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レゾルシノール

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レゾルシノール
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レゾルシノール (resorcinol) とは、ベンゼン-1,3-ジオール(benzene-1,3-diol)の慣用名である。片仮名転記では、レソルシノールと書かれる場合も有るものの、本稿ではレゾルシノールの表記に統一する。この化合物はベンゼンジオールの1種であり、ベンゼン環のメタ位に、2個のヒドロキシ基を有する構造をしており、水に溶け易い。カテコールヒドロキノン(ハイドロキノン)の位置異性体にあたる。

概要 レゾルシノール, 識別情報 ...
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合成

樹脂や、ベンゼン-1,3-ジスルホン酸を溶融アルカリで処理することで、レゾルシノールを得る。プロピレンベンゼンを原料とし、1,3-ジイソプロピルベンゼンから製造する。工業的にはクメンの自動酸化プロセスを応用した1,3-ジイソプロピルベンゼンの酸化により、過酸化物のジヒドロキシパーオキサイドを得て、酸触媒存在下で分解(クリベージ反応)によりレゾルシノールを得る。クメン法の副産物である1,3-ジイソプロピルベンゼンから製造可能なため、石油化学コンビナートによる生産に適する手法である[6][7]

性質

レゾルシノールは、常温常圧で無色の固体として存在する。しかし、光に対して少々不安定であり、光の当たる場所に放置すると、空気中の酸素により徐々に酸化されて変質し、ピンク色を呈するため保管は注意を要す。

レゾルシノールはヒドロキシ基を2つ有し、水素結合の供与も受容も可能であるなど、比較的分子間力が強くなる構造を有する。この関係で、常圧で沸点は280 セルシウス度 (℃)[8]、融点は110 ℃前後である[9][注釈 1]。これに対して、ヒドロキシ基を2つともメタノールとのエーテルにした1,3-ジメトキシベンゼンは、常圧で沸点は217 ℃前後、融点は-52 ℃である[10]。1,3-ジメトキシベンゼンは、レゾルシノールよりも分子量こそ大きいが、水素結合の受容のみ可能であるため、分子間力がレゾルシノールよりも弱く、レゾルシノールの方が沸点も融点も高い。

ベンゼンは水溶性が低いのに対して、レゾルシノールの水溶性が高い理由も、水素結合の供与と受容のいずれも可能であるヒドロキシ基を2つ有する点が影響している。もちろん、水に限らず、レゾルシノールは極性溶媒に溶け易い性質を持つ。なお、レゾルシノールはヒドロキシ基は、いずれもベンゼン環に直結したフェノール性のヒドロキシ基であり、単なる炭化水素に直結したヒドロキシ基と比べて、酸としては強い。レゾルシノールの水溶液の酸解離定数は、25 ℃において、9.81である[9]。また、レゾルシノールを100 (g/L)の濃度で溶解させた水溶液は、20 ℃において、pHが4から6程度と、弱酸性を示す[9]

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用途

レゾルシノールの総需要の半分以上が、タイヤの強化材として用いられるタイヤコードの接着剤の原料である。次いで木材用接着剤原料、樹脂用難燃剤原料、樹脂用紫外線吸収剤原料となる。また、無水フタル酸と酸触媒反応してフルオレセイン(ガレイン)を生成し、蛍光染料の原料として重要である。

医療用途

主にピーリング剤として、5-15 パーセント (%) 濃度でニキビの治療に用い、ピーリング作用は10%以上の濃度で作用する[11]。文献では、20%濃度までが安全とされる[11]。しかし、妊婦が使用する際の安全性は、充分に確認されていない[11]

その他

レゾルシノールは還元力を有しており、殺菌剤や防腐剤として利用される場合も有る。

製造者

主なメーカーは杭州 Amino-chem、住友化学、独ランクセス、印Atulなどである[12]

これまで主なメーカーであった三井化学は、2012年4月に製造プラントで爆発事故を起こし、復旧は断念されて2012年12月末を以って正式に事業撤退した[13]。また、米国Indspecも2017年7月末をもって事業撤退した[14]。一方で住友化学は大分工場にプラントを新設し、 千葉と大分との2プラント体制にした[15]

脚注

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