バルナバによる福音書
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『バルナバによる福音書』(バルナバによるふくいんしょ)はイエス・キリストの生涯を描いた書物。イエスの弟子バルナバにより著されたと主張されている(通常と違い本文献中ではバルナバは十二使徒のひとりとされている)。二つの写本が存在を確認されており、いずれも16世紀後半に遡る。その二写本は一方がイタリア語、他方がスペイン語で書かれているが、スペイン語写本の方は現在では失われ、18世紀に転写されたものが残るのみである。バルナバによる福音書は正典の四福音書を合わせたのと同じぐらいの分量があり、イエスの宣教の記述にその分量が費やされているが、その記述は正典の福音書と多くの点で一致する。いくつかの重要な点において、本文献の記述はムスリムによるキリスト教の起源に関する解釈に従っており、キリスト教による新約聖書に関する教説と相反する。
バルナバによる福音書はかなり後の時代の文献であり偽典であるとキリスト教徒と(アッバース・エル=アッカドのような)多少のムスリムの双方を含む大多数の研究者が考えている;[1] しかしながら、初期の(おそらくグノーシス主義者[2]、エビオン派[3]、あるいはタティアノス派[4]による)外典の残遺がいくつか含まれている可能性があり、イスラームの教義に合うように再編集されたのだろうと主張する研究者もいる。現存する版は使徒時代の弾圧された原本を伝えるものだとみなすムスリムもいる。また、本文献をイスラームによるイエス解釈を支持するものとして引用するイスラーム系の組織もある。
バルナバによる福音書を現存する『バルナバの手紙』や『バルナバ言行録』と混同しないように注意。