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グアテマラワニ

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グアテマラワニ
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グアテマラワニ (学名:Crocodylus moreletii) は、クロコダイル科に分類されるワニの一種。モレレットワニメキシコワニとも呼ばれる[4]メキシコベリーズグアテマラ大西洋岸に分布する[2][5]。全長3mに達する中型のワニである。国際自然保護連合レッドリストでは低危険種に分類される[2]。グアテマラから化石も発見されている[6]

概要 グアテマラワニ, 保全状況評価 ...
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分類と名称

1850年にフランス博物学者であるPierre Marie Arthur Moreletによって初めて記載された。タイプ産地はグアテマラであった[4]。後に彼への献名として命名された[7][8]。形態的に類似しており、タイプ産地も曖昧だったため、長い間アメリカワニキューバワニと混同されていた。一般には1920年代に別種として認められた。クロコダイル属はおそらくアフリカを起源とし、東南アジアアメリカ大陸へと広がったが[9]オーストラリアアジアを起源とする説もある[10]。クロコダイル属は近縁種である絶滅したマダガスカルのヴォアイ英語版から、約2500万年前の漸新世中新世の境界付近で分岐した[9]

以下は2018年の年代測定に基づく系統樹である。形態学的、分子学的、地層学的データが同時に使用されている[11]。また2021年のヴォアイから抽出したDNAを使用したゲノム研究も参考とした[9]

クロコダイル亜科英語版

ヴォアイ英語版

クロコダイル属

Crocodylus anthropophagus

Crocodylus thorbjarnarsoni

Crocodylus palaeindicus

Crocodylus Tirari Desert†

アジア‑オーストラリア系統

オーストラリアワニ

ニューギニアワニ

フィリピンワニ

イリエワニ

シャムワニ

ヌマワニ

アフリカ‑新大陸系統

Crocodylus checchiai

Crocodylus falconensis

ニシアフリカワニ

ナイルワニ

新大陸系統

グアテマラワニ

キューバワニ

オリノコワニ

アメリカワニ

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形態

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頭部

キューバワニアメリカワニと形態的に類似している。吻は幅広く、66-68本の歯を持つ。体色は灰褐色から茶褐色で、体と尾には暗色の縞模様と斑点が入る。体色はアメリカワニなどと似るが、本種はやや暗色である。幼体は明るい黄色から緑褐色で、暗い縞模様が入る。虹彩は銀褐色である。四肢は短いが、走るのは速い。長い尾は泳ぐ際に使われる。後肢には水かきがある[7]。雄の方が大型である。平均全長は約2.1m、通常全長は1.5-2.7mで、雌の全長は通常1.5mほどである[12][13]。雄は全長2.5mを超え、頭蓋骨が広く頑丈に変化する[14]。大型の雄は全長3mに達し、これを超える個体は非常にまれであると考えられているが、最大全長は4.5mと報告されており、4.1mと4.3mの個体の報告もある[13][15][16]。全長2.84mの個体は体重110kg、咬合力は4,399Nであった[17]。全長3mの大型雄の平均体重は約150kgと推定されているが、特大の個体はさらに重いものと推定される[13][18]。推定全長約3.5mの大型雄は、体重約250kgであった[19]。全長3.3mの個体は、体重180kgであった[20]

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分布と生息地

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メキシコの野生個体

中央アメリカメキシコ湾沿岸に沿って、ベリーズグアテマラメキシコに分布する[21]。ベリーズのカリビアマツ林にも生息する[22]。隔離された淡水生息地を好み、主に内陸にある沼地湿地、大きなで見られる[23]。これらの生息地は森林に覆われている[7]。沿岸部の汽水域[2]ユカタン半島サバンナにも生息する[24]。洪水が発生する雨季には生息地が広がり、他の場所に移動しやすくなる[24]。若い個体は天敵から身を守るため、成長するまで密集した茂みの中で生活する。成体は乾季に巣穴を掘ることが知られている[7]。分布域はアメリカワニと重なっており、一部では混同されることもある。本種は一般に淡水生息地を好み、アメリカワニは塩分を含むマングローブ林岩礁環礁で見られる。メキシコとベリーズ沿岸では交雑が報告されている[2]リオグランデ川にも導入された[25]。メキシコの新聞社は、川に生息するワニはテキサス州原産のアメリカアリゲーターではなく、タマウリパス州原産のグアテマラワニのようだと報じている[26]マタモロス[27][28][29]レイノサ[30][31][32][33][34][35]、はるか北のヌエボ・ラレドでも目撃されている[36][37]。目撃情報を受けて、いくつかの警察署は川への立ち入りを警告した[38]

生態と行動

食性

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水中で獲物を待ち伏せする

日和見的な捕食者であり、縄張りに入った獲物はほとんど何であっても捕食する[39]。若い個体は主に昆虫を食べる[23]。成体は主に小型哺乳類鳥類爬虫類や魚類、腹足類甲殻類、その他の無脊椎動物を捕食する[16][39][40]ヤギを捕食することもあり、全長2.9mの個体が体重35kg以上のオールド・イングリッシュ・シープドッグを殺した記録もある[41]バクなどさらに大きな動物を食べることも記録されているが、これらは死骸を漁っていたケースであり、バクはジャガーに殺されていた[42]。餌が少なくなると小型の個体を共食いをすることもある[4]。複数回人間を襲っており、少なくとも12人が死亡している[43]。大きさは比較的小さいが、大型の成体では人間を圧倒する能力がある。人間が部分的に食べられており、捕食目的の攻撃である可能性が高い[44][45][46]。唯一の天敵はジャガーであり、2019年にはカラクムル生物圏保護区英語版でジャガーによる本種の捕食がカメラトラップにより初めて撮影された[47]

繁殖と成長

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幼体

4-6月に繁殖し[24]、卵は雨季が始まる前に産まれる。塚状の巣を作り、穴型の巣は作らない。巣は幅約3m、高さ約1mで、水辺や植物の上に作られる。雌は20-45個の卵を産み、一つの巣に複数の雌の卵が産まれることもある。卵は地中に埋められ、雌が巣を守る。通常80日間で孵化し[24]、孵化時の全長は通常約17cmである[5]。孵化した幼体は雌によって水辺まで運ばれ、両親に保護されて育つ。雌は子供を手厚く保護し、助けを呼ぶ声が聞こえると侵入者や人間を攻撃的に追い払うことが報告されており、雄も幼体を守るために飛び出す様子が観察されている[48][49]。飼育下では、若い個体が成体から攻撃される[50]。7-9年で性成熟し、寿命は50年と考えられている[4]

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人との関わり

生息地の破壊と違法な狩猟は脅威であり、個体数は大幅に減少してきた[51]。1940年代から1950年代にかけて高品質の革を作るために狩猟された[51][52][53]

脚注

外部リンク

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