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簡易無線
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簡易無線(かんいむせん)は、27MHz帯、150MHz帯、400MHz帯(348MHz帯、351MHz帯、 465MHz帯、 467MHz帯、468MHz帯の総称) [1] 、50GHz帯を利用する無線通信システムである。CR(Convenience Radio)という略称で呼ばれることがある。
![]() | この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
27MHz帯の無線電話(音声通信)として規定されていたものは市民ラジオの制度に、900MHz帯に規定されていたものはパーソナル無線に詳述されているので本項目では最小限の記述にとどめる。
定義
総務省令電波法施行規則第4条第1項第25号に簡易無線局を「簡易無線業務を行う無線局」と、簡易無線業務を第3条第1項第16号に「簡易な業務のために行う無線通信業務」と定義している。
また、総務省令無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準第2条第5号には、簡易無線業務用無線局を「簡易な無線通信業務を行うために開設する無線局」と意義付けている。
開設の基準
無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準第7条による。
簡易無線業務用無線局は、次の各号の条件を満たすものでなければならない。
- 1 その局は、免許人以外の者の使用に供するものでないこと。
- 2 その局を開設する目的、通信の相手方の選定及び通信事項が法令に違反せず、且つ、公共の福祉を害しないものであること。
- 3 その局を開設することが既設の無線局等の運用又は電波の監視に支障を与えないこと。
概要
無線電話の使用が主であるが、データや画像・動画の伝送ができる機器もある。
利用にあたっては、総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む。)より、351MHz帯以外は無線局免許状の、351MHz帯は無線局登録状の取得を要する。 それぞれ、免許局、登録局と呼ばれる。
種類
要約
視点
周波数割当計画に簡易無線通信業務用に割り当てられた周波数を基にした電波法施行規則に基づく告示 [2]の各号に規定された種類毎に、空中線電力、電波型式による変調方式及び無線設備規則の技術基準並びにこれに基づく電波産業会(略称はARIB、旧称は電波システム開発センターで略称はRCR)策定の標準規格やその他による情報を次の表に示す。 原則として使用できるのは、日本国内の陸上(河川、湖沼その他これらに準ずる水域又は防波堤若しくはこれに準ずる施設の内側の水域を含む。) で海上または上空すなわち船舶(船舶内のみの使用は可)または航空機からの使用はできない。 [3]
2019年(平成31年)1月1日[4]現在
- チャネル番号
電波産業会標準規格にあるものを次表に掲げる。
2012年(平成24年)12月18日[6]現在
デジタル簡易無線
DigitalとCRを組み合わせDCRという略称で呼ばれる。
- 150MHz帯、467MHz帯は免許局、351MHz帯は登録局である。登録局には上空で利用できるものとできないものがある。
- 変調方式にπ/4シフトQPSK、RZSSB、4値FSKの3方式があり、相互に交信できない。
これに対応して、無線機と梱包箱およびカタログなどに下記のように種別コード[6]が記載される。
商品化されているのは4値FSKのものである。
- 送信時間が5分を超えようとすると発射が停止され、この場合停止から1分経たないと送信できない[14]。
- 呼出名称記憶装置により呼出名称の自動発射が義務付けられている[15]。
- ユーザーコード、秘話機能を搭載し、チャネル毎に設定すること[6]ができる。
- 各々3桁数字001~511、5桁数字00001~32767を設定することによる。
- ユーザーコードは、特定の相手のみを選択受信するスケルチ機能であり、一時解除すればそのチャネルで
- 秘話機能を設定していないときは秘話機能を設定されていない局をすべて受信できる。
- 秘話機能を設定しているときは秘話機能の数字が一致した局のみ受信できる。
- 秘話機能は、数字が(ユーザーコードが設定されていれば併せて)一致した局のみ受信できる。
- データ信号用装置を付加してデータや画像伝送または中継器を接続できる。また、データ伝送専用機種もある。
- 製造者規格の定義[6]があるのみで異なるメーカーの機種間では通信または接続できない。
- 音声コーデックについて、「STD-T98」には「この規格に準拠すればケンウッドの特許の実施を無条件で許諾する」と注意がある。この特許はAMBE:Advanced Multi-Band Excitation(英語版)方式といい、参入したメーカーは一部の機種を除き採用しているので事実上統一されている。
- AMBE方式でない機種は、「AMBE方式の無線機とは交信できません」などと広告しているので導入の際は注意を要する。
- 登録局
- 1S、2S、3Sの機種(上空用)は、空中線が筐体と一体化していなければならない[14]。
- アンテナは取り外せない。
