松岡 圭祐(まつおか けいすけ、1968年12月3日 - )[1]は、日本の作家。
概要 松岡 圭祐(まつおか けいすけ), 誕生 ...
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『万能鑑定士Q』『探偵の探偵』『ミッキーマウスの憂鬱』『千里眼』『催眠』他で知られる。
1997年10月に、小説デビュー作『催眠』を発表。ミリオンセラーになったこの作品はシリーズ化されることになった。同シリーズは、カウンセラーとタレント催眠術師の対立から催眠現象の実体を浮き彫りにする内容で、これ以前の松岡圭祐の知見を小説の形で描いたものである(後述)。
1999年5月に、小説『千里眼』を発表。『催眠』と同様にシリーズ化され、累計628万部を超える人気作になった。元航空自衛官で臨床心理士の岬美由紀というヒロインが登場するシリーズで、北朝鮮の工作船や同時多発テロ・イラク戦争など、国際的時事問題を盛り込んで、それを松岡流の料理の仕方で見せるのが特徴である。
1999年『催眠』が東宝により映画化、翌2000年TBS日曜劇場にてドラマ化。同年『千里眼』が東映により映画化、2007年『蒼い瞳とニュアージュ』ドラマ化。
『マジシャン』は手品業界の裏側の生々しい描写とメディア批判を特徴としたシリーズである[2][3]。2018年、『マジシャン』と続編『イリュージョン』の海外映画化が発表[4]。
『ミッキーマウスの憂鬱』は東京ディズニーランドのバックステージを描く架空の青春小説[5]で、2009年以降新潮文庫の100冊に選出。2019年6月末現在で27刷を数える。第31回NHK杯全国中学校放送コンテスト朗読部門課題作に選出された[6]。
2010年からは『万能鑑定士Qの事件簿』に始まるQシリーズが開始、ヒロイン版コージー・ミステリーの先駆的作品として一年で200万部を超えるヒットとなる。2014年東宝により映画化。『ヤングエース』でコミック版連載。姉妹編『特等添乗員αの難事件』も『月刊Asuka』でコミック版連載。
2014年11月からは講談社文庫で『探偵の探偵』シリーズを開始。2015年7月よりフジテレビ系木曜10時『木曜劇場』枠でドラマ化[7]。『週刊ヤングマガジン』でコミック版連載。
作品の入試問題への採用も多く、『万能鑑定士Qの事件簿I』が平成27年度金沢工業大学前期入試問題の国語長文読解に、『ミッキーマウスの憂鬱』が平成27年度和歌山信愛高等学校入試、平成26年度国府台女子学院高等部前期入試、札幌聖心女子学院中学校、平成24年度古川学園高校入試、平成22年度西南学院高等学校、豊島岡女子学園中学校の入試、令和4年度松尾学園弘学館高等学校入学者選抜試験における国語長文読解、令和5年度加茂暁星高等学校入学考査問題における国語長文読解、平成20年度の東大寺学園高校入試における英語に、『ジェームズ・ボンドは来ない』が令和2年度札幌聖心女子学院高等学校入試における国語長文読解にて採用されている[8]。
近年は歴史小説『黄砂の籠城』『八月十五日に吹く風』『生きている理由』などを著す。義和団の乱を日本側から描いた『黄砂の籠城』には石破茂が、清国側から描いた『黄砂の進撃』には田原総一朗がそれぞれ推薦文を寄稿している[9]。
2019年4月『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』アメリカで翻訳版刊行。英題は『Sherlock Holmes: A Scandal in Japan』[10]。NYバーティカル社編集者のヤニ・メンザスは『世界に誇るべき才能』と評する[11]。
2019年5月より角川文庫で『高校事変』シリーズを開始。2020年1月より『ヤングエース』でコミック版連載開始[12]。国内配給大手映画会社が映像化進行中と報じられる[13][14]。
2021年12月より角川文庫で『écriture 新人作家・杉浦李奈の推論』シリーズ開始。2023年初夏より『ヤングドラゴンエイジ』でコミック版連載開始[15]。
記録等
- 1997年『本の雑誌』(本の雑誌社)国内ミステリ4位(北上次郎選出)『催眠』
- 1999年大藪晴彦賞候補『千里眼』
- 2014年ブックウォーカー大賞2014文芸賞受賞[16]『万能鑑定士Q』シリーズ
