トップQs
タイムライン
チャット
視点
人情紙風船
ウィキペディアから
Remove ads
『人情紙風船』(にんじょうかみふうせん)は、1937年8月25日公開の日本映画である。P.C.L.映画製作所製作・東宝映画配給。監督は山中貞雄、主演は河原崎長十郎。モノクロ、スタンダード、86分。日中戦争で戦病死した山中の遺作として知られる。
略歴・概要
フィルムがまとまった形で現存する山中貞雄監督作品の3作のうちの一つ。河竹黙阿弥作の歌舞伎『梅雨小袖昔八丈』(「つゆこそでむかしはちじょう」通称:『髪結新三』)を原作[1]とし、山中の盟友である三村伸太郎がシナリオを執筆した。『街の入墨者』『河内山宗俊』に次いで前進座と三度目のコンビを組み、一座の花形である河原崎長十郎と中村翫右衛門が主演し、ほか多くの座員が出演した。また、当時前進座に所属していた加東大介が市川莚司名義で、河野秋武が山崎進蔵名義で出演している。
貧乏長屋に暮らす人々の日常と悲哀を描き、山中や稲垣浩らが参加した監督・脚本家集団「鳴滝組」が作っていった「髷をつけた現代劇」(「時代劇の小市民映画」とも)という、時代劇映画の一つのジャンルの中で最も傑作と言われる作品である。1937年度のキネマ旬報ベストテンで第7位にランクインした[2]。
1937年(昭和12年)8月25日、封切り当日に山中に赤紙が届き、平安神宮で壮行会が行われ、神戸港から中国に出征した。山中は戦中、手記に「紙風船が遺作とはチト、サビシイ」と書き遺している。山中は1938年(昭和13年)9月17日に河南省で戦病死した。
ランキング
Remove ads
作品のパブリックドメイン化
公開年、監督没年のいずれを基点としても50年以上が経過しており、日本の著作権法(2013年現在)上ではパブリックドメイン化しており、日本国内では自由に複製、上映、改変、翻案などが可能となっている。
あらすじ
![]() | この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |

江戸の貧乏長屋で浪人の首吊りが発生、役人が調べに来る。長屋の住人である髪結いの新三は、長屋の連中で浪人の為にお通夜をしてやろうと言い、大家を説き伏せて酒をせしめる。お通夜が行われるが、長屋の連中は酒がただで飲めると喜び陽気な馬鹿騒ぎを行う。
同じ長屋にいる浪人の海野又十郎は、父の知人の毛利三左衛門に仕官の口を頼みに行くが、邪険に扱われ相手にしてもらえない。その毛利三左衛門は質屋である白子屋の店主の愛娘お駒をさる高家の武士の嫁にしようと画策している。しかし当のお駒は番頭の忠七に焦がれている。
新三は自分で賭場を開いていたが、ヤクザの大親分弥太五郎源七の怒りを買い散々な目にあってしまう。そのせいで金に困り、髪結いの道具を白子屋に持ち込むが相手にしてもらえない。
海野又十郎は、懲りずに何度も毛利三左衛門に会いに行くが、ある日どしゃぶりの雨の夜に「もう来るな」と言われてしまう。同じ日の夜、忠七が店へ傘を取りに戻っているのを待っているお駒を見かけた新三は、彼女を自分の長屋に連れて帰ってしまう。白子屋の用心棒をしている弥太五郎源七を困らせる為だ。
誘拐を知った白子屋、嫁入り前の大事な時だと源七らを使って、長屋にお駒を引き取りにくるが、新三は源七らを追い返してしまう。その後、大家の計らいで、お駒は忠七の手で白子屋へ無事戻され、大家と新三は50両の大金を得、その夜、その金で宴会をする。
誘拐の片棒を担いだ又十郎も分け前の金を貰って宴会に行くが、真面目だと思われていた又十郎の行為に長屋の女房たちは良い顔をしない。
スタッフ
キャスト

- 前進座
- 浪人海野又十郎:河原崎長十郎
- 金魚売源公:中村鶴蔵
- 髪結新三:中村翫右衛門
- 按摩藪市:坂東調右衛門
- 目明し弥吉:市川楽三郎
- 錠前屋の兼吉:市川菊之助
- 徳兵衛:山崎長兵衛
- 夜そば屋の甚吉:中村進五郎
- 吉兵衛:坂東みのる
- 山崎島二郎
- 役人:市川章次
- 源七乾分猪助:市川莚司
- 流しの與七:中村公三郎
- 市川進三郎
- 弥太五郎源七:市川笑太郎
- 家主長兵衛:助高屋助蔵
- 平六:嵐敏夫
- 長松:市川扇升
- らをしかへや:瀬川花章
- 白子屋久兵衛:嵐芳三郎
- 澤村千代太郎
- 磨師の卯之公:澤村比呂志
- 古傘買いの乙松:市川岩五郎
- 源七乾分百蔵:山崎進蔵
- 毛利三左衛門:橘小三郎
- 忠七:瀬川菊之丞
- 乙松の女房おくま:岬たか子
- 源公の女房おてつ:原緋紗子
- 河原波留子
- 平塚ふみ子
- 久兵衛の女房おなつ:岩田富貴子
- 甚七の女房おちよ:一ノ瀬ゆう子
- 又十郎の女房おたき:山岸しづ江
- P.C.L
Remove ads
テレビドラマ
戦後、テレビドラマにて4度リメイクされている。
- 1958年3月30日20:00 - 21:00、NHK『お好み日曜座』で放送。出演は市川中車、中村又五郎、水戸光子、並木瓶太郎、市川左文次、黒木憲三、大宮瓶。
- 1959年8月14日・21日22:00 - 22:45、KRT『サンヨーテレビ劇場』で放送。出演は中村翫右衛門、坂東調右衛門、中村梅之助、中村鶴蔵、瀬川菊之丞。
- 1963年7月14日22:00 - 23:00、NET『シオノギ日本映画名作ドラマ』で放送。出演は池部良、小山明子、江見俊太郎、市川子団次、飯田覚三、小林重四郎、天田俊明。
- 1978年2月18日20:00 - 21:15、NHK『土曜ドラマ』で放送。出演はフランキー堺、田村高廣、香山美子、栗田ひろみ、金田龍之介ほか。
Remove ads
脚注
外部リンク
Wikiwand - on
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Remove ads