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オリーブ・オイル

オリーブの果実から得られる植物油 ウィキペディアから

オリーブ・オイル
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オリーブ・オイル英語: olive oil)、またはオリーブ油オリーブゆは、オリーブ果実から得られる植物油。なお、日本薬局方には「オリブ油」として収載されており[1]、これはオリーブオイルを精製したものである[2]

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ボトルに入ったオリーブ・オイル(中央)とオリーブ
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オリーブの木の分布。

概要

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ボトルに入ったオリーブ・オイル。若い実を絞ったものは葉緑素が残り緑色になるが、苦みが強い。

オリーブの果実中に重量パーセントで10 - 40パーセントを占める不乾性油である[3]。オリーブオイルは菜種油ごま油など多くの植物油とは異なり、種実(種子)ではなく果実全体から搾油することを特徴とする[4]

オリーブは地中海沿岸諸国を代表する作物で独自の文化と経済を築き上げた[5]。オリーブ栽培を地中海に広めたのは通商や航海術に長けていたフェニキア人とされる[5]。オリーブオイルは灯火用油[6](ランプの燃料[2])や化粧品[6]、食材などの基本的用途[6]、さらには医療的、宗教的、呪術的ニーズのために用いられてきた[6]

1960年代のギリシャや南イタリアの食事は地中海式食事(地中海食)と呼ばれ、その特徴の一つに日常的なオリーブオイルの利用が挙げられる[7]。地中海式食事(地中海食)でオリーブはブドウと双璧をなす食品素材となっており、米国のKeys博士ら世界7か国共同の疫学的研究で、クレタ島など地中海地域では他の欧米諸国に比べて心臓疾患や糖尿病の罹患者が少ないことが報告され注目された[7]

日本語や中国語ではオリーブ・オイルを橄欖油かんらんゆと表現することがあるが、これはかつて橄欖の種子から油を絞っていたことから、オリーブを洋橄欖と記述したことから来ている。このオイルの色合いは油緑(oil green)と称される[8]。なお、英語では、橄欖をChinese oliveとも呼んでいる。

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製法と品質等級

要約
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製法

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クラゾメナイ古代ギリシア式の石臼
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抽出工程

オリーブの実の収穫期は、北半球では10月から12月頃、南半球では4月から6月頃である[9]。収穫から搾油まで早いほど品質劣化が少なく、通常24時間以内に搾油される[9]

オリーブの緑色の実は熟すにつれて黒紫色に変化するが、未熟な実が多いほど辛みや苦味が強いスパイシーなオイル、熟した実が多いほどマイルドになる[4]

オリーブの実からの搾油には様々な手法があり、伝統的には実を石臼などでペースト状にしてから高圧でプレスする方法がとられるが、現代では遠心分離機で水分と油分、搾りかすに分離する方法が主流である[4]

品質等級

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エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイル

果汁から遠心分離などの機械的処理のみで得られた油をヴァージン・オリーブ・オイルと呼び、その中でも風味官能検査で味や香りに欠陥がひとつもなく、酸度が 0.8% 以下のものを特にエクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイルと呼ぶ。また、品質の悪いヴァージン・オリーブ・オイルを精製(脱酸・脱臭・脱色等)したもので、酸度が 0.3% 以下のものを精製オリーブ・オイルといい、この精製オイルと中程度の品質のヴァージン・オイルをブレンドし、酸度 1.0% 以下にしたものをオリーブ・オイルと呼ぶ。ただし、これらの品質等級規格は国際オリーブ理事会(en:International Olive Council,IOC)[注釈 1]の定めたもので、IOC に加盟していない国もある。

日本では2023年(令和5年)3月22日公正取引委員会及び消費者庁の認定を受けて「エキストラバージンオリーブオイルの表示に関する公正競争規約」が告示され、国際オリーブオイル協会の国際規格(IOC規格)に準拠することとなった[12]。これにより日本でピュア・オリーブ・オイルと呼んでいたものも、以上の区分に従い、単にオリーブ・オイルと表示されるようになった[13]

