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洗濯

衣類やリンネル類など布地を洗うこと ウィキペディアから

洗濯
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洗濯(せんたく、: laundry[1])とは、衣類などについた汚れを洗い落とすこと[1]。機械的作用と化学的作用を利用して衣類などの布地洗うこと[2]

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現代の先進国、スウェーデンの一般家庭の洗濯室の風景。電気洗濯機複数台 +乾燥機 + 洗濯物の干場。

概説

現代の一般家庭における洗濯は、まず衣類の洗濯表示の確認をして適切な洗濯法を知り、一般的には浸水、洗い、すすぎ、脱水、乾燥、(アイロンがけ、)折りたたみ、収納、という過程を経る。

洗濯は歴史上長きにわたり、女性の家事労働のなかでもかなり大きな部分を占めるような大変な作業だった。英語圏では、洗濯に従事する女性をWasherwoman英語版と呼んでいた。(20世紀の)電気洗濯機の普及や化学繊維や新しいタイプの洗剤の出現などにより、(先進国では)洗濯に費やす時間と労力は相当に削減できるようになった[1]発展途上国の多くでは今でも手作業で洗濯を行っており重労働でありつづけている。

洗濯することを職業としている人々もいる。洗濯を専門とする業種は「クリーニング業」と呼ばれる。界面活性剤による洗濯のほか、ドライクリーニングなどの手法を用いて洗浄する。業者による洗濯の過程には、一般家庭同様の「浸水、洗い、すすぎ、脱水、乾燥、アイロンがけ」の他にも「ネーム付け」「プレス」「検査」「包装」などがある。

古代ギリシアや2000年前の中国にすでに、洗濯を職業とする業者がいた。#業者による洗濯

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歴史

要約
視点

古代

洗濯や洗浄剤に関する歴史(つまり文字による記録)は四大文明メソポタミア文明エジプト文明インダス文明中国文明)の黎明期には既にあり、特に古代オリエントには多くの記録が発見されている[2]

古代、人々は水辺に住んでそのを利用して洗濯していた[2]。一方、水の乏しい地域ではでもんで洗濯をしていた[2]。古代エジプトや古代ギリシャでは洗濯方法は踏み洗いが一般的だった[2]古代エジプトでは洗濯は水中の2本の足の象形文字(ヒエログリフ)で表現された[2]。また、古代ギリシャの叙事詩オデッセイには王女ナウシカアーが川で踏み洗いをする記述がある[2]。日本の平安時代末期の扇面古写経にも洗濯の様子が描かれており、日本でも踏み洗いが一般的だったことが判る[2]。なお日本の『万葉集』(7世紀後半-8世紀後半)には「ときあらい」という言葉があり、日本では着物をほどいて洗う方法も行われていた[2]

紀元前5000年頃には洗浄剤が使用されるようになった[2]紀元前3000年頃のエジプトでは湖水から得られる天然炭酸ソーダが利用された[2]

紀元前3000年頃からは、洗浄剤としてを溶かした灰汁が利用されるようになり、19世紀後半まで最も一般的な洗浄剤だった[2]。日本でも『古事記』の「さねかずら」、『万葉集』の「さなかづら」や「さいかち」など植物の浸出液を洗濯に使っており、平安時代には灰汁も使われるようになった[2]

また重曹アンモニアが溶けて弱アルカリ性となった水は、汚れの皮脂成分の脂肪酸と反応して水溶性の鹸化物質となり汚れが落ちる。古代ローマでは回収して発酵させた尿を使って洗濯する業者がいたことが知られている[注 1]。またフラー土モンモリロナイトなど油を吸着する性質の泥や土も用いられた。

なお、冷水よりも温水のほうが汚れ落ちの効果が高いことは「古く??[いつ?]」から知られていた[2]。(正確性)「" 最初[要検証] " の " 洗濯条件 " の改良は湯の使用」と某研究者は主張した。(時代が跳んで平安期、西暦9世紀後半-10世紀ころの『枕草子』にも湯による洗濯の記述がある[2]。)

