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岳南電車岳南鉄道線

日本の静岡県富士市の吉原駅と岳南江尾駅を結ぶ岳南電車の鉄道路線 ウィキペディアから

岳南電車岳南鉄道線
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岳南鉄道線(がくなんてつどうせん)[2]は、静岡県富士市内の吉原駅岳南江尾駅とを結ぶ岳南電車鉄道路線である。

概要 岳南鉄道線, 基本情報 ...
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2013年(平成25年)3月までは岳南鉄道によって運営されていたが、貨物輸送の廃止に伴う収益悪化を背景に、同年4月より岳南鉄道の鉄道部門が岳南電車として分社化された[3]岳南線、もしくは岳南電車線とも称する。

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路線データ

運行形態・使用車両

要約
視点

旅客列車は全列車各駅停車で吉原駅 - 岳南江尾駅間の直通運転である。途中の岳南富士岡駅の構内に車庫と検修設備がある。途中駅発着の区間列車は設定されていない。完全なパターンダイヤは採用されていないが、旅客列車は基本的に20 - 70分間隔で運行されている。途中の本吉原駅岳南原田駅比奈駅岳南富士岡駅須津駅のいずれかで列車交換する。なお、日中は本吉原駅・岳南原田駅・比奈駅のいずれかのみで列車交換を行う。また、吉原駅でのJR東海道線との接続を考慮しているためか時間帯により交換駅は変動する。岳南江尾駅発の始発は6時10分、吉原駅発の最終は22時25分(平日)である[5]。下り吉原駅発の終電車は平日と土曜・休日で時刻が異なる。

朝や夕方などの通勤・帰宅時間帯は通常岳南江尾駅にて留置されている2両固定編成の8000形電車が運用され、それ以外の時間帯は単行(1両編成)の7000形電車と2両編成の9000形電車が使用される。8000形が運用されている間は7000形は岳南江尾駅に留置され、夜間は3編成ある7000形のうち1編成と8000形は岳南江尾駅に、2編成目の7000形は吉原駅に留置される。但し平日朝のみ、前述の3編成がすべて使用される。もう1編成の7000形は岳南富士岡駅にて留置されており、稼働中の2編成のどちらかが定期検査などで動けないときに運行され、運転士の研修にも利用される。なお、定期検査が生じた時の車両交換のため、日中に岳南富士岡駅 - 岳南江尾駅間に1往復の不定期回送列車が設定されているが、回送せずに岳南富士岡駅で車両交換する場合もある。

なお、7000形のうち7002と7003の2両は総括連結運転ができるようになっており、吉原祇園祭毘沙門天大祭などの多客時には連結して運転されたこともある。7000形の総括運転時の画像が2012年度安全報告書の1ページ目に掲載されている。

1970年代までは定期列車のほかに工場勤務者のための臨時増発列車が多数運転され、吉原駅 - 岳南富士岡駅間、吉原駅 - 須津駅間での区間運転の設定もあった。また、2012年3月16日まで貨物列車が運行されていた。貨物列車廃止直前のダイヤでは、吉原駅 - 比奈駅間に1日4往復の貨物列車が設定されていた。基本的に有蓋車のみで編成されていたが、少ないながらコンテナ車が連結される列車があった。

2014年7月に鉄道本体としては初めて、日本夜景遺産に認定され[6]、現在では8000形2両編成のうち、前1両は通常通り照明をつけて運行し、後ろの1両の照明を消して走る「夜景電車」が月に数回、週末に運行されている。この夜景電車は普通乗車券、定期券、回数券、フリー乗車券のみで利用できる。2014年に初めて運行[7]。2015年6月から月1回1往復の定期運行が開始され[8]、2015年12月より2往復に増便された[9]。2016年4月には「工場夜景電車」の運行が開始され[10]、月2回の運行となった。2019年11月には完全予約制の貸切電車として「ナイトビュープレミアムトレイン」も運行されている[7](2020年6月から新型コロナウイルス感染症対策として通常の夜景電車も予約定員制となっている[11])。

2020年4月29日からは新型コロナウイルス感染症の影響で、土休日ダイヤに限り、最終電車の上下各1本を繰り上げて運行している。

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輸送状況

さらに見る 旅客乗車, 旅客降車 ...

利用状況

要約
視点

沿線には工場が立ち並び、最盛期には99.9万トン(1969年)の貨物輸送量があった。その後、トラック輸送への転換が進み、14万トン(1999年)にまで落ち込んで、1991年以降は旅客収入が貨物収入を上回っている。その旅客収入も最盛期の6分の1まで落ち込んでいる。

輸送実績

岳南鉄道線の輸送実績を下表に記す。輸送量は激減しているが、最近では減少幅が小さくなっている。 表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。

さらに見る 年度別輸送実績(岳南鉄道線), 年度 ...

営業成績

岳南鉄道線の営業成績を下表に記す。営業収益は年々減少している。 表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。

さらに見る 年度別営業成績, 年度 ...
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歴史

要約
視点
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ED40形牽引の貨物列車。沿線には製紙工場が多く、貨物輸送は紙製品が中心。(2008年)
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吉原駅に停車している7000形電車。
(2009年)

吉原東海道の宿場町であったが、東海道本線は町の近くを通らず、町外れに鈴川駅(現吉原駅)が設置されただけであった。戦後になって、鈴川駅と吉原の中心部とを結ぶ鉄道として開業した。鈴川 - 旧左富士信号所間は、戦前に敷設された日産重工業(現日産自動車)の専用鉄道を利用した。

第二期工事として、旧左富士信号所付近から国鉄の身延線入山瀬駅までを結ぶ案(西部線。#西部線計画の節参照)、岳南江尾駅から沼津方面への延伸も計画されていたが、資金難で中止され、事業免許も後に失効した[14]