- ブックリスタ年間ランキング2014小説部門1位[17]『万能鑑定士Qの事件簿』
- 『ダ・ヴィンチ』ブック・オブ・ザ・イヤー2015小説ランキング10位[18]『探偵の探偵IV』
- ブックリスタ年間ランキング2015小説部門2位『探偵の探偵』[19]
- ソニーリーダーストア2016年上半期ベストセラー・ミステリー部門ランキング1位『探偵の鑑定』[20]
- 第2回吉川英治文庫賞候補『万能鑑定士Qの事件簿』[21]
- 2017年『週刊新潮』書き下ろし時代小説ベスト3選出『黄砂の籠城』[22]
- 『本の雑誌』2017年度時代小説ベスト10選出『黄砂の籠城』[23]
作家以前
作家以前には催眠術師としてテレビ出演し知られた事がある。学術的とされる催眠誘導法の他、欧米でポピュラーなショー用舞台催眠術[24]を学んでいた事で業界から声がかかる。
具体的には90年代の後半に、松岡圭祐が3年の期限つきで芸能事務所と契約していた[25]ことによって、催眠術師としてのキャラクターで活動。日本・韓国・台湾等においては、エンターティナー(芸人)としての催眠術師というカテゴリがなく、テレビ等での出演依頼は心理カウンセラーか、メンタルマジック系マジシャンのいずれかに対し行われる[26]が、その一例であり本業ではなかった。『A女E女』(フジテレビ)などに出演していたが、催眠術師として真面目に受け取られるものにしようとしていたわけではなく「TVで催眠術なんて馬鹿らしい」「とことん馬鹿をやって、この手の番組を鼻で笑えるようにしたい」[27]と当時からコメントしていた。また『爆笑問題のススメ』(札幌テレビ制作・日本テレビ系)に出演した際も、催眠が人を意のままに操るというのは幻想で、ショーはその思い込みを利用して見せるものという趣旨の発言をしている。
同時期に上記活動の一環として催眠術に関係する俗学本をいくつか出版。しかしながら、これらの作品の中身は、扇情的な表題や帯のキャッチコピーとは差異があり「催眠誘導は人為的トランス状態への、言葉による誘導にすぎない」「意のままにはならない」「心理的技法にすぎない」という主張に貫かれており、例えや解説が後の小説『催眠』の記述に受け継がれている。
- 『écriture新人作家・杉浦李奈の推論X 怪談一夜草紙の謎』では、松岡圭祐は実在せず「東映の八手三郎のような共同ペンネーム」で、だから毎月出せて作風も毎回違うという趣旨の事が書かれている[28]が、無論これは作中に限る設定でありユーモアである。
- 文庫化の際には数十ページ単位の加筆や大幅な改稿がなされたり、別シリーズの人物同士を登場させるなどしており、読者を飽きさせない工夫をしている。ハードカバー、文庫化、再文庫化で設定やストーリーが大きく改稿されることも多く複雑だが、09年8月現在、角川文庫刊行作品全てが一連のシリーズ正史とされている。
- イメージキャラクターとして有名俳優を積極的に表紙などに起用する。映像化の機会にカバーをほぼ全面覆う「幅広帯」に俳優の肖像が掲載されるケースは多いが、松岡圭祐作品の場合、映像化とは無関係に2006年4月刊行の小学館文庫版千里眼シリーズ12作目『千里眼 背徳のシンデレラ』に女優の釈由美子を岬美由紀として表紙モデルに登場させた。松岡圭祐の公式サイトで行われたアンケートで岬美由紀に最も近い女優として票を集めたことを反映したものである[29]。角川文庫版「蒼い瞳とニュアージュ」シリーズでは、ドラマ版で主人公の一ノ瀬恵梨香を演じた深田恭子の写真が、これも幅広帯でなく正規のカバー表紙になっている。
- 登場人物名の決定に関し、凶悪犯や残酷な目に遭う被害者には、現実には名前に使用できない「常用漢字と人名漢字以外の漢字」を用いたり、外国人の場合でもその国の氏名の法則性に沿わず存在しえない名前を故意に創作する。松岡によれば、同じ名前の読者が不快に思ってしまうのと、外国人の場合も実在の人物などに一致した場合、読書感覚に負の影響が生じるからだと述べている。
- 血液型性格分類に科学的根拠がないと主張している。『ブラッドタイプ』の執筆にあたり、『究極の血液型心理診査』を名乗るウェブサイトを開設。このテストは延べ450万人が利用した。診断後にこのサイトの血液型診断が当たっていたかという問いに対し、9割以上の利用者から「当たっている」という回答を得、多数の雑誌にも掲載された。しかし、事後に松岡は、このサイトは心理診断は行っているものの、血液型の問いに関する分析はプログラム上で全く行っていない(つまり心理診断になんの根拠もない)ことを明らかにした。
