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荷台部分にミキシング・ドラムを備えた貨物自動車 ウィキペディアから
トラックミキサ(truck-mixer)とは、荷台部分にミキシング・ドラムを備えた貨物自動車(トラック)のことである。回転可能な樽形の容器に生コンクリートを収めて、走行中も撹拌しながら輸送することができる。日本国内では1949年(昭和24年)に傾斜装置の上に鍋形の生コン容器を取り付けた構造のミキサ車が登場し、1952年(昭和27年)には現在の形の原形となる傾斜回転式バレルを搭載したアジテータートラックが登場した。
なお、過去において日本の官公庁や工業界では、語尾の長音符を省略することが慣例となっていたが、このページでの表記は特記のない限り「ミキサ」「アジテーター」で統一する。
「トラックミキサ」の他にも「ミキサ車」や「生コン車」、専門的には「アジテーター・トラック」[1]「トラック・アジテーター」「移動式ミキサ」「アジ車」などと呼ばれる。
工事関係者以外の一般社会では「ミキサ車」と呼ばれることが比較的多く、土木・建築業界や官公庁では「生コン車」「アジテータ」と呼ばれる傾向がある。土木/建築業界では、セメントや骨材、混和剤などを水と共に回転式の容器内に投入し攪拌することでコンクリートを製造する機械は「ミキサ」と呼ばれ、工事現場での利便のためにその多くが移動式の「ミキサ車」や「移動式ミキサ」と呼ばれるものである。
本車両は主に「バッチャープラント」や「生コン工場」と呼ばれる製造工場で作られた生コンクリート(フレッシュ・コンクリート、生コン)を建築や土木の工事現場へ輸送するために使われる。生コンクリートは輸送中でも適度な撹拌を行わないと骨材や水が分離し、均一でなくなってしまうので、容器をゆっくりと回転させて撹拌しながら輸送する。走行中に荷台上で可動する機構を搭載し、駆動軸をPTOでエンジン回転軸から分岐させるなどの特別な構造を持つため、特種用途自動車のいわゆる「8ナンバー車」である(車検証上に記載される車体の形状は「コンクリートミキサー車」)[2]。
あらかじめ工場で生産されたコンクリート(レディーミクストコンクリート、略してレミコン[3])を撹拌しながら輸送するものを「アジテーター」という。コンクリート素材を混合しながら走行できるミキサ車はアジテーターに比べ、容器を高速で回転させることができる。構造的にはどちらも大差なく、最近では道路整備が進んで輸送が容易になったことや、道路事情が悪い地域の大規模な現場[4]では現場内に生コン製造設備を設置したりするようになったこと、車上混合製造では混合温度や質量の測定が難しく品質管理が困難なことから車両上でコンクリートを製造する需要が少なくなってきていることで、アジテーターが普及しており、ミキサ車もアジテーターとして使用可能な構造のものが主流になった。そのため、現在では両者の区別は厳密ではなくなってきているが、一般社会では「ミキサ車」、業界では「生コン車」「アジテータ(ー)」の呼称がよく使われるようになっている。
日本での発明者は、長らく「清水建設在籍時代の櫻井眞一郎(後にプリンス自動車工業→日産自動車)」と言われていたが、近年の調査により、実際は犬塚製作所と磐城コンクリート工業(現:東京エスオーシー)である可能性が高いとされている[5]。
トラックミキサに水だけを積載して運搬することもある。比重1前後の液体を運ぶことを想定したタンクローリーや散水車と異なり、トラックミキサは格段に比重の大きな生コンクリートを輸送することを想定した車両なので最大積載量の割にタンク容積が小さく、輸送効率の点では劣るが、トラックミキサを所有する業者が臨時に水を輸送するためにはトラックミキサを流用するのが手軽である。生コンクリート業者の自社工場内の清掃や水道のない建築・土木現場への水の輸送にしばしば使われる他、糸魚川大火の際にも不足した消火用水を輸送する使われ方がなされた[6]。糸魚川大火以前から消防水利が全く無い山林火災現場へ消火用水を応急輸送した例などは存在するが、糸魚川大火以降は消防庁の指導もあり、自治体または消防本部とコンクリートミキサ車等事業者団体が大規模災害時および大規模火災時に給水(飲料水以外の用水輸送)に協力する旨の協定締結が増加している。
通常のトラックが備える要素に加えて以下のような装置や部品から構成される。
ミキサ車は自動車メーカーが製造したシャーシに架装業者がミキサの装置部分を装備(架装)することで製作される。シャーシ製造業者は主に自動車として機能するために必要な部分(走る・曲がる・停まるに加え、灯火類など)を製造し、架装業者はミキサの部分(ドラム・ホッパー・シュートなど)を製造する。
以下に、日本において高いシェアを持つ架装業者を挙げる。
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