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オピストコンタ
真核生物の主要な系統の1つ ウィキペディアから
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オピストコンタ(Opisthokonta、後方鞭毛生物、こうほうべんもうせいぶつ)は、アモルフェアに属する真核生物の一群である。動物(後生動物)と真菌に加えて数グループの原生生物を含む。
本群が単系統群であることは、遺伝学および微細構造の双方の研究から強く支持されている。共有形質は、動物の精子やツボカビの胞子のような鞭毛を持った細胞が、後ろ側にある1本の鞭毛で進むことであり、本群の学名はそれに基づき、ギリシャ語の opistho-(後方)+ kontos(鞭毛)に由来する。対照的に、これ以外の真核生物では鞭毛を持った細胞は1本ないし複数の前方の鞭毛で進む。
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系統学的定義
PhyloCodeの下では、ヒト、アカパンカビ、Monosiga ovata(襟鞭毛虫)の3種を全て含み、かつキイロタマホコリカビとシロイヌナズナを含まない、最小のクレードと定義されている[3][4]。
分類と系統
要約
視点

オピストコンタはアメーボゾアと近縁である。両者は鞭毛の数が1本であることからユニコンタと呼ばれてきたが、鞭毛を複数もつグループを含むことが確実となったため[5]、アモルフェアという名称へ変更された[6]。
オピストコンタのうち動物と菌類を除いたいくつかの原生生物は襟鞭毛動物 Choanozoa[注釈 3] またはメソミセトゾア Mesomycetozoa とまとめられることもあったが[9]、その単系統性が否定されるにつれて用いられることは少なくなっている[10][6]。
国際原生生物学会(ISOP)の2019年の分類体系ではオピストコンタを次のように分類している[11]。
- アモルフェア Amorphea
- 系統的位置が不明
- アプソモナス類 Apusomonadida
- ブレビアータ類 Breviatea
- アメーボゾア Amoebozoa
- オピストコンタ Opisthokonta
- ホロゾア Holozoa
- 系統的位置が不明
- コラロキトリウム Corallochytrium
- Syssomonas
- イクチオスポレア Ichthyosporea
- フィラステレア Filasterea
- 襟鞭毛虫 Choanoflagellata
- 後生動物 Metazoa
- 系統的位置が不明
- Nucletmycea (ホロマイコータ Holomycota)
- ホロゾア Holozoa
- 系統的位置が不明
これらの系統関係は以下の通りである[12][13][14][15][16][17]。
アモルフェア |
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歴史
19世紀後半、ヘンリー・ジェームズ=クラークやウィリアム・サヴィル=ケントが襟鞭毛虫と海綿動物の襟細胞の類似性を議論しているが、この時はむしろ海綿動物を群体性の鞭毛虫だと位置付けており、襟鞭毛虫が後生動物の起源だとは考えなかった[19]。20世紀半ばに植物学者ヴィルヘルム・フィッシャーが細胞後方の1本鞭毛によって推進する微生物群に Opistokontae という暫定名を与え[注釈 6]、まもなくヘルムート・ガムスが後生動物の精子も同様の特徴を持つことを指摘した[注釈 7]が、このアイデアは当時広い支持を得ることができなかった[19]。たとえばハーバート・コープランドは1956年にツボカビ類に対してオピストコンタ門 (phylum Opisthokonta)という分類群を提唱したが、ガムスの仮説については「興味深いが今のところこじつけだと考えるべき」としている[23][19]。
しかし電子顕微鏡によって細胞の微細構造観察がなされると、ツボカビ類、襟鞭毛虫類、後生動物の精子の間には、鞭毛運動の様式だけでなくミトコンドリアのクリステにも共通した特徴が認識されるようになる。そこでキャヴァリエ=スミスは1987年に、真菌と動物の間にはさらに、キチン質の外骨格を持つ、貯蔵多糖がグリコーゲンである、葉緑体を持たない、ミトコンドリアの遺伝暗号表で UGA がトリプトファンをコードする、という共通点が見られることを挙げ、動物、襟鞭毛虫、真菌には以上の特徴を持った共通祖先が存在することを主張し、それに由来するクレードをオピストコンタと呼んだ[2][注釈 2]。この系統関係はまもなくSSUリボソームRNAを用いた分子系統解析によって裏付けられた[24]。
キャヴァリエ=スミスらは、オピストコンタとおそらくアメーボゾアは、真核生物が進化してすぐに anterokonts ないしバイコンタ (Bikonta) と呼ばれるそれ以外の真核生物と分岐したものだと論じていた[25]。しかし現在では、ユニコンタの方に近縁なバイコンタの群が多数見つかっており、バイコンタの単系統性は否定されている[26]。
脚注
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