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戸田アレクシ哲
日本出身の経済学者 ウィキペディアから
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戸田 アレクシ哲(とだ アレクシあきら、1979年11月1日 - )は、日本の経済学者[3]。専門は数理経済学、マクロ経済学、金融経済学など[3]。2024年よりエモリー大学経済学部教授を務めている[3]。麻酔科医から経済学者に転身した異色の経歴を持つ[4]。
高校時代は数学オリンピックにも出場していたが、どう戦っても勝てないと思うほど優秀な挑戦者がいたことや、バブル崩壊後で不景気の時代だったため安定した職に就こうと考え、一旦医師を目指したが、医学部で受けた医療経済の講義をきっかけに経済学に関心を持つようになった[4]。当初は独学であり、本格的に研究を初めたのは大学院に進学してからである[4]。
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経歴
1979年にカナダ・モントリオールにて、フランス系カナダ人の母と日本人の父の間に生まれた[5]。カナダの歌手のセリーヌ・ディオンと米国のシンガーソングライターのテイラー・スウィフトの遠縁にあたる[6]。1984年頃、日本に移住した[5]。
1995年から1998年まで東京学芸大学附属高等学校に通った。同校は1995年に第15回全国高等学校クイズ選手権東京都代表になり、戸田も同番組での解答者の1人として出場した[7]。
1998年に東京大学理科三類に入学、2000年に東京大学医学部医学科に進学した[3]。東大生時代には「大学への数学」の編集に携わっていた[4]。大学4年のときに医学部で受けた医療経済の講義をきっかけに経済学に関心を持つようになった[4]医学部卒業後の2004年から2006年まで、北見赤十字病院の臨床研修医を務めた[3]。
2006年に東京大学大学院経済学研究科に入学し、2008年に修士号取得後、イェール大学経済学部の博士課程に進学した[3]。この頃、2006年から2007年までNTT東日本関東病院で、2007年から2010年まで虎の門病院の麻酔科で非常勤を務めた[3]。
2013年に博士号取得[8]後、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UC San Diego)経済学部助教授(2013年-2019年)及び准教授(2019年-2024年)を務め[3]、2024年よりエモリー大学経済学部教授を務めている[9]。
テレビ朝日の「あいつ今何してる?」に出演(2019年12月18日放送)。東京学芸大学附属高校史上最高クラスの超天才!“教師が解けない問題を自作”し“数学のオリジナル公式を作成”、口癖が「自明」などのエピソードが紹介された[10]。
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研究
要約
視点
経済学を中心に査読論文は50を超えるが、数学・物理学・医学の論文も発表している[11]。
初めて書いた論文は1998年の東大在学時、「単体の個の傍接球の半径の逆数の和は、内接球の半径の逆数の倍に等しい」というリュイリエの定理を次元に拡張したものであり、2014年に専門誌に掲載された[12]。論文の執筆から掲載まで16年もかかった理由として、本人は「論文の書き方を知らなかったため」としている[13]。
べき分布
博士課程からべき分布に関心を持った。家計の消費が冪乗則に従い、資産価格モデルの推定に影響を与えることを示した論文は、トップジャーナルの一つのJournal of Political Economyに掲載された[14]。マクロ経済学における代表的なモデルであるBewley-Huggett-Aiyagari (BHA)モデルでは、割引率や資産のリターンが定数である限り、家計の資産分布の裾は必ず所得分布の裾の性質を引き継ぎ、「BHAモデルでは資産分布を説明できない」という不可能性定理を証明した[15]。経済モデルによく現れる、初期化を伴うマルコフ乗法過程(加法過程に指数関数を施したもの)の定常分布の裾が冪乗則に従うことを証明し、パレート指数の公式を導出した[16]。この論文は、トップジャーナルの一つのEconometricaに掲載された。
COVID-19
2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、いくつか論文を発表した。2020年3月に公開したプレプリントでは時期尚早なロックダウン政策は経済活動を阻害する一方で感染拡大の抑止にはつながらないと指摘し[17]、政府の干渉に反対した意見はメディアに取り上げられた[18][19]。この論文は、2025年現在、戸田の論文の中で引用回数が最も多い[11]。経済主体の最適化行動や不顕性感染を加味したモデルでは、仮に政府が最適なロックダウン政策を行ない、政府の干渉コストが無視できたとしても、最終的な感染件数の減少は個人の自由放任にした場合と比べて無視できることを証明した[20]。パンデミック初期の感染の広がりを推定し、アメリカの郡における感染者数の分布のパレート指数が生成メカニズムと整合的であることを示した[21]。
資産価格バブル
2022年から資産価格バブルの研究を始めた。共同研究者の平野智裕と執筆し、2025年に経済学のトップジャーナルの一つのJournal of Political Economyに掲載されたBubble Necessity Theorem(バブル必然性定理)という論文では、経済成長率が配当成長率を超え、かつ低金利状態になると必ずバブルが発生することを証明した[22]。経済学では一般にバブルは不合理なもの[23]、脆弱なもの[24]という考えがあるため、「バブル必然性」という概念は経済学の固定観念を根幹から揺るがすものである。同じく2025年に科学のトップジャーナルの一つのProceedings of the National Academy of Sciencesに掲載された論文では、経済が土地集約型のマルサス経済から知識集約型の現代経済に移行すると、生産性の高い部門(知識産業)から低い部門(土地)に資金が流れ、地価バブルが必然的に発生するという理論を提唱した[25]。2024年に掲載されたバブルのレビュー論文では、1980年代の日本のバブル景気の議論もしている[26]。
マクロ経済学
アメリカ経済のモデルをもとに、所得税を廃止し付加価値税(日本で言う消費税)を30%程度にすることで、税収を減らさずに経済効率が7%近く改善すると提唱した[27]。
科学の透明性
科学の健全な発展や透明性に関心を持っている。自身の資産分布不可能性定理[15]の証明に不備を見つけ訂正した[28]。Kocherlakotaの1992年の有名なバブルに関する論文の証明に不備を見つけ訂正した[29]。物理学者が主に提唱しているErgodicity Economicsという分野は疑似科学であると批判した[30]。バブルの分野で有名なMiao-Wangモデルでは、実のところバブルは存在しないことを証明した[31]。ノーベル経済学賞受賞者のTiroleの1985年の有名なバブルに関する論文の中の定理に反例を見つけたが、仮定を強めることで主張が成り立つことを証明した[32]。
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著作
- 著書
- Alexis Akira Toda "Essential Mathematics for Economics", Chapman and Hall/CRC, 2025[33]
- 訳書
出典
外部リンク
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