- 東映『千里眼』の脚本とキャスティングを担当。東映ビデオ『千里眼 キネシクス・アイ』の製作と監督を担当。
- 小学館版『催眠』『千里眼』旧シリーズに描かれていた、「目の動きで心理を読む」という技術の原理は科学的根拠がないとして2007年刊行の角川版新シリーズで否定。以降の作品では、実在の心理学者ポール・エクマンの表情観察法の原理を用いている。したがって『催眠 完全版』をはじめとする角川刊行作品には、「目の動きで心理を読む」描写はないが、1997年刊行の『催眠』の影響はいまだ強く、木村拓哉主演『MR.BRAIN』などに引用されている。
- 「千里眼」および「探偵の探偵」は松岡圭祐事務所の登録商標である[30][31]。
小説関連本
- 小説家になって億を稼ごう(2021年3月 新潮新書)
- 催眠(映画)
- 出演・稲垣吾郎、菅野美穂。1999年邦画実写興行収入第2位。
- 催眠(テレビドラマ)
- 出演・稲垣吾郎、瀬戸朝香、矢田亜希子。TBS「日曜劇場」枠。
- 千里眼(映画)
- 出演・黒木瞳、水野美紀、大島優子。千里眼シリーズの項目参照。
- 蒼い瞳とニュアージュ(テレビドラマ)
- 出演・深田恭子。
- 千里眼キネシクス・アイ(DVD)
- 監督・松岡圭祐。千里眼シリーズの項目参照。
- 万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-(映画)
- 出演・綾瀬はるか、松坂桃李。監督・佐藤信介。万能鑑定士Qシリーズの項目参照。
- 探偵の探偵(テレビドラマ)
- 出演・北川景子、川口春奈、ディーン・フジオカ。フジテレビ系『木曜劇場』枠。
- 万能鑑定士Qの事件簿
- 『ヤングエース』2013年2月号(2012年12月28日発売)から2017年3月号(2017年2月3日発売)まで連載、カドカワコミックス・エース全10巻 角川文庫でも刊行(2023年4月 力士シール篇)
- 特等添乗員αの難事件
- 『月刊Asuka』2014年4月号(同年2月24日発売)より2015年4月号(同年2月24日発売)まで連載、あすかコミックスDX全3巻
- 探偵の探偵
- 『週刊ヤングマガジン』2016年24号(同年5月16日発売)から2017年25号(同年5月22日発売)まで連載、ヤンマガKCスペシャル全2巻
- 高校事変
- 『ヤングエース』2020年2月号(2020年1月4日発売)より連載[34]、カドカワコミックス・エース全5巻(第1部)
- écriture 新人作家・杉浦李奈の推論
- 『ヤングドラゴンエイジ』2023年7月号増刊(2023年6月26日発売)より連載[35]、ドラゴンコミックスエイジ既刊1巻
“松岡圭祐”. 松岡圭祐公式サイト. 2015年3月14日閲覧。
ナポレオンズのパルト小石が「いやはや面白い」と日記サイトに記載
小学館文庫版『マジシャン』後書きには松岡による「マジックのタネ明かしには反対である」という意見が明記されている。角川文庫版『マジシャン完全版』には、4度の映像化依頼があったがタネ明かしを画で見せることに賛成できず断ったことが記されている。
角川文庫『マジシャン最終版』『イリュージョン最終版』帯より
各年度各学校別・英俊社「学校別入試対策シリーズ(赤本)」参照 全ての出題が該当年度の問題集に掲載済み
講談社文庫『黄砂の籠城』『黄砂の進撃』帯、講談社『義和団の乱』帯。
オーストラリアの奇術師マーティン・セント・ジェームズらが行うメンタルマジックの一分野。観客から参加者を募り、被催眠性の高い者を抽出、言葉の暗示で誘導する。催眠深度が充分でない場合も意思を失い操っているように見せる手法を含む。The Hypnosis Book : How to Use Modern Hipnotic Techinques to Improve Physical Mental Healthに基づく
それ以前の数作品は2000年の映画化で岬美由紀を演じた水野美紀が表紙になっていた。
『千里眼』登録第4840890号 第9類および第16類
『探偵の探偵』登録第5751825号 第9類および第16類
第2部開始に伴い巻数がアラビア数字表記に変更された