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首相官邸ネズミ捕獲長

ダウニング街10番地の飼い猫 ウィキペディアから

首相官邸ネズミ捕獲長
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首相官邸ネズミ捕獲長(しゅしょうかんていネズミほかくちょう、: Chief Mouser[1] to the Cabinet Office)は、ダウニング街10番地イギリス首相の官邸)の公式な飼い猫に与えられる肩書である。

概要 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国首相官邸ネズミ捕獲長 Chief Mouser to the Cabinet Office, 庁舎 ...
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オバマ米大統領と面会するラリー。中央奥がキャメロン英首相

昔からダウニング街ではネズミが多く住み着いていたため、その対策として猫をネズミ捕りペットとして「雇う」という習慣が1500年代の初期からあった。

1924年からは「首相官邸ネズミ捕獲長(Chief Mouser to the Cabinet Office)」として正式に「雇用」されている。

ダウニング街で最も長く務めた猫はウィルバーフォースであり、彼はエドワード・ヒースハロルド・ウィルソンジェームズ・キャラハンマーガレット・サッチャーの下で14年間働いた。

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身分

これらの猫は公務員とみなされるため[2]、官邸に住む首相の私物ではなく、ネズミ捕獲長の「任期」が首相のそれと一致することはまず無い。

この肩書きは非公式な習慣であったが、ハンフリーには公式にこの肩書が与えられた[3]。その他の猫は通常、イギリスのマスコミから愛称としてこの肩書きで呼ばれる。

生活費として年間100ポンドほどが給与として認められているほか、職員がおやつ代を自己負担している[4]

人間の公務員と同じように定期的な健康診断も受けている[4]

歴史

大蔵省ダウニング街に住みついた猫をネズミ捕り役およびペットとして「雇う」ことはヘンリー8世 (在位:1509年 - 1547年) の時代[5]ウルジー枢機卿大法官として執務中に自分の飼い猫を傍らに置いたことまで遡る[6]

1929年6月3日までの分に限った『2000年情報自由法英語版』の一環として2005年1月4日パブリックドメインになった公文書によると[7][8]、1929年当時、大蔵省のAE・バンハムは「有能な猫の生活費として雑費から1日あたり1ペニーを支出する」ことを事務員に認めている[9]

1932年4月、手当は週あたり1シリング6ペンスまで増えた。21世紀の時点で経費は年100ポンドである[10]

ラリーは、当時のデーヴィッド・キャメロン首相が、英国首相の官邸近くで目撃されたネズミの群れに対処するために雇い入れ、2011年2月15日に就任した[11][12]

その年の1月、ITNによるとテレビ・ニュースの中継中、首相官邸の玄関前を駆け抜けて行くネズミが目撃された[13]。当時ネズミ捕獲長は空席だったが、首相の報道官はこの問題解決のため猫を雇う計画は無いと述べた[14]。しかし翌日の新聞は、その報道官が官邸内の「ネコ賛成派」について述べたことを報じ、その結果、問題対処のため今の衛生業者から猫への鞍替えが本当にあるかもしれないという憶測が生まれた[14]イブニング・スタンダード英語版によると、この猫はデーヴィッド・キャメロンとその家族がバタシー・ドッグス・アンド・キャッツ・ホーム英語版で選んだものだった[15]。しかしラリーは翌年の2012年の6月を過ぎた頃から、職務に対し不熱心な様子が報道されるようになり[16]、9月になって遂に更迭されることになった[17][18]

後任の首相官邸ネズミ捕獲長として、財務大臣であるジョージ・オズボーンが飼っているフレイヤが就任することになった。フレイヤは外で暮らしていた経験があり、職務遂行能力の高さが期待されている[17][18]。なお、ラリーは捕獲長ではなくなったものの、ネズミ捕獲員としては留任となった[18][19]

2014年8月、フレイヤは官邸から離れた路上で交通事故に遭い、それまでも度重なる脱走が問題になっていたことから同年11月に引退、ロンドンを離れた。それにともないネズミ捕獲長の任はラリー単独で当たることとなった[20]

2016年イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票の結果を受けてキャメロンは首相を辞任したが、ラリーは新首相テリーザ・メイの就任後もネズミ捕獲長に留任することとなった[21]

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猫の一覧

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首相官邸以外の省庁

首相官邸以外の省庁としては、2016年4月に保護施設から引き取られ、「パーマストン」と名付けられたオス猫が、外務省にネズミ捕り長官として就任した[29]。2020年8月7日、パーマストンおよびサイモン・マクドナルド英語版外務事務次官の公式ツイッター上で、パーマストンが同年8月末に公務を引退する旨が発表された[30][31]

2017年11月に在ヨルダン英国大使館にネズミ捕獲長のポストが新設され、同ポストの直属の上司は本国外務省のネズミ捕獲長とされている[32]

2016年7月末には大蔵省が1歳半の黒猫グラッドストン」(名前は4度にわたり首相を務めたウィリアム・グラッドストンにちなむ)を採用した[33][34]

脚注

関連文献

関連項目

外部リンク

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