- キャリアセンス機能により他局の送信中はそのチャネルで送信できない[14]。
- 無線機をレンタルできる。
- 登録人以外の者が使用する際には、「無線局の運用の特例に係る届出書」(レンタルの届出) の提出が必要となる。
- 不特定の者との交信ができる。
- 個人的な利用、レジャーへの利用ができる。
- 対応機種が限られるが、IP回線を介し特定小電力トランシーバーやIP電話との通信や交信範囲の拡大をできる中継器がある。
- 免許局
467MHz帯
- データ、画像伝送は、メーカー及びユーザーの自主規制により、ch61~65を利用している。
- LANに接続して無線機を遠隔操作、中継器動作できる機種がある。
- インターネットへの接続は免許人の機器を確実に制御できる保証が無い為、認められない。
150MHz帯
- ch20~28は、データ、画像伝送用とされ、音声通信ができないよう設定[6]されている。
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免許・登録
要約
視点
無線局の免許人として外国籍の者が原則として排除されることは、電波法第5条第1項に欠格事由として規定されているが、第2項に例外が列挙されその第7号に「自動車その他の陸上を移動するものに開設し、若しくは携帯して使用するために開設する無線局又はこれらの無線局若しくは携帯して使用するための受信設備と通信を行うために陸上に開設する移動しない無線局」があるので、これに該当するものは外国人や外国の会社・団体でも開設できる[16]。 登録については、外国籍の排除は規定されていない。
種別コードはCR。 有効期間は免許・登録の日から5年。
351MHz帯では包括登録が認められるので任意の時点で無線設備を追加できる。 登録状にも局数は記載されない。
無線局の目的(用途)は簡易無線業務用で無線局の目的コードはCRA、通信事項は「簡易な事項」で通信事項コードもCRA[17]である。
- 用途が簡易無線業務用のみであるので、簡易無線以外に使用できない。
免許局の無線設備は事実上、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則により認証された適合表示無線設備による。 これ以外の機器による免許申請を否定するものではないが、簡易な免許手続が適用されない [18] ので予備免許を取得し落成検査に合格しなければならず、#操作の電波法施行規則第33条第7号(4)にもあるとおり無線従事者を要することとなる。 つまり、適合表示無線設備を使用することが事実上の必須条件である。
- 特定無線設備が制度化される以前の無線設備は、無線機器型式検定規則による検定に合格した「検定合格機器」によるものであった。
また、登録局の無線設備は適合表示無線設備でなければならない [19]。
- 2008年(平成20年)4月1日[20]現在
- 免許局と登録局を一つの筐体に搭載するものは無線局の種別が異なるので、それぞれ免許申請と登録申請することを要する。
'電波利用料の料額は、電波法別表第6第1項の「移動する無線局」が適用される。
- 免許局と登録局を一つの筐体に搭載するものは、申請手数料と同様に二台分を要する。
- 包括登録については、登録の日の応当日現在の台数に適用される。[21]
電波法施行規則第38条第1項により免許局は常置場所に免許状のみ備え付ければよく、時計、無線業務日誌は不要である[22]。 同条第9項により登録局は常置場所に登録状のみ備え付ければよい。 これらを掲示することは規定されていない。
表示
適合表示無線設備には、当初は技術基準適合証明の文言を含む楕円形のマークが、1991年(平成3年)9月から〒を含んだ円形のマークの表示が義務付けられている。 1995年(平成7年)4月からのマークは、技適マークである。
適合表示無線設備には技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号の表示も必須とされ、簡易無線の機器を表す記号は、技術基準適合証明番号の英字の1字目または1-2字目にあり、種別毎に次の通り[23]である。
2019年(平成31年)1月1日[24]現在
従前は工事設計認証番号にも記号を表示するものとされていた。[30]
- 工事設計認証番号の4字目がハイフン(-)のものに記号表示は無い。
検定合格機器には、円形の検定マーク、検定番号および機器の型式名の表示が必須であり、簡易無線の記号は検定番号および機器の型式名の1字目のCであった。 この為、150MHz帯及び400MHz帯FM機器を製造・販売業者などはC検定機と呼んでいた。(ちなみに一般業務用無線機はF検定機)
免許されない業務
簡易無線は、法人・団体(個人事業主を含む。)内(異免許人間通信を同意した他の免許人所属の簡易無線局を含む。)における簡易な通信や伝送を行うための無線であり、電気通信業務や海上・航空交通業務を遂行するためには免許されない[3]。 また、鉄道・バス等の陸上交通業務や消防・防災・警備等の人命や財産を保護する業務などには、各業務の専用波が免許される。 ただ、開設の基準が簡素で無線従事者も不要であることから、専用波が財務などの理由でとれない小規模事業者が利用しているのも実情であり、一般事業用や公共事業用の無線局が免許されることが可能な事業者でも簡易無線を利用することがあるのは、無線従事者を必要とした制度化当初から見られたこと [31]である。