中世から近世

中世になるとヨーロッパでは湯沸かし、洗濯槽、たたき洗いに使用する石、洗濯板などを備えた共同の洗濯場が設置されるようになった[2]。一週間のうち主に月曜日が「洗濯日」とされ、洗濯は社会的行事であった[2]。(イギリス、ドイツなど伝染病が広がった歴史のある地域では)都市部の家庭の女性が自宅内で洗濯する場合は、かまどで煮沸しつつ棒でかきまわしつつ洗濯したり、あるいは床においた金属製のタライに水と洗濯物を入れ、手で洗ったり足で踏んで、きれいな水ですすぐ、などといった方法が一般的だった。パリのセーヌ川は何世紀もの間、公共の洗濯場として使われ、18世紀から19世紀にかけては女性の職場としての機能を果たしていた[3]。パリの洗濯店「ラヴォワール」(洗濯場の意)はそれまで家事として行われていた洗濯をプロによる職業として特化させたものだった[注 2]

近現代

1930年代のアメリカでは一般家庭に電気と水道が供給されるようになり、電気洗濯機が普及した[2]先進国では洗濯機の普及とともに粉末合成洗剤も使われるようになった。

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家庭の洗濯用品

洗浄のための機械・道具類
  • 洗濯 + 洗濯板
  • 洗濯機 ( + 洗濯ネット
  • 洗濯ブラシ
  • 洗濯棒英語版 ‐ 明治時代になって洗濯板が導入される以前は踏み洗い、洗濯棒で叩く洗い方をしていた[5]
洗浄剤、柔軟剤、ノリなど
乾燥のための道具類
しわのばし
  • (きぬた) ‐ 生乾きの状態の洗濯物を棒や槌で伸ばす道具。
  • 衣類スチーマー
  • アイロン、火熨斗(ひのし)、炭火アイロン ‐ 鍋やこて形で、中に炭火や燠を入れて、衣類を熱しながら、しわを伸ばす方法が取られた[8][5]

業者による洗濯

要約
視点

古いほうから順に、また西から東への順で書く。

古代ギリシア

古代ギリシアでは、フーラー英語版という洗濯業者が、発酵させた尿(アンモニア)やフーラーズ・アース英語版というケイ酸アルミナからなる粘土を使い洗濯をしていた[9]

インド

インドではドービー英語版という下層カーストが行っていた。ドービーが使う洗濯場はドービー・ガート英語版と呼ばれ、ムンバイのドービー・ガートなど各地に見ることができる。

中国

2000年前に中国で書かれた史記では、水中でわたを打つ漂(洗濯)を仕事とする人を漂母と呼んだ[10]。(なお、水でふやけたを漂母皮と呼んだ[11]

日本

日本で安土桃山時代に洗濯士という職人が現れ、江戸時代に入ると染物を行う紺屋から独立して洗い物を行う江戸では洗濁屋、京都では洗い物屋という専業の洗濯業者が現れた[12]

昭和25年から、クリーニング業法という洗濯を生業とする業種に関する法律がある。この法律では、クリーニング業の営業所の床素材などの構造設備や、伝染性の疾病の病原体による汚染のおそれのあるものとして厚生労働省令で指定する洗濯物(指定洗濯物)の取り扱いなどが決められている[13]

クリーニング所の業務に従事するクリーニング師は、衛生管理上の手続きが必要であるため、定期的に研修を受ける必要があり、また営業所は開設・工事着手前に保健所へ相談することが推奨される。また廃業する場合も保健所に手続きを行うこととなっている[14]

アメリカ

  • Chinese Hand Laundry Alliance英語版 - 北米で、立場の弱かった華僑の多くがランドリーを開業していたことから1933年にChinese Hand Laundry Allianceという協会が発足した。
    • Yick Wo最高裁判所判決英語版 ‐ 19世紀において木造でのランドリーの多く(320軒のうち、200軒以上)が華僑による経営であった。サンフランシスコでこれらを狙い撃ちにした「木造ランドリー屋を違法とする」条例が施行されたことに対して、最高裁判所でアメリカ国籍でなくとも憲法修正第14条平等保護条項英語版で保護されるとして条例の是正が言い渡された。

ギャラリー

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比喩

「洗濯」という表現は、たとえば以下のように、比喩的にも使われる。

脚注

関連項目

外部リンク

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