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ノマドランド

2021年のアメリカ映画 ウィキペディアから

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ノマドランド』(原題: Nomadland)は、2021年アメリカ合衆国ドラマ映画クロエ・ジャオが、脚本、製作、編集、監督を担い、主演はフランシス・マクドーマンドが務めた。本作はジェシカ・ブルーダー英語版2017年に発表したノンフィクションノマド: 漂流する高齢労働者たち』を原作としている。

概要 ノマドランド, 監督 ...

2020年9月11日にヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され、金獅子賞を受賞した。また、トロント国際映画祭ではピープルズ・チョイス・アワードを受賞した。2020年12月4日に1週間のストリーミング限定公開された後、サーチライト・ピクチャーズにより、2021年1月29日に米国内の一部のIMAXシアターで配給され、2021年2月19日には劇場で同時公開、Huluでデジタルストリーミングされた。日本ではウォルト・ディズニー・ジャパンにより、3月26日から劇場公開された。

本作は、監督、脚本、編集、撮影、そしてマクドーマンドを中心とした演技が評価された。第93回アカデミー賞では、計6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、マクドーマンドの主演女優賞を受賞した。ジャオは有色人種の女性として初めて監督賞を受賞し、マクドーマンドは同一作品で製作者と出演者の両方としてアカデミー賞を受賞した史上初の人物となった[5]。また、第78回ゴールデングローブ賞では映画作品賞(ドラマ部門)と監督賞を受賞、第74回英国アカデミー賞では最優秀作品賞を含む4部門を受賞、第36回インディペンデント・スピリット賞では最優秀作品賞を含む4部門を受賞した。

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ストーリー

2008年アメリカの大手証券会社の破綻に端を発する未曾有の経済危機が全世界を襲った。その影響は現役世代だけではなく、リタイア世代にも容赦なく降りかかり、多くの高齢者が家を手放すことになった。家を失った彼/彼女らは自家用車で寝泊まりし、働く口を求めて全米各地を動き回っていた。専門職での経験があったとしても、それを活かせるような職がほとんどなく、安い時給で過酷な肉体労働に従事するほかなかった。そんな不安定な状況下でも、彼/彼女らは自尊心と互助の精神を保持し続けていた。彼/彼女らは「現代のノマド」とでも言うべき存在である。

本作の主人公、ファーンも「現代のノマド」の1人である。ファーンはネバダ州エンパイア英語版で臨時教員をやっていたが、工場の閉鎖で街の経済が大打撃を受け、そのあおりで彼女も家を手放す羽目になった。途方に暮れたファーンだったが、自家用車に最低限の家財道具を積み込み、日雇いの職を求めて全米各地を流浪する旅に出た。その過程で、ファーンは同じ境遇の人々と交流を深めていくのだった。

本作はそんなファーンの姿を通して、「現代のノマド」の実像を描き出していく。

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キャスト

※括弧内は日本語吹替[6]

製作

2017年、フランシス・マクドーマンドはジェシカ・ブルーダーのノンフィクション『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』を読んで衝撃を受け、映画化権を購入するに至った。その衝撃について、マクドーマンドは「40代の頃、私はに『65歳になったら、名前をファーンに変えたいと思う。ラッキーストライクを吸ったり、ワイルドターキーを飲んだりしてRV車で気ままに暮らしたい』などと言っておりました。あの頃の私は車上生活に自由があると思っていましたし、車上生活者にロマンを感じていました。しかし、あの本は車上生活の実像を私に教えてくれたのです。車上生活は経済的な苦境と結びついたもので、私と同じ60代の人が車上生活を余儀なくされることも珍しくないのだと。」と語っている[7]

同年9月、マクドーマンドは第42回トロント国際映画祭でクロエ・ジャオ監督の『ザ・ライダー』を鑑賞した。同作の出来映えに感動し、マクドーマンドは本作の監督にジャオを起用することにした[7]

本作の主要撮影2018年6月に始まった。マクドーマンドとデヴィッド・ストラザーンを除いてプロの俳優は起用されず、実際に車上生活を送っている人々が起用された[7]。また、マクドーマンドは役作りのために車上生活を送ると共に、Amazonの物流拠点での梱包作業など日雇いの仕事にも従事した[7]2020年7月27日、ルドヴィコ・エイナウディが本作で使用される楽曲を手がけるとの報道があった[8]

公開・マーケティング

2019年2月12日、フォックス・サーチライト・ピクチャーズが本作の全米配給権を獲得したと報じられた。その際、本作の劇中写真も初めて公開された[9]。2020年9月8日、本作のティーザー・トレイラーが公開された[10]。11日、本作は第77回ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され[11]、最高賞の金獅子賞を受賞した[12]。同日、第45回トロント国際映画祭での上映も行われ[13]、最高賞の観客賞を受賞した[14]。また、本作はニューヨーク映画祭で上映されることが決定している[15]

中国

中華人民共和国での映画配給を担う政府系の映画団体「国立映画芸術同盟(National Alliance of Arthouse Cinemas:NAAC)」は、2021年4月23日にノマドランドの大規模な公開を予定していたが、中止となった。同国北京出身のジャオがアジア人初のアカデミー監督賞を受賞したにもかかわらず、上映中止になった理由について、一部の報道機関は過去にジャオが中国政府を批判する発言をしていたためだと報じている[16][17]

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評価

本作は批評家から絶賛されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには45件のレビューがあり、批評家支持率は100%、平均点は10点満点で9.28点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「社会から見捨てられ、虐げられた人間の姿を描いた作品だが、詩的な雰囲気をまとっている。『ノマドランド』は経済恐慌によってもたらされた不安定な生活を見事に描写している。」となっている[18]。また、Metacriticには18件のレビューがあり、加重平均値は98/100となっている[19]

受賞とノミネート

本作は第77回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞、第45回トロント国際映画祭でも最高賞の観客賞を受賞した史上初めての作品となった。また、第78回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)と監督賞を受賞、第93回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演女優賞の最多3部門を受賞した。 なおクロエ・ジャオは非白人女性監督として初めての快挙となった[20]

さらに見る 映画賞, 部門 ...
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出典

外部リンク

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