なおデジタル登録局は、個人での登録、レジャー目的での使用や不特定の相手との交信ができ、パーソナル無線も同様であった。
旧技術基準の無線設備の使用
無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準改正 [32] により、旧技術基準に基づく無線設備が免許されるのは「平成29年11月30日」まで [33]、 使用は「平成34年11月30日」まで [34] とされた。
対象となるのは、
- 「平成2年6月18日」[35]現在の条件により検定合格した検定合格機器[36]
- 「平成17年11月30日」[37]までに認証された適合表示無線設備
- 経過措置[38]として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに認証された適合表示無線設備
である。 該当するのは150MHz帯アナログ方式、900MHz帯および50GHz帯のものである。
- 以後の900MHz帯の経緯は、パーソナル無線#廃止を参照
また周波数割当計画改正 [39] により、「400MHz帯アナログ簡易無線免許局も免許されるのは「平成29年11月30日」まで、使用は「平成34年11月30日」までとされ、「デュアル機についても使用期限までにアナログ電波の発射を停止する改修を要する」とされた。
新規免許は「平成29年12月1日」以降はできないが、使用期限はコロナ禍により、150MHz帯アナログ方式および50GHz帯は「当分の間」[40][41]、400MHz帯アナログは「令和6年11月30日」[42][43]に延期された。
既設局の旧技術基準の無線設備に関する免許の取扱いは次の通り
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運用
無線局運用規則第4章 固定業務、陸上移動業務及び携帯移動業務の無線局、簡易無線局並びに非常局の運用による。
無線局運用規則第128条の2により簡易無線局は、原則として1回の通信時間は5分を超えてはならないものとし、1回の通信を終了した後は、1分以上経過した後でなければ通信を行ってはならないとしている。#デジタル簡易無線では、これが自動的に設定されている。
操作
電波法施行規則第33条の無線従事者を要しない「簡易な操作」の規定から簡易無線局に関係するものを抜粋する。
- 第4号(1) 特定無線局以外の陸上に開設した無線局でかつ海岸局、航空局、船上通信局、無線航行局、海岸地球局又は航空地球局以外のものの通信操作
- 簡易無線局も該当する。
- 第6号(3) 適合表示無線設備のみを使用する無線局の無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
- 第7号(4) 第6号(3)以外の簡易無線局の無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作で他の無線局の無線従事者に管理されるもの
- 第8号 その他に別に告示するものに基づく告示[49]に規定するプレストーク方式による無線電話の送受切替装置の技術操作
#免許・登録にもあるように、簡易無線局には事実上無線従事者が不要である。
検査
- 落成検査は、上述の通り適合表示無線設備を使用すれば、簡易な免許手続の対象とされて行われない。
- 定期検査は、電波法施行規則第41条の2の6第23号により行われない。
- 変更検査は、落成検査と同様である。
沿革
要約
視点
- 局数の推移
- アナログ局数の推移
- デジタル局数の推移
- 50GHz帯局数の推移
- 電波利用料額
電波法別表第6第1項の「移動する無線局」が適用される。
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廃止
要約
視点
簡易無線として廃止されたものの廃止時点の情報を参考として掲げる。 配列は周波数順で簡易無線としての廃止日順ではない。 チャネル番号は電波産業会標準規格による。
- 13560kHz
空中線電力最大1W、変調方式の規定なし、標準規格 ARIB STD-T60 ワイヤレスカードシステム(廃止済み)[86](内容はARIB STD-T82 誘導式読み書き通信設備(ワイヤレスカードシステム等)[173]に継承)
- 27MHz帯
- 無線電話
- 市民ラジオの制度を参照
- 無線操縦
- 460~470Mc[176]
この周波数帯が割り当てられていた期間内[65]に、467Mc以外の検定合格機器は無く免許が公示された無線局も無い。
467Mcは、最大空中線電力5W、変調方式はAM又はFM、送信及び受信に水晶発振を使用する義務は無い[177](自励発振及び超再生検波の使用を容認)。
- 制度化当初の技術基準を追認してきたもの[178]
余談であるが、デジタル化により周波数467MHzが「復活」した。
- 900MHz帯
パーソナル無線#廃止を参照
- 920MHz帯
- 950MHz帯
920MHz帯への移行を促進する為、新たにこの周波数帯を携帯電話業務に使用するソフトバンク(旧称ソフトバンクモバイル)が期限内に無線機を取り替える費用を負担する「終了促進措置」を実施していた[180]。
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脚注
関連項目
外部リンク
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