ノビレス
ウィキペディア フリーな encyclopedia
ノビレス(ラテン語: Nobiles)は、共和政ローマにおける支配者階級を構成した貴族階層。ノビリタス(ラテン語: Nobilitas)とも。従来の貴族階層パトリキと政治的発言力を強めた有力平民(プレブス)家族をあわせて構成された。日本語では、新貴族、平民貴族などと訳される。
彼らによる支配体制は「ノビリタス支配」と呼ばれるが、ノビリタスが何を指すのか、ローマ人がアバウトに使っていたこともあってハッキリと定まっておらず、先祖にコンスル(執政官)を出したコンスル級家系であるとする説や、クルリス級政務官(象牙の床几椅子に座る資格を持つアエディリス・クルリス以上)を出した家系であるとする説もある。また、彼らの力の源泉とされたパトロネジ(クリエンテス)論も過大評価として近年見直しが行われている[1]。
エルンスト・バディアン(英語版)(1925 – 2011)は、紀元前3世紀頃、この新たな支配階層が現れたとし、ノビリタスの語源である「有名なものたち」というのは、彼らが先祖の現し身としてその威光を感じさせたからだろうとしている。そのために彼らは「名が知られて」おり、受け継がれてきた家系やクリエンテスらによって、更に選挙戦を有利に戦うことができた。この用語が古代のいつ使われ出したかは不明で、マティアス・ゲルツァー(1886 – 1974)が紀元前1世紀の状況に適用される準学術的なものとして規定したとしている[2]。