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セゾン美術館
池袋(日本)の美術館 (1975-1999) ウィキペディアから
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セゾン美術館(セゾンびじゅつかん)は、かつて東京都豊島区南池袋の西武百貨店池袋店(現・西武池袋本店)内に所在した美術館。旧称は西武美術館。1975年開館、1999年閉館。
概要
要約
視点
西武美術館として開館
セゾングループの現代美術への関心は、西武百貨店がデパートの催事として美術展を開催していた時代からすでに芽生えていた。1961年のパウル・クレー展に始まり、63年のドイツ表現派展、66年のアンリ・ルソー展などへと発展していった[1]。当時の堤清二店長が関心を持っていたことに加えて、西武百貨店パリ駐在員堤邦子の独自のコネクションによって、西武百貨店のヨーロッパ美術展は独自のステータスを築いたのである[1]。73年には、西武百貨店に文化事業部が新設され、部長には紀国憲一が就任[2]。百貨店の美術館活動も西武劇場(現・PARCO劇場)や高輪美術館(現・セゾン現代美術館)などとともに、西武流通グループの文化事業として位置づけられた[1]。
池袋店の第9期増築がオープンした1975年には、最上階の1フロアをあてて[1]、空調、防災、防盗を整えた「西武美術館」が開館した[2]。従来の百貨店催事場に比べると、施設としては格段に向上した美術館では、堤の「時代精神の根拠地」という宣言にもとづいて、ワシリー・カンディンスキーやパウル・クレー、ピート・モンドリアンなど現代美術の先駆者たち、ジャスパー・ジョーンズ、ヨーゼフ・ボイスら同時代の現代美術の代表者たち、あるいはニコ・ピロスマニのような、さらに源流に迫る試みなど特徴ある企画展を開催し、日本に世界の現代美術を紹介していく[1]。しかし、美術館としては百貨店の上層階にあって、防災上も、入館者の動線からもやや中途半端であった。しかも法人格を持たないために、独立性が薄弱になりがちであるという不満を逆に生じらせることにもなった[2]。のちの路面展開の要素、また財団法人化の芽がスタートのときから生まれていたのである[2]。
なお、美術館が入る本館8~12階は、1979年11月に「クリエイティブフォーラム館」として開館し[3]、書籍のリブロ、美術書のアール・ヴィヴァン、音響製品のディスクボード西武(のちのWAVE)は拡充され、多目的ホールスタジオ200が開設されている[3]。また、増築して新装オープンした船橋店には、1978年に姉妹館として「船橋西武美術館」が設置された[注釈 1]。
セゾン美術館に改称
1987年にセゾンコーポレーションがグループの統括機構として設立され、西武百貨店の文化事業部を移設して、グループの文化事業の全体構想を管轄することになった[4]。西武美術館と軽井沢高輪美術館はその管轄下に置かれ[4]、同年には、財団法人セゾン文化財団が設立されている[4]。1989年に、西武美術館は池袋SMA館(現・別館)の1、2階に移して「セゾン美術館」と改称し、両美術館が連携しつつ本格的な美術館活動を展開していくことになった[4]。
セゾン美術館の最初の展示は、G・クリムトに代表される世紀末ウィーンの美術、工芸、建築から音楽、哲学にいたるまで、芸術を包括的に紹介するものであった[5]。またグッゲンハイム美術館コレクション展、ポンピドー美術館の「美術と広告」展のように、世界を代表する美術館とのコラボレーションにも取り組んだ[5]。さらに、建築やデザインなど広いジャンルのアートの紹介にも努めた[5]。主催した各展覧会のポスター、展覧会カタログ、チラシ、チケット等のデザインについても力を入れており、当初は田中一光、のちには松永真を採用して、他の美術館に先駆けてトータルなイメージ作りを行った点にも大きな特徴がある。百貨店の宣伝的機能をはるかに超え、利益を度外視したいわゆる「メセナ」活動というべき展開を示した。これは堤の意向を強く反映しているといわれる。
閉館
1980年代末になると西武百貨店の経営に暗雲が垂れ込めるようになり、百貨店の多角化事業の整理が始まった[5]。この過程で、セゾン美術館は1992年に西友の管轄に移された[5]。しかし西武百貨店に併置された美術館は、西友にとっては集客のツールにならず、重荷以外のなにものでもなかった[5]。美術館活動はしだいに停滞していき、西武百貨店の改革を断行する和田繁明の決断により[6]、1999年に閉館となった[5]。閉館に伴い、セゾングループが蒐集し西武美術館・セゾン美術館で展示された美術作品は、セゾン現代美術館に移設。また閉館から数年間、セゾン美術館の学芸員が東京・青山にセゾンアートプログラムという企画団体を組み、展覧会の企画運営などを行った。跡地には、北欧家具・雑貨ショップイルムスを経て無印良品が出店している。

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開催された主な展覧会
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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