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スマートアシスト
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スマートアシスト(Smart Assist[注釈 1])は、ダイハツ工業が開発した予防安全機能の総称である[1]。搭載車種のOEM供給を受けるトヨタ自動車、SUBARU(旧・富士重工業)、マツダでもダイハツの登録商標「スマートアシスト」をそのまま利用する[注釈 2]。ダイハツとトヨタで使用されている公式略称は「スマアシ」[注釈 3]で、頭文字の「SA」と略されるケースもある(後述)。
本項では、進化版であるスマートアシストII(スマートアシスト・ツー、Smart Assist II、略称「スマアシII」)、スマートアシストIII(スマートアシスト・スリー、Smart Assist 3、略称「スマアシIII」)、スマートアシストIIIt(スマートアシスト・スリー ティー、Smart Assist 3t、略称「スマアシIIIt」)、次世代スマートアシストについても記述する。
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概要
スマートアシストは、レーザーレーダーを用いて車両前方を監視するシステムで、2012年12月20日にムーヴ(およびスバル・ステラ)に搭載された。一定条件下で衝突を回避可能な自動ブレーキを備えた衝突被害軽減ブレーキが軽自動車に装備されるのは、これが初となる。
2015年4月27日、ムーヴ/ステラとタントの一部改良に際し、単眼カメラを追加した「スマートアシストII」が設定された。
2016年11月30日、タントの一部改良に際し、レーザーレーダーと単眼カメラを廃止し、ステレオカメラを追加した「スマートアシストIII」が設定された。
2018年5月14日、ハイゼットトラックの一部改良に際し、「スマートアシストIII」をベースに、軽トラックの特性に合わせて機能を一部変更した「スマートアシストIIIt」が設定された。
2019年7月9日、タントのフルモデルチェンジに際し、次世代スマートアシストが搭載された。
2021年12月現在の販売車においては「III」、「次世代」、計2種類のステレオカメラ式に統一されている。このうち次世代について、ダイハツ公式サイト上では単に「スマートアシスト」と表記されているが[2]、本項においては便宜上、引き続き「次世代」と表記する。
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機能
要約
視点
〈〉はIIでのバージョンアップ部分、()はIIIでのバージョンアップ部分、{}はIIItでの性能(ただし、{}が無い場合はIIIに準じる)。
「止まるをアシスト」
- 低速域衝突回避ブレーキ機能〈衝突回避ブレーキ機能〉
- 約4-30km/h〈約4-50km/h〉(約4-80km/h){約4-50km/h}の速度域で、前方の車両との衝突の危険性が高まると、警告音と警告表示によって運転者の注意を喚起。さらに衝突の危険性が高まると自動ブレーキを作動させる。先行車との相対速度が約20km/h〈約30km/h〉以内であれば衝突の回避を、約20-30km/h(約30-80km/h){約30-50km/h}であれば、衝突による被害の軽減を行う。III/IIItでは対車両だけでなく対歩行者にも機能が拡大(約4-50km/hの速度域で、相対速度が約30km/h以内であれば衝突の回避を、約30-50km/hであれば、衝突による被害の軽減を行う)した。
「飛び出さないをアシスト」
- 〈前方/後方〉誤発進抑制制御機能
- シフトの入れ間違い、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を抑制するための機能。前方約4m以内に障害物がある状態でアクセルを大きく踏み込むと、約8秒間エンジン出力を抑制する。
- II以降(無印でも6代目ムーヴ/3代目ステラは含む、IIItは後述)ではソナーを利用して後方約2~3mの検知も行う。
- IIItについてはAT車のみの搭載となる。2020年8月の改良にて後方ソナーが追加された(一部除く)。
- 次世代スマアシではブレーキ制御が追加され機能名も変更された。特定条件下において、出力抑制してもなおアクセルを踏み続けた場合に発動する[3]。
「気づくをアシスト」
- 先行車発進お知らせ機能
- 停車時に先行車が発進した場合、ブザー音で通知を行う。自車と先行車が約3m離れると作動。
- 〈衝突警報機能〉
- ※以下はII(III){IIIt}のもの。無印の衝突警報機能については前述。
