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グロビデンス
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グロビデンス(学名: Globidens、「球体の歯」の意)は、モササウルス亜科グロビデンス族に分類される、モササウルス科のトカゲの絶滅した属。
本属で最初に記載された種は Globidens alabamaensis で、1912年にチャールズ・W・ギルモアが記載してグロビデンス属のタイプ種に使用した。
グロビデンスは後期白亜紀に繁栄した肉食性海生爬虫類のモササウルス科に属する。グロビデンスの種は北アメリカ、モロッコ、アンゴラ[1]、インドネシアで発見されている。モササウルス科の中で、グロビデンスは丸みを帯びた球状の歯を持つことで知られる。
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形態

グロビデンスは全長6メートル以下で、外見は他のモササウルス科爬虫類とごく類似しており、流線型の体にはヒレ足、側方に平たい尾、強靭な顎が備わっていた。グロビデンスの歯は他のモササウルス科の属と異なり、属名にもあるように球形の歯を持っていた。一般的に、大半のモササウルス科の属はイカや魚類といった柔らかで滑りやすい獲物を捕らえるための鋭い歯へ進化しており、後の種においても肉を裂くために適していた。他の数多くのモササウルス科爬虫類もアンモナイトの殻を破砕することはできた一方、甲殻に覆われた獲物を処理することにグロビデンスほど特化した者はいなかった。グロビデンスの持つ半球形の歯は丸い小さな塊が備わっており、小型のカメやアンモナイト、オウムガイ、二枚貝といった堅い装甲を持つ獲物の破砕に遥かに適していた。関連する属のモササウルスと同様に、グロビデンスの頭骨は重厚な構造を持ち、顎関節も固く関節していた。甲殻を持つ獲物の獲物を貫通する能力において、これらの特徴が大いに役割を果たしていたことが明らかである。
ギルモアによるグロビデンスの最初の評価は G. alabamaensis の不完全な標本に基づいており、頭骨の一部と歯および1本の頸椎における観察可能な特徴を記している。彼が記したものには、巨大な上顎骨による長い吻部、大型で頑丈な前頭骨、細かい皺の走った特徴的な球形の歯がある。彼は頭骨の特徴をブラキサウルス(現プログナトドン)、次にプラテカルプスに似ているとした。

ギルモアの評価以降の研究により、より完全で明確な標徴形質のリストが作成されている。ギルモアはグロビデンスの頭骨が丈夫であったと正確に推論した。さらに特筆すべき頭骨の特徴として、完全に頭頂骨の中に位置した小型の頭頂孔、頬骨に存在する隆起、前頭骨の背側表面に存在する経線方向の隆起、前上顎骨歯の前方に吻が突出した前上顎骨を挙げている[2]。きめ細かい皺の入ったエナメル質に覆われた丸みを帯びた歯はグロビデンス族の特徴であるが、個々の歯の丸さは本属あるいは種レベルでも同定できる可能性がある。グロビデンスの辺縁歯は顎の中央に向かって最も半球形になる。さらに、グロビデンスの上顎骨歯は13本あり、翼状骨歯列は見発達あるいは存在しない[2]。
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発見の歴史
要約
視点
グロビデンスは1912年にチャールズ・W・ギルモアが最初に記載した。複数の歯が備わった部分的な頭骨と1本の頸椎、数多くの断片からなる不完全な標本を用い、彼はグロビデンスを新属と断定してタイプ種 Globidens alabamaensis を記載した。属名は標本の球形構造の歯に基づき、種小名は発見地に由来する。ギルモアが以前に収集された標本を調査しており、標本が収集された正確な産地が正確には不明である可能性もある[3]。
ギルモアによるグロビデンスの記載以降、複数の他種が同定されている。これには G. alabamaensis のとともに二次的なタイプ標本が用いられている G. dakotensis (Russel 1975) が含まれる。グロビデンスの新種と考えられた標本にはプログナトドンなど他の分類群へ再分類された標本もあり、イグダマノサウルスのタイプ標本とされている G. aegypticus のように親族として独立した標本もある[4]。
種

- Globidens alabamaensis Gilmore, 1912 (タイプ標本)
- 第7上顎骨歯以降において、歯冠の高さは最大の歯冠直径未満である。第10上顎骨歯以前において、歯冠の長さは歯冠幅よりも大きい。上顎骨は長く、前頭骨は狭い。前頭骨はわずかに眼窩の背側に侵入する[2]。
- G. dakotaensis Russell, 1975
- 第4上顎骨歯以降において、歯冠の高さは最大の歯冠直径未満である。第10上顎骨歯以前において、歯冠の長さは歯冠幅より大きい。上顎骨は長く、前頭骨は広い。前頭骨は眼窩の背側に侵入しない[2]。
- G. phosphaticus Bardet et al. 2005[5]
- モロッコとアンゴラから産出[1]。
- G. simplex LeBlanc et al. 2019
- モロッコから産出。完全な下顎骨と部分的な頭骨が発見されており、大きな顎内転筋付着部位により、甲殻を持つ生物を獲物にしていたことが示唆されている。歯骨は短く、これは他のグオビデンス族のモササウルス科爬虫類の後側下顎部位にも共通する。頭より後方の骨格も発見されており、肋骨1本の組織学的解析から骨密度の増大が見られている。これは長時間海底に留まるための能力の向上を示唆しており、海洋四足動物の進化の初期段階における状態を想起させる[6]。
- G. schurmanni Martin, 2007
- 今後の研究あるいは追加の標本によっては一覧に加える必要がある。
再分類された種
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分類
グロビデンスはモササウルス亜科に属し、これにはグロビデンス族などの複数の系統が含まれており、さらにその中にはカリノデンス属も分類されている[2]。カリノデンスはグロビデンスの姉妹群とみなされている。
グロビデンスとモササウルス科の系統樹における位置づけは幾分明確でなく、特定の属は多くの形態解析や分子解析で位置が大きく異なる。モササウルス科は全てのヘビを含む分類群 Pythonomorpha の姉妹群とみなされることが一般的である[10]。モササウルス科の中で、グロビデンスは一般的にはプログナトドンに近縁とされているが、そのプログナトドン自体の標本の系統的配置も疑問視されている[11]。
以下のモササウルス科のクラドグラムは、Aaron R. H. Leblanc と Michael W. Caldwell およびナタリー・バーデットによる2012年の解析に従う[11]。
モササウルス亜科 |
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古生物学

グロビデンスは他のモササウルス科爬虫類とは対照的に、硬い甲殻を持つ食料資源に対して優位に立つ特異的な適応を遂げている。一般的に頑強な頭骨に加え[2]、その歯は刺突や切断よりも破砕に適している。それゆえ、グロビデンスは二枚貝やアンモナイトといった軟体動物を捕食していたと考えられている[12]。サウスダコタ州で発見された標本の腹部の内容物はこの仮説を支持するものとなっており、砕けたイノセラムス科の殻が確認されている[13]。
古生態学
グロビデンスは他のモササウルス科の属と同様に、北アメリカの西部内陸海路といった温かい浅海域に生息した。グロビデンスの化石は主に北アメリカ、およびモロッコやアンゴラといったアフリカの北西部で発見されているが、中東や南アメリカ東部からもよく産出する。インドネシアではグロビデンスはティモール島から産出している[5][1]。
出典
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