鮞状珪石および噴泉塔
秋田県湯沢市にある温泉沈殿物と噴温丘 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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鮞状珪石および噴泉塔(じじょうけいせきおよびふんせんとう)とは、秋田県湯沢市(旧雄勝町)秋ノ宮字役内山外[1]山居野にある[2]、国の天然記念物に指定された、二酸化ケイ素(シリカ、SiO2・英: silica)から生成された魚卵状の温泉沈殿物(英: Hot-spring Deposits)と、珪華(湯の花の一種)が厚く堆積して造られた噴温丘(ふんとうきゅう、英: Sinter Cones)である。鮞状珪石(じじょうけいせき、英: Siliceous oolite[3]、SiO2+nH2O[4])は酸化鉱物のひとつで、鮞状珪華(英: Oolitic silica)、魚卵状珪華(英: Oolitic Tufa)など様々な呼び名があり[5]、温泉水に含まれるケイ酸質の非晶質温泉沈殿物であることから(英: Sirica Sinter[6]、Dolitic Sinter[7])とも呼ぶ[5]。これら温泉水中のシリカから生成される魚卵状の球状鉱物は、当地のものを含む他所産出の類似する鉱物との表面や断面の走査型電子顕微鏡による比較検証により、ほぼ同じ生成過程を経ていると考えられており[8]、鉱物学的には蛋白石、すなわち天然のオパール(英: Opal)であるとされる[3]。
指定名に含まれる鮞状珪石(じじょうけいせき)の「鮞」とは、魚の卵、すなわち魚卵の意味で[9][10][11]、秋田県の県魚で冬の郷土料理としても知られるハタハタ (Arctoscopus japonicus、鰰、鱩、雷魚、燭魚、英語: Sailfin sandfish)の卵、秋田方言で言うブリコによく似ているため、秋ノ宮温泉周辺では古くよりブリコ石、ぶりっこ石などと呼ばれている[1][12][13]。これは温泉沈殿物の一種であるが極めて珍しいもので、温泉水中の珪酸成分が水中で微小な石英や岩石片を核にして、直径 1.5 - 4mmほどの粒状の球体をしたもので、色はほとんどが白灰色である[1]。これらが結合して数十cmの大きさの集合体を形成する[4]。シリカを含む温泉沈殿物が周囲に堆積してできた噴湯丘[14]とともに「鮞状珪石および噴泉塔」として1924年(大正13年)12月9日に国の天然記念物に指定された[12][15][16][17]。なお、指定名称に含まれる「噴泉塔(ふんせんとう)」は当地の場合、正確には「噴温丘(ふんとうきゅう)」のことであるが詳細は後述する。
天然記念物に指定されたブリコ石は地表に現れたものはほとんど盗採されてしまい、今日では指定地を訪れても目にすることは出来ず、噴湯丘(噴泉塔)も原形が崩れているため、明確な形状を確認することは難しい。指定地には湯沢市教育委員会と湯沢ジオパークが設置した解説板と、「荒湯」と呼ばれる熱湯と蒸気の吹き出す温泉湧出口と地熱地帯があり、かつて鮞状珪石(ブリコ石)が生成されていた名残をとどめている[1]。
当地秋ノ宮で産出した鮞状珪石(ブリコ石)の実物は、同じ湯沢市内の高松地区にあるジオスタ☆ゆざわ(湯沢市郷土学習資料展示施設[18])や、秋田市の秋田県立博物館[19]、秋田大学附属鉱業博物館などに展示・収蔵されており、見学することが可能である[5]。