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プロメテ古細菌綱

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プロメテ古細菌綱
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プロメテ古細菌綱(ぷろめてこさいきんこう、Promethearchaeia)は、Promethearchaeumをタイプ属とし、2024年に提唱された古細菌である。旧称のロキ古細菌(Lokiarchaeota)としても知られる。

概要 プロメテ古細菌綱, 分類 ...

記載種はPromethearchaeum syntrophicum 1種のみだが、培養系としては他に"Candidatus Lokiarchaeum ossiferum"も存在する[1]

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概要

プロメテ古細菌綱(Promethearchaeia)は、2010年に北極海ガッケル海嶺にあるロキの城と呼ばれる熱水噴出口の環境試料から得られたメタゲノム解析により、最初の系統(当時はロキ古細菌と呼称)が報告された。名称は採取地点ロキの城に由来するが、これは北欧神話の神ロキにちなむ名称であったことから、その後アスガルド古細菌(後のプロメテ古細菌界)には北欧神話に関連する名称が用いられるようになった。

初期のメタゲノム解析では、およそ5.1 Mbp(全長の約92%)、5,381遺伝子から成るゲノムが再構築され、真核生物様の遺伝子が約175個含まれることが示された。この中にはエオサイト系統にも見られるアクチン様タンパク質に加え、低分子量GTPアーゼ、ESCRT I・II・III、ゲルゾリン、BAR/IMDスーパーファミリーなど、細胞骨格形成や細胞変形、小胞輸送制御に関わる遺伝子群が含まれており、特にプロフィリンはウサギアクチンとの相互作用が実験的に確認されている[2][3]。またユビキチン-プロテアソーム系遺伝子も持っていた。

生態は不明だが、"Lokiarchaeum" sp. GC14_75のゲノム情報から嫌気性の水素依存性生物と予想された[4]

2017年にはロキ古細菌と近縁な古細菌がいくつか報告されており、この中にはロキ古細菌よりも更に真核生物に近いと考えられるヘイムダル古細菌や、チューブリンを持つとされるオーディン古細菌も報告されている。真核生物に近いこれらの系統を総称してアスガルド古細菌と呼ばれたが、現在はプロメテ古細菌界へ改名されている。

2019年にはメタゲノムアセンブルゲノム(MAG)を再構築して6種のゲノムが同定されており、それぞれのゲノムサイズは3.4 - 4.5Mbpの範囲にあることが判明していた[5]。2020年には、この系統に属すと思われるPromethearchaeum syntrophicumの培養が報告され、ゲノムサイズは4.4 Mbpであることが判明した[6][7]。2024年にこの属をタイプとして、科から界までが提唱され、ロキ古細菌はプロメテ古細菌綱、アスガルド古細菌はプロメテ古細菌界へ改名された。

2022年には2例目の培養系として"Candidatus Lokiarchaeum ossiferum"が報告され、細胞骨格の存在を裏付けるアクチン系フィラメントや複雑な細胞構造が観察された[8]

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参考文献

  • Spang, Anja; Saw, Jimmy H.; Jørgensen, Steffen L.; Zaremba-Niedzwiedzka, Katarzyna; Martijn, Joran; Lind, Anders E.; van Eijk, Roel; Schleper, Christa et al. (2015). “Complex archaea that bridge the gap between prokaryotes and eukaryotes”. Nature. doi:10.1038/nature14447. ISSN 0028-0836.

脚注

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