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丹後国営農地開発事業
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丹後国営農地開発事業(たんごこくえいのうちかいはつじぎょう)は、昭和時代末期から平成時代にかけて、京都府丹後地域で行われた農地開発事業。
特色
1983年度(昭和58年度)から2002年度(平成14年度)まで、宮津市・網野町・弥栄町・久美浜町・大宮町・丹後町・峰山町の1市6町で事業が実施され、低利用・未利用の山林原野を開発して広い区画の優良農地が造成された[1][2]。北海道を除く日本国内では最大級の国営農地開発事業であり、約250戸から300戸の農家が野菜や果樹を生産している[3]。「丹後東部」の受益面積は624ヘクタール(農地造成518ヘクタール、区画整理106ヘクタール)、受益戸数は1602戸[1]。「丹後西部」の受益面積は200ヘクタール(農地造成172ヘクタール、区画整理28ヘクタール)、受益戸数は565戸[2]。
国営農地は小作料(地代)の安さ、広い区画による生産性の高さなどが特徴であり、新規就農者にとってハードルが低いとされる[4]。それまでの丹後地域では農村の後継者不足などが問題となっており、大々的に国営農地を開発することを不安視する声もあったが、実際に造成されると国営農地への就農希望者が相次いだ[4]。
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歴史
事業の背景

山林・原野・水田が入り乱れるという地理的条件、道路網が貧弱であるという社会的条件の制約などから、歴史的に丹後地域の農業は水田を中心とする零細農業であり、その他には砂丘地を利用した畑作が行われている程度だった[5]。丹後地域を象徴する産業は丹後ちりめんに代表される機業であり、農家の多くは機業の傍らで農業も行う第二種兼業農家だった[5]。1973年(昭和48年)のオイルショックは丹後地域の機業に大きな打撃を与え、昭和40年代末期以後には地域経済の低迷や過疎化が進行した[5]。
このような状況を打開するための施策として開始されたのが、近畿農政局が主体となった丹後国営農地開発事業である[5]。国営農地は農家が山林を持ち寄って国に申請するところから始まる事業であり、1989年(平成元年)に打ち切られるまでに日本国内の52か所で進められた[6]。
事業の実施
1979年(昭和54年)に宮津市・網野町・弥栄町・久美浜町・大宮町・丹後町・峰山町の1市6町による推進協議会が発足し、1983年(昭和58年)には丹後開拓建設事務所が建設されると、1984年(昭和59年)には最初の団地(網野町島津第4団地)で農地造成が開始された[5]。1985年(昭和60年)には先発団地で営農が開始され、同年には国営農地で生産された実生のスイカが京都市場に初出荷されて高い評価を受けている[5]。当初は480億円という事業費が示され、北海道を除く地域では日本国内最大規模の国営農地開発事業計画だった。
2001年(平成13年)11月15日には木村功京都府知事が出席した農地造成完了記念営農推進大会が開催され、2002年(平成14年)11月1日には完工式が行われた[6]。当初の計画では2369ヘクタールの造成と既存農地の区画整理が予定されていたが、事業開始後の約20年で計画が大きく変更されている[6]。最終的な造成面積は688.5ヘクタール、区画整理は133.9ヘクタール、総事業費は561億円となったが、いずれにしても内地最大規模の国営農地開発事業である[6]。
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栽培品目
かつて主要な栽培品目だった葉タバコの栽培は2012年(平成24年)に終了した。このこともあって耕作放棄地や遊休地が増え、2013年(平成25年)時点では2年以上耕作されていない農地が20ヘクタールから30ヘクタールに上っていた[3]。2013年(平成25年)には京丹後市の国営農地において、京都府と京丹後市の共同事業である丹後農業実践型学舎の事業が開始された[3]。
京都府茶協同組合はタバコなどを栽培していた国営農地を茶畑に転用することを奨励しており、もともと茶畑が少なかった京都府北部地域でも茶産地化が進行している[7]。2004年(平成16年)には京丹後市大宮町・網野町・久美浜町の国営農地で日本茶(宇治茶)の生産が開始された[8]。4年目の2008年(平成20年)5月には国営農地で栽培された茶葉がJA全農京都府本部茶市場に初出荷されたが、これは同年の宇治茶における一番茶となった。2021年度(令和3年度)時点で4戸の生産者が44.3ヘクタールの茶園を作っており、「京たんご茶」というブランドのペットボトル飲料も販売されている[8]。
2016年(平成28年)には「京たんごメロン」(琴引メロン)が京のブランド産品に認定されたが、同年6月には網野町や峰山町の国営農地などで生産された京たんごメロンが初出荷された[9]。
団地一覧
宮津市
京丹後市
網野町
弥栄町
久美浜町
大宮町
丹後町
峰山町
- 団地一覧の出典 - 京丹後市[12]
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脚注
参考文献
外部リンク
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