- 走行中に前方の車両や歩行者を認識し、衝突の危険性が高まると警告音と警告表示によって運転者の注意を喚起。
- 車両は約4-100km/hの速度域で前方約80m{約60m}以内・速度差約60km/h(約100km/h)以内、歩行者は約4-50km/hの速度域で前方約40m(約60m){約30m}以内。
- 〈車線逸脱警報機能〉
- 約60km/h以上で走行中に車線から逸脱しそうになると運転者に警告する。なお次世代スマートアシストでは、ステアリング制御を使った機能が追加された。
「車間キープをアシスト」
- 全車速追従機能付ACC(次世代のみ)
- 設定速度範囲は30[3]~115km/h(メーター値)[5]。設定速度を上限とし、前車との間隔を一定範囲に保つ。
「夜道の運転をアシスト」
- オートハイビーム(III、次世代のみ)
- 自車速度25km/h以上(次世代は30km/h以上[3])で前方の明るさを感知し、ハイビーム・ロービームを自動的に切り替える。なお、IIItでは非搭載となる。
「まぶしくさせないをアシスト」
- アダプティブドライビングビーム(次世代のみ)
- 自車速度30km/h以上で動作する。ステレオカメラが前車・対向車を認識し、照光範囲を調整する。軽自動車としては初の採用。
「すべらないをアシスト」
- VSC&TRC(無印のみ)
- 正確には衝突被害軽減ブレーキの機能ではないが、横滑り防止装置が、ダイハツとトヨタでは「VSC&TRC」として、スバルでは「VDC」として搭載される(VDCにはTRCの機能を含む)。
- II以降(無印でもウェイク/トヨタ・ピクシスメガと6代目ムーヴ/3代目ステラは含む)は構成から切り離されて全車標準搭載(いずれにしてもスマートアシスト搭載車にVSC&TRCが搭載されていることに変わりはない)。
「見落とさないをアシスト」
- 標識認識機能(次世代のみ)
- 進入禁止・最高速度・一時停止の標識を識別し、通知する[3]。ブレーキ等に介入する機能は無く、運転者の注意を促すものである。
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開発の背景
ダイハツ工業は、2006年10月に発売した4代目ムーヴ(L175S・前期)に軽自動車初となるプリクラッシュセーフティシステムを搭載。以降、2010年12月の5代目ムーヴ(LA100S・前期)においても同様の装備を搭載可能であった(いずれも最上位グレードにオプション設定)。これらはアクセルおよびブレーキを自動制御し、前車と一定の距離を保ちながら走行するレーダークルーズコントロールや車線逸脱警報等の高度な機能を備えていたが、機能の実現のために検知距離の長いレーザーレーダーや専用のエンジンコントロールユニット(ECU)等を必要としたため、非常に高価な装備になっていた。
スマートアシストは、衝突回避ブレーキの対応速度を追突事故の60%を占める30 km/h以下に限定する事によりレーザーレーダーを簡略化、および信号処理系のセンサユニットへの統合等によりコスト低減を実現した。
機能の限界
スマートアシストIIまでは、レーザーレーダーを使用している都合上、障害物の性質によってはシステムが検知できない場合があった(透過性を持つガラスなど。また歩行者や二輪車等の検知は想定していなかった[7])。
スマートアシストもまた、他社の衝突被害軽減ブレーキと同じく、あくまでも運転者が主体であって装置はその能力を補う、というものである。ゆえに路面や周囲の環境、事故の形態によっては、100%被害を防げるものではないことに注意が必要である。適切な運用には、メーカーの告知している装置の特性を十分に理解する必要がある。
搭載車種
要約
視点
2025年6月現在、以下の車種でスマートアシスト搭載グレードが選択可能。☆は現行の販売グレードは全車標準搭載。
なお、スマートアシスト登場後に発売された車種では、コペン[注釈 10]のみ搭載グレードの設定がない。
過去の搭載車種
現行販売車種においても、スマートアシストのバージョンに変更があった場合は前バージョンの搭載車種としてこちらに記載。☆は全車標準搭載。
識別方法
- バージョンが「無印」「II」「III」「IIIt」(4代目タント発売以前)のダイハツ車
- 搭載グレードには、グレード名に「SA」「SA II」「SA III」「SA IIIt」(Smart Assist / - II・III・IIItの頭文字)が付く。
- バージョンが「次世代」(4代目タントの発売以降)のダイハツ車
- 「III」までとは逆に標準搭載が原則となっているため、搭載グレードは特にそれとわかるグレード名は付かない。搭載されない仕様は「スマートアシストレス仕様(または 非装着車)」として区別し、その設定グレードがなければ全車標準搭載となる。
- トヨタOEM車(全バージョン共通)
