最低賃金
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最低賃金(さいていちんぎん、英: Minimum wage)とは、労働市場のセーフティー・ネットとして、最低限支払わなければならない賃金の下限額を定め、使用者に強制する制度のこと[2][3]。労働基本権に基づくもので、ナショナル・ミニマムのひとつ。 最低賃金の算定にあたっては、賃金は労働者とその家族の生活を保障する水準であるべきだという生活賃金 (living wage)が基準となる[4]。最賃(さいちん)とも略される[* 1]。
国名 | 最低時給(USドル) |
---|---|
フランス | 13.8 |
オーストラリア | 13.6 |
ルクセンブルク | 13.6 |
ドイツ | 13.6 |
ニュージーランド | 13.2 |
ベルギー | 12.7 |
オランダ | 12.0 |
イギリス | 11.8 |
スペイン | 11.4 |
カナダ | 11.1 |
アイルランド | 10.1 |
スロベニア | 9.6 |
韓国 | 9.5 |
トルコ | 8.8 |
日本 | 8.5 |
ポーランド | 8.4 |
リトアニア | 8.0 |
ポルトガル | 7.4 |
アメリカ | 7.3 |
イスラエル | 7.0 |
チェコ | 6.3 |
ギリシャ | 6.2 |
ハンガリー | 6.2 |
エストニア | 5.7 |
スロバキア | 5.7 |
日本では、最低賃金法第1条において 「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」 [5]と謳っている。発展途上国やフランス語圏の国では、広範に最低賃金が適用されている傾向がみられる[6]。
国内経済に合わない過度な引き上げの場合には、逆に機械化・勤務時間抑制による貧困層の増大、失業者の増加(とりわけ低スキル労働者)、未払い賃金の増加、最低賃金引上げによる物価上昇に伴う低所得層の消費減少といった低賃金労働者層ほど悪影響が起きる。自営業者など中小企業にも各種悪影響が起きる[7][8][9][10]。 多くの国で導入されているが、必ずしも全ての国内の労働者に適用されるものではなく、外国人労働者は対象外のような特定の層に対して減額や、適用除外が行われることがある。 シンガポールでは、清掃業・警備業・造園業・エレベーター及びエスカレーターのメンテナンス業務・小売業・飲食サービスと事務職とドライバー、ごみ処理部門の労働者といった一部職種を除いて、最低賃金制度は設置されておらず、賃金を労働力の需要と供給のバランスで決定している[11][12][13]。
アメリカ合衆国の場合は、米連邦法は月30ドル(約4200円)以上のチップを貰う労働者には雇用側は時給2.13ドル(約300円)を支払うだけで良いと定められている[14]。