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アメリカ合衆国によるゴラン高原のイスラエル主権承認
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本項ではアメリカ合衆国によるゴラン高原のイスラエル主権承認(アメリカがっしゅうこくによるゴランこうげんのイスラエルしゅけんしょうにん)について述べる。2019年3月25日、米国大統領ドナルド・トランプ(第1次)が大統領布告に署名し、米国は公にゴラン高原がイスラエルの主権下にあると宣言した[1]。この領域は1967年の第三次中東戦争以降イスラエルの軍事占領下にあり、国際法上はシリア領と見なされている[2]。1981年にイスラエルはゴラン高原の併合を図っていた。
イスラエル当局はこの領域に対する「イスラエルの主権」を認めるよう米国に働きかけていた[3]。この承認は、翌月頭に迫っていたイスラエル議会総選挙を巡ってイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフを助けるための、米国大統領トランプからの政治的な贈り物と見られている[4][5]。国際連合含む多数の組織・国から非難を浴び、シリア政府はシリアの主権と領土保全に対する「あからさまな攻撃」であるとして拒絶した。この承認は次のバイデン政権でも撤回されることなく継続している。
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背景
→「イスラエルによるゴラン高原占領」および「エルサレムをイスラエルの首都とするアメリカ合衆国の承認」も参照
1967年の第三次中東戦争において、イスラエルはシリアからゴラン高原を奪った[6]。1981年、イスラエル政府はゴラン高原法により同領域の併合を図ったが、国際的には認められていない[6][7]。1967年以降、国際連合はゴラン高原をイスラエルの軍事占領下にあるシリア領土だと認定している[2]。
2019年3月に米国がゴラン高原をイスラエル領であるとするよりも前、トランプ政権は2017年12月にエルサレムをイスラエルの首都として承認する大統領布告に署名していた[8][9]。米国の在イスラエル大使館はテルアビブからエルサレムに移されたが、この承認と移転は国際社会からの大きな非難を浴びた[9][10]。なお、東エルサレムはイスラエルの軍事占領下にあると見なされている[9][11]。
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発表
2019年3月21日、米国大統領ドナルド・トランプは「52年たった今、アメリカがイスラエルのゴラン高原に対する主権を全面的に認める時が来た。イスラエルと地域の安定にとって、戦略的にも安全保障面でも重要なことだ!」とツイートし[12][7]、イスラエルがこれを歓迎した[13]。ネタニヤフは「イランがシリアを拠点にイスラエルを破壊しようとしている」とTwitter上で主張し、トランプへの謝意を示した[7]。ゴラン高原のドゥルーズ派がトランプの発表への抗議行動を行った[14]。
4日後の25日、ネタニヤフが同席するワシントンでの記者会見で、トランプは「米国はゴラン高原がイスラエル国の一部であることを認める」とする布告に署名した[15][16]。
トランプは、第21回イスラエル議会総選挙のわずか2週間前に布告に署名し、またネタニヤフを訪米させることで、イスラエル国内で苦境に立つネタニヤフの支持率を押し上げようと画策した[4]。また米国の親イスラエル有権者の間でのトランプの人気を増幅させる狙いがあるとも見られており、実際トランプはこの間民主党を反ユダヤ主義だと主張していた[4]。
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反応
国連事務総長のアントニオ・グテーレスは「ゴラン高原の地位は変わらない」と述べ[6][17]、米国の動きはEU[18][19][20]や英国、ドイツ、フランス、ベルギー、スペイン、ポーランド、南アフリカ、トルコ、エジプト、アラブ連盟、ロシア[6][21][22]、アイルランド[23]、サウジアラビア[24]、オマーン[25]、アラブ首長国連邦[26]、バーレーン[27]、カタール[28]、クウェート[29]、ヨルダン[30]、イラク[31]、イラン[32]、モーリタニア[33]、モロッコ[34]、チュニジア[35]、ソマリア[36]、レバノン[37]、日本[38]、キューバ[39]、ベネズエラ[40]、インドネシア[41]、カナダ[42]、パキスタン[43]、スーダン[44]、マレーシア[45]、ベトナム[46]、中国[47]などから非難や批判、拒否の対象となった。
シリアは自国の主権と領土保全に対する「あからさまな攻撃」であると述べ、領土を取り戻す権利があると訴えた[6]。国営のシリア・アラブ通信社はシリア国内の複数の県でトランプの宣言に対する抗議行動が行われたと報じた[48]。3月25日の布告の中でイスラエルへの脅威として言及されたヒズボラのハサン・ナスララは「抵抗、抵抗、そして抵抗」がイスラエル占領下の領土を奪還する唯一の方法だと述べた[49]。
一方で大統領ルーベン・リブリン、シェリー・ヤヒモビッチ、ベニー・ガンツ、ナフタリ・ベネットなど与野党問わずイスラエルの大物政治家が米国の動きを称賛した[50][51][52]。
余波

2019年4月23日、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは、ゴラン高原の新しい入植地にトランプにちなんだ名を付ける考えを示した[53]。同年6月16日、イスラエルは「トランプ高原」の設立を発表した[54]。
2024年12月にはイスラエル首相府が、ゴラン高原の人口を倍増させるとする計画を政府が全会一致で承認したと発表し、ネタニヤフは「ゴラン高原を強化することはイスラエルを強化すること」だと強調した[55]。
脚注
関連項目
外部リンク
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