- 軽自動車はダイハツ同様。
- 普通自動車は、同じグレードで搭載・非搭載グレードが共に設定されている場合の搭載グレードには「S」が付く。搭載グレードのみを設定しているグレードの場合は特にそれとわかるグレード名(すなわち「S」)は付かない。
- スバルOEM車(2021年以前)
- 搭載グレードには、グレード名に「スマートアシスト」が付く。このため、全車標準搭載の場合は全グレードに付く。例外として2020年マイナーチェンジ後のジャスティはグレードが1つのみのモノグレードで、グレード名そのものを持たず「スマートアシスト」も付かない。
- スバルOEM車(2022年以降)
- 2022年1月にOEM元のハイゼットに合わせてバンのフルモデルチェンジおよびトラックの大幅改良を行ったサンバーでは全車標準装備となった各グレード名から「スマートアシスト」を省略するようになった。
- マツダOEM車
- 標準搭載の車種のみのため、搭載グレードは特にそれとわかるグレード名は付かない。
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プロモーション
- ダイハツ
- 衝突被害軽減ブレーキはそもそも作動してはならないシステムであるため、ダイハツの企業CMにて「スマートアシストが作動するシーンが存在しない」テレビCMが製作された事がある。
- カタログやウェブサイトでは「スマートアシストに頼った運転は、絶対に行わないでください。」との警告が記載されている。
- ちなみにカクカク・シカジカ(声:生瀬勝久)が登場するテレビCMも製作された[注釈 13]。
- トヨタ
- ピクシスシリーズで表面化したダイハツとの販売格差問題のため、プロモーションは行われない。カタログ等の警告文はダイハツと同じものを利用する。
- スバル
- EyeSight#プロモーション参照。
沿革
- 2012年
- 12月 - スマートアシスト搭載ムーヴを発売。
- 2013年
- 8月 - スマートアシスト搭載ミライースを発売。同時に「スマアシ」という略称を設定。
- 10月 - スマートアシスト搭載タントを発売。
- 2014年
- 11月 - スマートアシスト搭載ウェイクを発売。
- 12月 - スマートアシスト搭載ムーヴをフルモデルチェンジし発売。スマアシ初のソナーが備わる。
- 2015年
- 4月 - スマートアシストII搭載ムーヴ、タントを発売。このモデルから初めてスマアシIIが搭載された。
- 9月 - スマートアシストII搭載キャストを発売。
- 2016年
- 4月 - スマートアシストII搭載ブーンを発売。小型車に初めての搭載となった。
- 5月 - スマートアシストII搭載ウェイクを発売。
- 6月 - スマートアシストII搭載ハイゼットキャディーを発売。商用軽バン初の衝突被害軽減ブレーキが備わった。
- 9月 - スマートアシストII搭載ムーヴキャンバスを発売。
- 11月 - スマートアシストII搭載トールを発売。
- 11月 - スマートアシストIII搭載タントを発売。このモデルから初めてスマアシIIIが搭載された。
- 2017年
- 5月 - スマートアシストIII搭載ミライースを発売。
- 8月 - スマートアシストIII搭載ムーヴを発売。
- 9月 - スマートアシストIII搭載ムーヴキャンバスを発売。
- 10月 - スマートアシストIII搭載キャストを発売。
- 11月 - スマートアシストIII搭載ハイゼットカーゴ、アトレーワゴンを発売。
- 11月 - スマートアシストIII搭載ウェイク、ハイゼットキャディーを発売。
- 2018年
- 5月 - スマートアシストIIIt搭載ハイゼットトラックを発売。
- 10月 - スマートアシストIII搭載ブーンを発売。
- 2019年
- 7月 - 次世代スマートアシスト搭載タントを発売。
- 11月 - 次世代スマートアシスト搭載ロッキーを発売。
- 2020年
- 6月 - 次世代スマートアシスト搭載タフトを発売。
- 9月 - 次世代スマートアシスト搭載グランマックス カーゴ、グランマックス トラックを発売。
- 9月 - 次世代スマートアシスト搭載トールを発売。
- 2021年
- 12月 - 次世代スマートアシスト搭載ハイゼットカーゴ、アトレー、ハイゼットトラックを発売。
- 2022年
- 7月 - 次世代スマートアシスト搭載ムーヴキャンバスを発売。
- 2025年
- 6月 - 次世代スマートアシスト搭載ムーヴを発売。
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脚注
関連項目
外部リンク
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