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色 (仏教)

仏教における色(しき) ウィキペディアから

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インド哲学における(しき、: रूप rūpa)とは、一般に言う物質的存在のこと。原義では色彩(カラー)よりも、容姿、色艶、美貌をさしている[1]

概要 仏教用語 色, ルーパ, パーリ語 ...

仏教においては、色は重要な枠組みとして3つの文脈で登場する[2]

  • 色蘊(rūpa-khandha) - 物質的存在として。世界すべての現象を分類することができる五蘊のひとつ。
  • 色処(rūpa-āyatana) - 目から入ってくる情報。世界を認知する十二処六境のひとつ。
  • 名色(nāma-rūpa)- 「名前と形」もしくは「心と肉体」。十二因縁のひとつ。
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色蘊

要約
視点
五蘊(パンチャッカンダ)[3]
 
 
色(ルーパ)
物質的存在
  四大(マハーブータ)
元素
 
 
 
 
 
 
触 (パッサ)
接触
 
 
 
     
 
識(ヴィンニャーナ)
認識作用
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
  心所(チェータシカ)
精神的要素
 
 
受(ヴェーダナー)
感受作用
 
 
 
想(サンニャー)
概念
 
 
 
行(サンカーラ)
志向作用
 
 
 
 

」の五蘊(ごうん)の一要素。物質的存在としての「色」は五蘊の一要素であり、いろ、形あるもの[4]。認識の対象となる物質的存在の総称[4]。一定の空間を占めて他の存在と相容れないが、絶えず変化し、やがて消滅するもの[4]

諸色無常

現世の色も、来世の色も、現世の色(rūpa-saññā)も、来世の色想も、これらの両者は無常である。

漢訳で「色」と訳されたサンスクリット語のルーパ(rūpa)は、「色彩」とともに「形」という意味も含んでいるため、「いろ」「かたち」で表現される物質的存在という意味が、すべて「色」という漢語の中に集約されている[5]。最初は我々の肉体だけを指していたが、「変化して壊れゆくもの」「他物と同一空間を共有できないもの」「現象として顕現しているもの」などの意味をもち、現代の「物質」に近い概念となった[6]

般若心経』においては、「色即是 空即是色(色はこれ即ち空である。空はこれ即ち色である)」等の箇所に用いられている。

四大種

Katamañca bhikkhave, rūpaṃ: Cattaro ca mahābhūtā catunnañca mahābhūtānaṃ upādāya rūpaṃ.

比丘たちよ、いかなるものが色か。四大種、および四大種所造のもの。比丘たちよ、これらが色である。

四大種(mahābhūtānaṃ)には、地界、水界、火界、風界の4つの大色がある[7]。四大種によって造られた、二次的派生の色のことを所造色依止色(upādāya rūpa)という[7][8][1][9][1]

四大種には内なるものと、外なるものがあり、大象跡喩経では内なる四大種を以下と述べている[1]

  • 地 - 内臓に固定されたもの。たとえば頭髪、体毛、爪、歯、皮膚、筋肉、腱、骨、骨髄など。[1].
  • 水 - 体内の液状のもの。たとえば胆汁・疾・血・汗・脂肪・膏・唾液・鼻汁など[1]
  • 火 - 体内で燃焼するもの。飲食によって消化されるもの。体温や老化や消化機能 [1]
  • 風 - 体内で気体であるもの。呼吸系など[1]

依止色には、アビダンマッタ・サンガハによれば以下の24種類がある[7]

  • 5つの浄色 - 目色・耳色・鼻色・舌色・身色
  • 7つの境色 - 色(姿形)、声、香、味、および地、火、風(=三大色)
  • 2つの性色 - 女性、男性
  • 1つの心色 - 心基
  • 1つの命色 - 命根
  • 1つの食色 - 段食
  • 1つの分断色 - 虚空界
  • 2つの表色 - 身表、語表
  • 5つの変化色 - 色軽快性、色柔軟性、色適業性、および身・語の二表
  • 4つの相色 - 色積集、色相続、色老性、色無常性
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色処

十二処の一要素としての「色」は、視覚(眼、眼識)の対象のこと。この のほか、声(聴覚)・香(嗅覚)・味(味覚)・触(触覚)・法(心によって考察される存在全般)を合わせて六境とし、それぞれを知覚する器官である眼・耳・鼻・舌・身・意の六根と合わせて十二処と呼ぶ。また、六根・六境の諸要素が複合的に作用し合って現象が成り立つ場としての眼識界・耳識界・鼻識界・舌識界・身識界・意識界の六識と合わせて十八界と呼ぶ[10]

五蘊・十二処・十八界のそれぞれは、世界の構成要素の軸としてのカテゴリー(範疇)の区分の方法である(五蘊、十二処、十八界を合わせて三科と呼ぶ)。五蘊の「色」は、十二処・十八界の「眼、耳、鼻、舌、身、色、声、香、味、触」に対応する[11]

般若心経』においては、「無色声香味触法(色・声・香・味・触・法は無である)」等の箇所に用いられている。

また、顕色(けんじき。「いろ」の意)と形色(ぎょうしき。「かたち」の意)の2種に分たれ、さらに以下の20種に分たれる[12][13]

さらに見る 顕色, 形色 ...
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色禅

四色禅 (ruppihana)とは、三界の内の色界禅定(ジャーナ)。

さらに見る 四禅, 初禅 ...

出典

参考文献

関連項目

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