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豊川稲荷札幌別院
日本の北海道札幌市清田区にある寺院 ウィキペディアから
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豊川稲荷札幌別院(とよかわいなりさっぽろべついん)は、本院が北海道札幌市清田区北野7条2丁目8-18、祖院が中央区南7条西4丁目1-1にある曹洞宗玉宝禅寺の別称である。
沿革
要約
視点
祖院は札幌市の歓楽街・薄野の中心部のやや南側に位置する。1871年に遊廓が設置されて以来、薄野は商業地・繁華街として発展したが、商売繁盛を司る稲荷神への信仰は早くから存在し、1880年代初頭には既に無住の稲荷堂が建てられたという[1]。その後1894年に地元の酒造業者・波多野与三郎によって、豊川稲荷の分霊を迎えようという計画が持ち上がり、現在の札幌市中央区南3条西4丁目に設立寺務所が設けられ、募金活動が開始された[1][2][3]。波多野が花柳界と繋がりが深かったこともあり、発起人には料亭・芝居小屋・遊郭・見番(芸妓の登録組織)などの関係者が数多く名を連ねた[1][2]。1年足らずの間に現在の金額で1億円近くの浄財(寄付金)が集まり、1895年から現在地で稲荷堂の建設が始められ、1898年5月に落成した[1][2]。
以後、豊川稲荷は「薄野の守護神」と呼ばれ、地域の人々の崇敬を集めることとなる[4]。玉垣や門柱には寄進者として、地元の有力者や興行主などの他、見番に属する芸妓などの名前も数多く刻まれており、花街との関わりは特に深いものがあった[2][5][6]。昭和初期までは、芸妓や遊女、小料理屋の女主人や仲居など、水商売に縁のある女性が、お百度を踏む光景が頻繁に見られたという[7]。また、毎年9月22日に催された例大祭は、かつては札幌神社祭・三吉神社祭とともに、札幌三大祭と呼ばれるほど盛大なものであった[2][8]。
1976年5月25日、札幌料飲業団体連合会会長・熊谷秀一らを中心とした「薄野花街哀悼碑建立期成会」によって、薄野の花柳界の無縁仏と見づ子(水子)を哀悼する「薄野娼妓並水子哀悼碑」が建立された[9]。境内を取り囲む玉垣は、地域の再開発などによって、昔よりも大幅に縮小されているが、災害などでの損壊を免れた本殿や門柱などとともに、遊郭時代の薄野を偲ばせる数少ない遺構となっている[10][11]。
清田区の本院は1984年、開創88年を記念して新寺として建立された[12]。上記の経緯もあり、本院・祖院では水子供養が行われており、毎月24日には水子供養合同法要、毎年5月24日は水子石碑建立記念法要が催されている[13]。
教育・文化事業
1925年には、境内に聾唖児の矯正施設「北海道吃音矯正学院」が設立された[14]。この施設は、聾唖児の指導に取り組んでいた市内の小学校教員・近藤兼市を代表とした、札幌では最初の本格的な聾唖教育機関であった[14]。当時の住職(代数では3代目)の牧野仰鍬は、近藤の父と知り合いであったことから、元はおこもり堂(ある期間こもって神仏に祈る参篭場所)であった建物を校舎として無償で提供した[14]。同施設は1927年、市内の盲児教育施設と合併して「私立札幌盲唖学校」となり[15]、1931年に市内南9条西1丁目に新築移転するまで当寺を校舎とした[16](私立札幌盲唖学校はその後1944年に疎開で河西郡御影村(現上川郡清水町)に移り[17]、1948年の道立移管後1950年に廃校となった[17])。
3代目住職・牧野仰鍬は、水墨画の愛好者でもあり、大正初期に北海道に移住した滝和亭門下の南画家・谷口香巌の支援者となった[18]。豊川稲荷の書院では、谷口の指導による茶道と水墨画の講習会「煎茶会」が月2回行われ、1930年からは市内の百貨店で「煎茶会」による展覧会が8回にわたって開かれた[18]。谷口の門下からは本間莞彩・川井霊祥・堀井聖峰・菅原無田らを輩出し、本間は後に道内在住者では初の日本美術院院友となった[19][20]。本間は1946年、川井・堀井・岩橋英遠・高木黄史らと「北海道日本画協会」を設立し[21]、附帯事業として画塾「北海道日本画研究所」を開設した[21]。「北海道日本画研究所」は豊川稲荷本堂に教室が置かれ、講師には「北海道日本画協会」のメンバーの他、郡司正勝(演劇学者)なども名を連ね、1949年まで存続した[21]。
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年間行事
- 本院
- 1月7日 - 新年大般若祈祷会並びに檀信徒新年会
- 春分の日 - 春彼岸法要並びに釈尊降誕会
- 8月16日 - 新亡・先亡施食会
- 秋分の日 - 秋彼岸法要並びに水子地蔵・十六羅漢会
- 毎日 - 午後1時から4時まで、水子供養受付
- 祖院
- 毎日 - 午後1時から4時まで、水子供養受付
- 毎月24日 - 午後1時より、水子合同供養法要と法話
- 5月24日 - 娼婦並びに水子哀悼碑建立記念法要
- 豊川稲荷札幌別院
- 毎日 - 午後1時から4時まで、諸事祈祷受付
- 1月1日~3日 - 元朝参り、3ヶ日参り
- 8月16日 - 新亡・先亡施食会
- 11月22日 - 正午~午後6時、稲荷大祭祈祷会
境内
- 本院
- 祖院
ギャラリー
- 薄野娼妓並水子哀悼碑
- 丸山定山 句碑
- 三岸好太郎 生誕地
交通
関連項目
脚注
参考文献
外部リンク
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