五フッ化ヨウ素

五フッ化ヨウ素（ごフッかヨウそ、iodine pentafluoride）とは、ヨウ素原子が5個のフッ素原子と結びついてできるハロゲン間化合物で、分子式は IF₅ と表される。無色～淡黄色の液体で、密度は 3.250 g/cm³。1891年、アンリ・モアッサン により初めて合成された。モアッサンはヨウ素の固体をフッ素ガス雰囲気下で燃焼させ、五フッ化ヨウ素を得た^[3]。この発熱反応は、改良を受けながら今も五フッ化ヨウ素の製造法として利用されている。^[4][5]

${\displaystyle {\ce {I2\ + 5F2 -> 2IF5}}}$

五フッ化ヨウ素
優先IUPAC名 Iodine(V) fluoride
系統名 Pentafluoro-λ5-iodane
別称 Iodic fluoride
識別情報
CAS登録番号	7783-66-6
3D model (JSmol)	Interactive image
ChemSpider	455940
ECHA InfoCard	100.029.108
EC番号	232-019-7
PubChem CID	522683
UNII	LFD5C04ER3
CompTox Dashboard (EPA)	DTXSID2052524
InChI InChI=1S/F5I/c1-6(2,3,4)5  Key: PJIYEPACCBMRLZ-UHFFFAOYSA-N  InChI=1S/F5I/c1-6(2,3,4)5 Key: PJIYEPACCBMRLZ-UHFFFAOYSA-N InChI=1/F5I/c1-6(2,3,4)5 Key: PJIYEPACCBMRLZ-UHFFFAOYAU
SMILES FI(F)(F)(F)F
特性
化学式	IF5
モル質量	221.89 g/mol
外観	無色の液体
密度	3.250 g/cm3
融点	9.43 °C, 283 K, 49 °F
沸点	97.85 °C, 371 K, 208 °F
水への溶解度	反応する
磁化率	−58.1·10−6 cm3/mol
粘度	2.111 mPa·s
構造
結晶構造	単斜晶系
点群	C4V
配位構造	四角錐形
分子形状	四角錐形[1]
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性	毒性、酸化剤、刺激性、水と反応してフッ化水素を放出
GHS表示:
絵表示
重要な用語	Danger
危険性報告	H271, H301+H311+H331, H314, H371, H410[2]
予防報告	P202, P232, P304, P310[2]
NFPA 704（ファイア・ダイアモンド）	3 0 2 W OX
安全データシート (SDS)	External MSDS
関連する物質
その他の 陰イオン	酸化ヨウ素(V)
その他の 陽イオン	五フッ化臭素
関連物質	一フッ化ヨウ素 三フッ化ヨウ素 七フッ化ヨウ素
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

化学的性質

五フッ化ヨウ素は強力なフッ素化剤であり、高い酸化力を持つ。水と激しく反応し、フッ化水素酸を作る。

一級アミンを五フッ化ヨウ素と反応させ、その後に水で処理するとニトリルが得られる^[6]。

${\displaystyle {\ce {R-CH2-NH2 -> R-CN}}}$

−80 ℃ で単斜晶を作り、分子の構造はピラミッド型と報告されている^[7]。