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構内無線局

構内無線局 ウィキペディアから

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構内無線局(こうないむせんきょく)は、無線局の種別の一つである。

定義

総務省令電波法施行規則第4条第1項第26号に「構内無線業務を行う無線局」と定義している。 この構内無線業務とは、第3条第1項第17号に「一の構内において行われる無線通信業務」と定義している。

概要

一つの構内で用いられるテレメータ、テレコントロール(遠隔制御)、データ伝送及び電子タグ等と呼ばれるRFIDによる移動体識別、無線電力伝送(ワイヤレス電力伝送)に用いる無線局である。

「一つの構内」とは工場敷地内やビル内などの内部のみで使用されるもので、公道上や移動中の車両などでは使用できない。 使用する場所が一つの構内にとどまらない場合は、同一用途の陸上移動局特定小電力無線局を使用しなければならない。 用途、電波の型式周波数空中線電力は電波法施行規則に別に告示すると規定している。

種類

要約
視点
用途、電波型式、周波数、空中線電力

電波法施行規則に基づく告示 [1]無線設備規則に基づく告示 [2] にある用途、電波型式、周波数、空中線電力及び免許局・登録局の区別は次のとおり(経過措置によるものを含む。)である。

2022年(令和4年)5月26日[3]現在

さらに見る テレメーター、テレコントロール、データ伝送用, 電波型式 ...

構内無線局に割り当てられた周波数帯は同一用途の他の種別の局あるいは他の業務やISMバンドと共用しており、混信などの妨害に関し優先度が異なる。 この関係を次に示す。

さらに見る 周波数帯, 優先度高←→優先度低 ...

実際は無線LANやデジタルコードレス電話などからの混信を完全に回避することは難しい。

標準規格

法制化当初から、電波システム開発センター(略称 RCR)(現・電波産業会(略称 ARIB))が無線設備規則第4節の10に規定する技術基準を含めて規格化し、標準規格として公開している。

  • RCR STD-1 構内無線局2.4GHz帯移動体識別用無線設備[4]
  • RCR STD-5 構内無線局1,200MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備[5]
  • ARIB STD-T106 構内無線局 陸上移動局 920MHz帯移動体識別用無線設備[6]
チャネル番号

RCR STD-5、ARIB STD-T106にあるものを次表に掲げる。

2012年(平成24年)12月14日[6]現在

さらに見る 占有周波数帯32kHz以下, 占有周波数帯16kHz以下 ...
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免許・登録

要約
視点

種別コードLO。有効期間は免許・登録の日から5年である。

免許局の無線設備は事実上、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則により認証された適合表示無線設備による。 これ以外の機器による免許申請を否定するものではないが、簡易な免許手続が適用されない [7] ので予備免許を取得し落成検査に合格しなければならず、#操作の電波法施行規則第33条第6号(4)にもあるとおり無線従事者を要することとなる。 つまり、適合表示無線設備を使用することが事実上の必須条件である。 また、登録局の無線設備は適合表示無線設備でなければならない [8]

免許の単位

916.7~920.9MHzの移動体識別用は、「無線局の運用の様態が機能上一体となって一の通信系を構成するもの」である場合、複数の送信設備を単一の無線局として申請することができる[9]

「機能上一体となって一の通信系を構成する」とは、一つの構内の同一のネットワークにおいて個々の送信設備が無線局の目的遂行のために一体となって運用されており、単一の送信設備のみでは無線局の目的を遂行することができないことを意味している。

表示

適合表示無線設備には、当初は技術基準適合証明の文言を含む楕円形のマークが、1991年(平成3年)9月からを含んだ円形のマークの表示が義務付けられている。 1995年(平成7年)4月からのマークは技適マークである。

また技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号の表示も必須とされ、構内無線の機器を表す記号は、技術基準適合証明番号の4-5字目にあり、種別毎に次のとおりである。[10]

2022年(令和4年)5月26日[11]現在

さらに見る 種別, 記号 ...

従前は工事設計認証番号にも記号を表示するものとされていた。[12]

  • 工事設計認証番号の4字目がハイフン(-)のものに記号表示は無い。
局数

登録局については無線局登録状に記載されない。

旧技術基準の機器の使用

無線設備規則スプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準改正 [13] により、旧技術基準に基づく無線設備が免許されるのは「平成29年11月30日」まで [14]、 使用は「平成34年11月30日」まで [15] とされた。

対象となるのは、

  • 「平成17年11月30日」[16]までに認証された適合表示無線設備
  • 経過措置として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに認証された適合表示無線設備[17]

である。該当するのは

  • テレメーター、テレコントロール、データ伝送用
  • 移動体識別用の2,450MHz帯免許局

である。

新規免許は「平成29年12月1日」以降はできないが、使用期限はコロナ禍により[18]「当分の間」延期[19]された。

詳細は無線局#旧技術基準の機器の使用を参照。

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操作

電波法施行規則第33条に無線従事者を要しない「簡易な操作」として、同条第6号(4)に構内無線局が、適合表示無線設備のみを使用するものに限り「無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作」と掲げられており、#免許・登録にもあるように、構内無線局には事実上無線従事者が不要である。