貨物輸送全盛期には、引込線や専用線の総延長が本線の総延長を上回っていたという逸話もある。しかしながら、2011年1月に日本貨物鉄道(JR貨物)の合理化により2012年春以降の貨物輸送の休止が通告され[15]、そして2012年3月16日限りで岳南鉄道を支えていた貨物列車の運行を終了し、貨物の取り扱いを廃止した。

これを受けて岳南鉄道は、2011年12月16日に富士市公共交通協議会に対して、貨物列車の運行の終了による採算の悪化から、今後の運行継続が困難であるとの申し出を行った[16]。これに対して、富士市の鈴木尚市長は2012年8月3日の午前中に行われた定例会見で2014年度までの公的支援を行うことを表明した。同年度以降については、収支改善の見通しや、利用状況、市民の意見などから総合的に判断するとされた[17][18]。岳南鉄道はその後、2013年4月1日より鉄道路線の運営を、子会社の岳南電車株式会社に移管している。

年表

  • 1936年(昭和11年)8月5日 : 日産重工業専用鉄道の使用開始。
  • 1949年(昭和24年)11月18日 : 岳南鉄道により鈴川駅(現・吉原駅) - 吉原本町駅間が開業。
  • 1950年(昭和25年)4月18日 : 吉原本町駅 - 吉原駅(現・本吉原駅)間が開業。
  • 1951年(昭和26年)12月20日 : 吉原駅 - 岳南富士岡駅間が開業。
  • 1953年(昭和28年)1月20日 : 岳南富士岡駅 - 岳南江尾駅間が開業、全線開通。
  • 1956年(昭和31年)4月10日 : 鈴川駅を吉原駅に、吉原駅を本吉原駅に改称。
  • 1969年(昭和44年)
    • 9月10日 : 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
    • 9月30日 : 吉原駅 - 左富士信号所間で電車と貨車が衝突。126人が重軽傷を負う事故となった[19]
  • 1982年(昭和57年)
    • 8月3日:吉原駅 - 日産前駅間の左富士信号所廃止[20]
    • 11月15日:本吉原駅 - 岳南原田駅間の田宿信号所廃止[20]
  • 1984年(昭和59年)2月1日 : 須津 - 岳南江尾間の貨物営業廃止[21]
  • 1997年(平成9年)
  • 2005年(平成17年)4月1日 : 日産前駅をジヤトコ前(ジヤトコ1地区前)駅に改称。
  • 2012年(平成24年)3月17日 : 貨物列車の運行廃止。貨物を取り扱っていた比奈駅が無人駅化。これにより有人駅は吉原駅・吉原本町駅・岳南原田駅・岳南富士岡駅の4駅となる。
  • 2013年(平成25年)4月1日 : 路線の運営を岳南鉄道から岳南電車に移管[3]
  • 2014年(平成26年)7月18日 : 日本夜景遺産に認定される[6]
  • 2020年 : 岳南鉄道線沿いに敷設した送電線を使い電力供給開始(予定)[23]
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駅一覧

さらに見る 駅番号, 駅名 ...

廃駅・廃止信号所

  • 左富士信号所:1982年8月3日廃止、吉原駅 - 日産前(現・ジヤトコ前)駅間
  • 田宿信号所:1982年11月15日廃止、本吉原駅 - 岳南原田駅間
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西部線計画

年表

計画されていた駅

日産前駅吉原本町駅[注釈 1] - 新吉原駅(停車場) - 新追分駅(停車場) - 宮川町駅(停留場) - 伝法学校前(停車場) - 中桁駅(停車場) - 久沢駅(停留場) - 入山瀬駅[14]

その他

概要 映像外部リンク ...
  • 2015年には、踊る大捜査線シリーズで知られる、本広克行が監督を務める青春映画『幕が上がる』の重要なシーンに岳南鉄道線が使われた。公開記念切符が発売され、ヘッドマークをつけた『幕が上がる号』を期間限定で運行[24]
  • 激減する鉄道輸送の活性化方策の一つとして、2006年11月より北海道旅客鉄道(JR北海道)から線路と道路を走行できるデュアル・モード・ビークル (DMV) を借り入れ、同月24日から3日間、市場踏切 - 岳南原田駅間でテスト走行を行った。この結果を受けて、2007年1月に富士市民のモニター参加者を乗せてデモ走行を行った。道路での運行は富士急行富士急静岡バスが担当した。
  • 岳南富士岡駅近くの踏切など一部の踏切では今では貴重になった電鈴式踏切がある[25]
  • 2012年6月1日から10月31日まで、岳南江尾駅 - JR東海道線東田子の浦駅間でシャトルバスの実験運行が行われた[26][27]。運賃は100円で、岳南鉄道からの乗り継ぎ利用者は運賃を無料などに優遇していた[27]
  • 2015年9月には、岳南電車・富士市・日本電気 (NEC)・ヒラテ技研が共同で、コジェネレーションなどによって発電した電気を岳南鉄道線の架線柱に張った送電線で沿線施設へ供給する実験を行う計画があることが明らかにされた[28][29][30]。2017年7月には富士市が東京電力エナジーパートナーJFEエンジニアリング静岡ガス、テス・エンジニアリングの4社と協定を結び、2017年度までに実現可能性の評価をまとめ、2020年度をめどに事業を開始することになった[23]
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化したことに対し、2021年4月に「吉原駅での運転体験」を目標としたクラウドファンディングを実施。2021年6月の〆切までに約1,300万円の支援を得た[31]。この資金を元に吉原駅の側線や7000形電車の改修を行い、2022年4月より運転体験(要予約、また2022年現在は1人15,000円の参加費用が必要)を実施している[32]
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脚注

外部リンク

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