果実に含まれる油を無駄なく回収するため、果汁を絞った絞りかすから再度遠心分離機や石油系有機溶剤を使って抽出したオイルを粗製オリーブ・ポマース・オイルと呼ぶ。オリーブ・ポマース・オイルは上記のオリーブ・オイルとは成分が異なるため、IOC[14]の規定により「オリーブ・オイル」と表示してはいけないと定められており、食用ではなく工業用として扱われている。ただし、オリーブ・ポマース・オイルを精製し、酸度を 0.3% 以下にした精製オリーブ・ポマース・オイルは、その国の基準(日本であれば JAS法[15])をクリアしていれば、食用としての販売は可能である(その代わり、容器には「ポマース」と明確に表記しなければならない)。オリーブ・ポマース・オイルは精製オリーブ・ポマース・オイルにヴァージン・オリーブ・オイルをブレンドしたもので、格安のオリーブ・オイルとして出回っているものの多くはこのオリーブ・ポマース・オイルである。

オリーブの種子から溶剤抽出によって得られた油をオリーブ核油と呼んでいる。

品質等級 酸度(%) 等級規格 精度 (mg/kg)
エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイル ≦ 0.8 ヴァージン・オリーブ・オイルのうち風味官能検査で味や香りに欠陥がひとつもないもの ≦ 250
ヴァージン・オリーブ・オイル ≦ 2.0 ヴァージン・オリーブ・オイルのうち風味官能検査で味や香りに若干の欠陥があるもの ≦ 250
オーディナリー・ヴァージン・オリーブ・オイル ≦ 3.3 ヴァージン・オリーブ・オイルのうち風味官能検査で味や香りに複数の欠陥があるもの(日本では非食用) ≦ 300
ランパンテ・ヴァージン・オリーブ・オイル > 3.3 ヴァージン・オリーブ・オイルのうち酸度が高く食用には不向きで、精製が必要なもの(非食用) ≦ 300
精製オリーブ・オイル ≦ 0.3 ヴァージン・オリーブ・オイルを精製したもの ≦ 350
(ピュア)オリーブ・オイル ≦ 1.0 精製オリーブ・オイルとヴァージン・オリーブ・オイルをブレンドしたもの ≦ 350
精製オリーブ・ポマース・オイル ≦ 0.3 精製オリーブ・オイルの絞りかす(ポマース)からさらに抽出したもの > 350
オリーブ・ポマース・オイル ≦ 1.0 精製オリーブ・ポマース・オイルにヴァージン・オリーブ・オイルをブレンドしたもの > 350
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生産

要約
視点

世界の生産

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ハエンで育てられたピクアル

オリーブオイルの主な生産国は、スペインチュニジアイタリアギリシャトルコモロッコシリアアルジェリアポルトガルなどである[13]

  • スペイン産のものは熟した果実の香りを特徴とする[13]
  • イタリア産のものは青々しい果実の香りを特徴とする[13]
さらに見る 国, % ...

日本のオリーブ・オイル

1908年(明治41年)、魚の油漬け加工に必要なオリーブ・オイルの自給をはかるため[16]農商務省がアメリカ合衆国から導入した苗木を三重県鹿児島県香川県に試験的に植えた。香川県の小豆島に植えたオリーブだけが順調に育ち、大正時代の初めには搾油が出来るほどの実が収穫された[17]

小豆島で栽培されているものは、主に「ミッション」「マンザニロ」「ネバディロ・ブランコ」「ルッカ」の4種類[18]

このほか熊本県荒尾市)がオリーブ/オリーブ・オイルの生産と特産品化に熱心に取り組んでおり、香川県に次いで、熊本県が全国2位の生産量となっている[19]

保管

オリーブ・オイルは紫外線により劣化するが、紫外線は太陽光線のみならず電球蛍光灯の光にも含まれているため、冷暗所で保存する。手に取りやすい食卓や台所に置く場合は黒い瓶やアルミホイルで覆った瓶により遮光すると同様の効果がある[20]

用途

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セビリア県エステーパのオリーブの木

主な用途

食用(食用油)のほか、化粧用、美容や医療の用途でも使用されている[21]

料理の例

成分・栄養価

健康とオリーブ・オイル

一覧表

概要 100 gあたりの栄養価, エネルギー ...
さらに見る 項目, 分量 (g) ...
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脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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