検査

  • 落成検査は、上述の通り適合表示無線設備の使用が事実上の必須条件であり、簡易な免許手続の対象とされて行われない。
  • 定期検査は、電波法施行規則第41条の2の6第24号により行われない。
  • 変更検査は、落成検査と同様である。

沿革

要約
視点

1986年(昭和61年)- 電波法施行規則に定義[20]

  • 周波数は告示[21]によるものとされ、400MHz帯と2,450MHz帯のみ
    • 400MHz帯は、テレメータ、テレコントロール、データ伝送、構内ページング用
    • 2,450MHz帯は、移動体識別用で周波数は2440、2450、2455MHz
  • 技術基準適合証明番号で構内無線の機器を表す記号は1字目のA[22]

1989年(平成元年)- 1,200MHz帯テレメータ、テレコントロール、データ伝送用が追加 [23]

1992年(平成4年)- 19GHz帯(19.495~19.555GHz、100MHz間隔)に高速データ伝送用が追加 [24]

1993年(平成5年)- 電波利用料制度化、料額の変遷は下表参照

1998年(平成10年)- 13560kHzにワイヤレスカードシステムが追加 [25]

2000年(平成12年)- 400MHz帯の各用途は廃止 [26]

  • 以降は、特定小電力無線局として扱われる。

2001年(平成13年)- 構内無線の記号Aは番号の3字目に [27]

2002年(平成14年)- ワイヤレスカードシステムは廃止 [28]

  • 以降は、高周波利用設備として扱われる。

2003年(平成15年)

  • 2,450MHz帯に2448.875MHzが追加[29][30]
    • 6月18日以降の従前の周波数の利用は既設局に限られることに[31]
  • 構内無線の記号Aは番号の4字目に[32]

2005年(平成17年)

  • 950MHz帯移動体識別用として953MHzが割り当て[33][34]
  • 2,450MHz帯の周波数ホッピング方式は登録局に[35]
    • 既設の免許局は最初に到来する免許の応当日に登録局とみなし[36]

2006年(平成18年)- 950MHz帯移動体識別用が登録局に[37]

  • 1月25日以降は新規の免許申請が不可に[38]

2008年(平成20年)- 構内無線の記号は番号の4-5字目とされ、950MHz帯キャリアセンス付きはPV に、2,450MHz帯周波数ホッピング方式はRV[39]

2009年(平成21年)

  • 高速データ伝送用は廃止[40][41]

2010年(平成22年)

  • 950MHz帯移動体識別用として954.2MHzが割り当て[42][43]

2011年(平成23年)

  • 920MHz帯移動体識別用として916.8~920.8MHzが割り当てられることに[44][45]
    • 950MHz帯の免許・登録申請は「平成24年12月31日」まで、使用は「平成30年3月31日」までに[46][47]
  • 構内無線の記号は従前のAASに、PVと920MHz帯キャリアセンス付きがBSに、RVCS[48]

2012年(平成24年) 

  • 920MHz帯の割当て開始[44]
  • 950MHz帯の新規免許・登録申請が不可に[47]

2013年(平成25年)- 工事設計認証番号に記号の表示は不要に[12]

2018年(平成30年)- 950MHz帯は廃止[44]

2019年(平成31年)- 920MHz帯移動体識別用の機器は陸上移動局として登録ができることに[49]

  • 移行措置は規定されておらず、既設局については廃止と同時に陸上移動局として登録の申請を要する。

2022年(令和4年)- 無線電力伝送用として918MHz、919.2MHz、2.4GHz帯、5.7GHz帯が割り当て[50][51]

  • 無線電力伝送用の記号はZS[11]
局数の推移
さらに見る 年度, 総数 ...
さらに見る 年度 調査基準日, 種別 ...
電波利用料額

電波法別表第6第1項の「移動する無線局」が適用される。

さらに見る 年月, 免許局 ...
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廃止

要約
視点

構内無線局として廃止されたものの廃止時点の情報を参考として掲げる。 配列は周波数順で構内無線局としての廃止日順ではない。 チャネル番号は電波産業会標準規格による。

13560kHz

空中線電力1W以下、変調方式の規定なし、標準規格 ARIB STD-T60 ワイヤレスカードシステム[81](廃止済み)(ARIB STD-T82 誘導式読み書き通信設備(ワイヤレスカードシステム等)[82]に継承)

400MHz帯
さらに見る 電波型式, 周波数 ...
さらに見る 周波数, 空中線電力 ...
950MHz帯
さらに見る 電波型式, 周波数 ...
さらに見る 局数の推移, 年 ...

920MHz帯への移行を促進する為、新たにこの周波数帯を携帯電話業務に使用するソフトバンク(旧称ソフトバンクモバイル)が期限内に無線機を取り替える費用を負担する「終了促進措置」を実施していた[90]

19GHz帯
さらに見る 電波型式, チャネル ...
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脚注

関連項目

外部リンク

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