク実行のグラフィカルシェルが入っている[16]。ヨーラは自由でオープンソースの描画デバイスドライバを使用しているが、Hybris (ソフトウェア)ライブラリではAndroid向けに独自のドライバを使うこともできる[17][18]。ヨーラの掲げる目標は、Sailfishが最終的にオープンソースになることである[2]。
Sailfish OSは、独自の互換性レイヤを介してAndroidアプリケーションを実行することができる[19]。
ソフトウェア概要
要約
視点

UI の対応言語
公式では、ヨーラはこのUIについて14言語対応(デンマーク語,ドイツ語,イギリス英語,スペイン語,フランス語,イタリア語,ノルウェー語,ポーランド語,ポルトガル語,フィンランド語,スウェーデン語,ロシア語,中国語,香港語)を公言している。
このそれぞれに対して、OSには専用のキーボードがある。ヨーラの管轄下ではない有志コミュニティによって非公式ながらサポートされている言語が幾つかあり、合計で20以上の言語(日本語など)に対応している。追加言語は、Linuxアーキテクチャのため若干知識も要るがユーザー側でインストール可能である[20][21]。
バージョン履歴
*Sailfish 1.0は、フィンランドの湖にちなんでバージョン名が付けられている[29]
- Sailfish 2.0は、フィンランドの川にちなんで命名されている[30]
- Sailfish 3.0 および 4.0 は、フィンランド国立公園にちなんで命名されている[31]
- Sailfish 4.1以降は、フィンランドのユネスコ世界遺産にちなんで命名されている[32]
なお、インストール済みSailfishOSを古い(例えば工場出荷時の端末)バージョンから更新する場合に、必要なバージョン(Stop release)が幾つかある。これらを飛ばしてはならず、後続バージョンを導入する前にインストールする必要がある。これらは以前のバージョンと互換性のない新機能を提供しており、SailfishOSのインストールを不安定状態にさせないために必要なバージョンで、以下のものがある。
Sailfishのウェブサイトでは、移植の問題に関する知識・リンク・手順のオンライン概要が公開されている[33]。
Sailfish OS上で実行するAndroid
既存のアプリに加えて、SailfishはアプリストアまたはAPKファイルを介して直接インストールすることで、大半のAndroidアプリを実行可能である。対応しているAndroidのバージョンは、ヨーラ社独自のスマホでは4.1.2、ヨーラC(携帯電話)とヨーラ社タブレットおよびXperia Xでは4.4.4 、Xperia XA2とXperia 10とXperia 10 IIでは8.1.0 と9と10である(Sailfish OSのリリース時による)[34]。これらのアプリが制御に関する Android規格に従わずに構築された場合は問題を起こす可能性があり、正しく画面表示されず使用できなくなる場合がある。
Sailfish OSは、Alien Dalvikという自社権利のAndroid互換性レイヤを使用している。それはAndroidコピーをエミュレータ (コンピュータ)しないが、代わりにAndroidオープンソース・プロジェクト(ASOP)コードをアプリとして実行するよう適合させることでそのAPIを実装している。こうすることでAndroidアプリは、何らかの知覚できる遅延もなく本来の速度で実行可能である。Sailfish は、ユーザーが臨機応変にそれを切り替えて、Sailfish 本来のソフトとAndroidソフトの両方を同時実行することが可能である[35]。
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ハードウェア概要
要約
視点
Sailfish OSは、LinuxカーネルのサポートがありMerコアを利用したミドルウェアと互換性のあるハードウェアで使用可能である。有志コミュニティがこの手法で多くの端末にSailfish OSを移植している[37]。特定のHRPを指定する代わりに、Sailfish SDKでのVirtualBox実装がLinuxやOS XやWindowsでの開発用に利用可能である。このバーチャルマシンの実装にはローカルリソースとローカルOS から孤立したSailfish OS全体が含まれ、実際の端末に展開する前にコード化ないし移植されたソフトウェアの動作およびパフォーマンスを簡単に評価できるようになる[38][39]。
ヨーラ社端末
- ヨーラC(携帯電話)
- ヨーラタブレット
- ヨーラフォン(スマートフォン)
ライセンス供与の他社端末
メーカーは、ライセンス供与されたSailfish OSを組み込んだ又はオープンソースと組み合わせたモバイル端末を提供可能である。以下は、バージョンXのSailfishが利用可能な端末機種である[40]。
- Xperia 10 III
- Xperia 10 II
- Xperia 10 Plus
- Xperia 10
- Planet Computers Gemini PDA
- Sony Xperia XA2 Plus
- Sony Xperia XA2 Ultra
- Xperia XA2
- Xperia X
同志コミュニティによる他社製端末への移植
移植の比較的容易さとオープンソースのライセンスにより、Sailfish OSは他のサードパーティ社製端末へ非公式に移植されている[41]。移植者向けにハードウェア適応開発キットが公開されており、無料である[42]。これらの移植は、主にMaemoやXDA Developersの討論コミュニティで公開されており、Mer wikiでは移植リストがまとめられている[43]。ライセンス制限のため、Androidアプリ用の互換性レイヤ(Alien Dalvik)などの権利部分や拡張機能は含まれていない。ただし、例えばメーカーや販売代理店がコミュニティ版から特定端末向けに公式サポートされているバージョンに変えた場合などは、それらの追加も可能となる。当初は80以上の移植があって、依然として運用中の移植版が19存在しており(2019年3月現在)、それらはSailfish 3に更新されたことになっている。
日本国内メーカーの製品では、ソニーのXperia X Compact[44]にコミュニティ移植版がある。
Sailfish アライアンス
Sailfish アライアンスは、MeeGoの収益協調体制を支援するべくヨーラ社によって2011年に設立された門戸開放型企業提携であり、様々な目的やモバイル端末向けにヨーラや他の当事者による独自コンポーネントとmerとを組み合わせたLinux運用システムのSailfish OSを活用した、新製品や新サービスや新たなビジネスチャンスを提供している。また、SailfishOSが一部含まれるLinuxMeeGo収益協調体制の開発を続けている。
この提携は、Androidのオープン・ハンドセット・アライアンスのような他団体の競争相手と見なされている。
2011年、ノキアで働いていたMeeGoチームの一部が去り、元従業員による企業独立事業に資金提供する「ブリッジ(橋渡し)」プログラムを通じてノキアから資金提供を受けた[45][46][47]。Sailfishアライアンスは、フィンランドのソフトウェア開発会社と海外の携帯電話メーカーとの協業を模索しており、その一部が中国にある[48][49]。ニュースメディアは、中国やインド国内にあるメーカーの多くがAndroidの代替品を望んでいると報じている[50][51]。
この企業提携は、「OEMおよびODMメーカー、チップセット提供企業、運用事業者、アプリ開発業者、小売業者を統合する」ことを目的としている[52]。
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関連項目
脚注
外部リンク
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