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コンバインドサイクル発電

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コンバインドサイクル発電
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コンバインドサイクル発電(コンバインドサイクルはつでん、: combined cycle, CC)は、内燃力発電の排熱で汽力発電を行う複合発電である。内燃機関としては主にガスタービンエンジンが使用される。この場合狭義においてはガスタービンコンバインドサイクル発電[1]という。

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Trianel Kraftwerk HammU発電所

燃焼ガス温度をさらに高め、省エネルギー性、耐久性、環境適合性などを向上させた改良型に、1,300 ℃級のACC (Advanced Combined Cycle)、1,500 ℃級のMACC (More Advanced Combined Cycle)、1,600 ℃級のMACC IIがある[2]

特徴

要約
視点

コンバインドサイクル発電には、次のような特徴がある。

始動時間が短い
ガスタービンエンジンの特徴として、同じ出力の蒸気タービンよりも始動時間が短い。
熱効率が高い。
ガスタービンの排気から熱を回収し、回収熱でさらに発電を行うため、エネルギー効率が高い。
冷却水量・温排水量が少ない。
熱効率が上昇する分、廃棄される熱エネルギーも少なくなる。
気温によって出力が変動する。
気温が低くなると空気の密度が増加し投入できる燃料が増えることからガスタービンの出力が増大する。近年ではミスト水噴霧装置をガスタービン吸気口に設置して、温度上昇による出力低下を抑えている[3]
さらに見る 発電方式, 温度条件 (℃) ...

温度条件別採用例

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構成要素

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コンバインドサイクル発電の基本的構造(多軸型)。1-発電機。2-蒸気タービン。3-復水器。4-ポンプ。5-排熱回収ボイラ。6-ガスタービン。
ガスタービン
都市ガス天然ガス軽油等を燃料として動力を得る。
空気圧縮機
ガスタービンへ供給する圧縮空気を作る。
減速機
ガスタービンの動力を発電機に適した回転数に減速する。
(事業用発電所では減速機を用いずガスタービンエンジンと発電機を直結する場合が多い)
発電機
ガスタービンと蒸気タービンを動力として発電を行う。
排熱回収ボイラ (HRSG)
ガスタービンからの高温排気を取り入れ、蒸気を発生するボイラー
蒸気タービン
蒸気から動力を取り出す。
復水器
蒸気タービンから排出された蒸気を冷却し、水に戻す。

系統構成

さらに見る 構成, 概要 ...

系統構成別採用例

加圧流動床複合発電 (PFBC)

圧力容器内に収納した流動床ボイラーから発生した高温・高圧の蒸気により蒸気タービンを回して発電するとともに、ボイラーの排ガスによりガスタービンを回して発電する方式を加圧流動床複合発電 (PFBC[11]) と呼ぶ。加圧流動床複合発電方式は、コンバインド発電方式のため、高い発電効率を得ることができ、さらにガスタービン空気圧縮機を使用することで大型補機が不要となり、所内動力が低減されるため、従来型の微粉炭発電に比べ、送電端効率は約2%高くなる。さらに、燃料を加圧下で燃焼させるため、ボイラーを小型化できるほか、ボイラー内部で硫黄酸化物を除去する炉内脱硫方式により、排煙脱硫装置が不要となることなどから、発電所をコンパクトにつくることができる。

営業運転機

さらに見る 運営会社, 発電所名 ...
  • 熱効率はいずれも高位発熱量基準。

問題点

配管の摩耗や損傷が多く[12]、低い稼働率や高い補修費が問題となった[12]。そのため苫東厚真発電所3号機は2005年に廃止、大崎発電所1-1号機も2011年に休止となった[12]。また同方式の予定だった大崎発電所1-2号機は建設計画が撤回され、別方式の実証設備とされた[12]

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石炭ガス化複合発電 (IGCC)

燃料のガス化とコンバインドサイクル発電を組み合わせた発電形式を石炭ガス化複合発電 (IGCC[13]) と呼ぶ[14]。低質な石炭や重質油、廃棄物などは硫黄や塩素、重金属を含むことがあり、そのまま燃焼させて発電を行うとその環境負荷物質が大気中に排出されて問題となる。ガス化複合発電では、燃料をガス化したときにそれらの不純物を除去することができ、そうして生成したクリーンなガスを用いて発電を行うことで、環境負荷物質の少ない発電を行うことができる[14]。また、従来の方式に比べて二酸化炭素排出量を削減することができ、石炭を燃料とした発電で石油発電並の二酸化炭素排出量を達成することができる。空気吹きと酸素吹きの2種類のガス化方式があり、2022年時点で空気吹きの勿来と広野の2基の発電所が商用運転中である[15][16]。酸素吹きのIGCCは大崎発電所で試験実証中である。

営業運転機

さらに見る 運営会社, 発電所名 ...
  • 熱効率は低位発熱量基準。
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石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC)

石炭をガス化させた際に含まれる水素を燃料電池の燃料とし、燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンを組み合わせた発電形式を石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC[19]) と呼ぶ[14]。IGCCと比較し更なる高効率発電が可能となり、二酸化炭素排出量の低減も図ることができる[14]大崎発電所にある酸素吹きIGCC実証機に組み合わせて2022年4月から試験実証中である[20]

太陽熱複合発電 (ISCC)

コンバインドサイクル内に太陽熱を利用した発電方式を太陽熱複合発電 (ISCC[21]) と呼ぶ。太陽熱発電の一種であり、太陽熱を補助熱源とし、蒸気サイクルの出力を増加させることで、発電能力の向上や燃料の使用量の低減を行うことができる。2010年にイタリアのアルキメデス複合発電所で世界初のISCC発電設備が建設された。他にもアメリカ、エジプト、イラン、モロッコ、アルジェリアなどで運転が開始されている。

超高温原子炉

1940年代後半から開発は開始された。黒鉛炉・溶融塩炉液体金属炉を1000度近い高温で操業して、ヘリウムで冷却し、ヘリウムをガスタービンで膨張・温度低下させたあと、廃熱ボイラで冷却して、原子炉に戻す。基本的にガスタービン複合発電であり、原子力発電の熱効率を向上させる。

歴史

脚注

参考文献

関連項目

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