付審判制度
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特許申請をした者が特許庁から審査拒絶を受けた場合等の司法的救済手続きについては、『付審判手続(特許審査)』を参照。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
付審判請求(ふしんぱんせいきゅう)とは、日本における刑事訴訟手続の一つ。刑事事件について告訴又は告発した者が、検察官によって不起訴処分とされ、これに不服がある場合に、裁判所に対し審判に付することを請求する(すなわち、検察官に代わって裁判所が起訴すべきである、と請求する)手続である。準起訴手続(じゅんきそてつづき)ともいう。
我が国では起訴便宜主義が採用されており、刑事事件について起訴・不起訴の判断権限は原則として検察官のみが行うものと法定されていることから、付審判請求は、検察審査会制度と並んで起訴便宜主義の例外として位置付けられている。対象犯罪は、公務員職権濫用罪等の特定の公務員犯罪に限定される。これは、特定の公務員犯罪(例えば、警察官が職務に仮託して違法な行為を行ったような場合)は、制度設計上、検察官の利害に直結しているからとされる。すなわち、警察官が職務熱心の余りやり過ぎて、その行為が違法と評価する程度に達していた場合でも、やり過ぎた行為が違法であるということは別論として、検察官はそのやり過ぎた行為の結果の恩恵を受ける立場にある(刑事訴訟法192条,193条など参照)。したがって、利害関係を有する検察官が、本来であれば起訴すべき警察官の職権濫用行為を公平中立に起訴するとは想定できない。実際、歴史的類型的にみて、旧刑事訴訟法下による警察等の人権蹂躙事件が多く、これに対し検察官が捜査や起訴に不熱心であったという批判が強かった。そのような制度的担保として、特定の公務員犯罪にのみ限定して、裁判所が代わりに起訴することができるとされた手続である[1]。
もっとも、付審判請求の認容率は極めて低く、2024年現在で、歴史上認められた件数は22件に留まる[2]。1960年~2009年1月末を対象とした統計では、その認容率は0.101%であり[3]、特に認容率の低い刑事手続である「否認事件(無罪主張)」「再審請求」「付審判請求」という3つの手続の中でも、群を抜いて認容率が低いと指摘されている[4]。
なお、特許申請をした者が特許庁から審査拒絶を受けた場合等の司法的救済手続として同名の手続があるが、全く別のものである。