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C-47 (航空機)
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C-47 スカイトレイン(Douglas C-47 Skytrain )は、ダグラス・エアクラフト社が開発した輸送機である。愛称はスカイトレイン(Skytrain)。
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DC-3の軍用輸送機型であり、第二次世界大戦で傑出した働きをみせた。ノルマンディー上陸作戦などの大規模な空挺作戦において空挺部隊輸送の中核を担った他、物資輸送に多用され、アメリカ陸軍航空隊の他にもアメリカ海軍、イギリス空軍などが使用した。
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概要
DC-3は1936年にアメリカン航空に就役して以来、アメリカ合衆国を始めヨーロッパ、南アメリカなどの航空会社に就役していた。第二次世界大戦の勃発後、アメリカ陸軍は航空会社からDC-3を徴用して使用していたが、軍用として1940年9月16日にC-47を147機発注した。1号機は太平洋戦争開始直後の1941年12月23日に引き渡された。兵員輸送型のC-53 スカイトルーパー(Skytrooper)など、派生型も数多く存在し、各タイプの総生産機数は10,000機以上にのぼる。
C-47は、DC-3の乗降扉に代わって貨物扉を取り付け、床面も強化された。折り畳み式の座席を装備し、武装兵28名か、最大で2,722kgの物資を搭載できた。14床の寝台と看護兵3名を収容して患者輸送機として運用することも可能で、貨物輸送機としてジープ1台とM3 37mm砲1門を搭載することもできた。
アメリカ陸軍航空隊の他アメリカ海軍にもR4Dの名称で採用され、イギリス空軍に供与された機体はダコタ(Dakota)の名で運用された。その信頼性の高さから戦後も長く運用され、1960年代に入ってもまだ多数が現役にあった。また、余剰機の多くが敵国であった日本やドイツを含む海外の軍に供給された。ベトナム戦争ではC-47にGAU-2B/Aを搭載したAC-47がガンシップとしてベトコン掃討に従事した他、冷戦下で起きた多くの内戦や地域戦争にも従事した。欧米では1970年代頃に概ね姿を消したが、一部の途上国では現在でも運用され続けており、南アフリカ海軍では対潜哨戒機として本機を用いている[1]。
アメリカ軍欧州戦域総司令官を務めたドワイト・D・アイゼンハワーは、“第二次世界大戦を勝利に導いた兵器”として、「原子爆弾」「バズーカ(2.36インチ対戦車ロケット弾発射筒)」「ジープ(ウィリスMB/フォードGPW小型四輪駆動車)」、そしてこのC-47輸送機を挙げている[2][3]。
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派生型

- C-47
- 最初の量産型。
- C-47A
- 電気系統を強化。
- C-47B
- インド・中国間のヒマラヤ山脈越え輸送作戦「ハンプ超え」用に開発。スーパーチャージャーを搭載したR-1830-90Cエンジンを搭載。しかし、ある程度の成功しか収められず、多くがC-47Dに改修された。
- XC-47C
- 水陸両用のフロートを装備した試験機。
- C-47D
- スーパーチャージャーを取り外したC-47B。
- C-47E
- R-2000-4エンジンを搭載し航空路点検機に改修された機体。
- C-47L/M
- ベトナム戦争で特殊な電子機器を搭載したC-47H/J(後述)に付けられた名称。
- C-47T
- ターボプロップエンジンへの換装を行った機体。

- C-47TP ターボ・ダコタ(Turbo Dakota)
- 南アフリカ空軍において、プロフェッショナル・エヴィエーション社によるターボプロップ化が行われた機体の名称。
- AC-47D
- ガンシップ型。
→詳細は「ガンシップ § AC-47」を参照
- なお、ガンシップ型が登場する前は航空路点検機型の名称として使われていたが、こちらはEC-47Dに改称されている。
- EC-47N/P/Q
- ベトナム戦争において電子偵察用装備が取り付けられたC-47A/D。EC-47QはR-2000-4エンジンを搭載。
- RC-47A/D
- 写真/電子偵察機型。
- SC-47A/D
- 救難機型。後にHC-47A/Dに改称。
- TC-47B/D
- 航法練習機型。
- VC-47A/B/D
- VIP輸送機型。

- C-53 スカイトルーパー
- 兵員輸送に特化したC-47。座席が固定式になり、貨物輸送用の装備が省かれている。
- XC-53A スカイトルーパー
- 全翼幅のスロッテッドフラップと熱風による除氷装置を備えた試験機。
- C-53B スカイトルーパー
- 北極での活動用に改修されたC-53。
- C-53D スカイトルーパー
- 座席をC-47と同様にしたC-53。
- C-117A
- C-47Bの幕僚輸送機型。DC-3と同様の座席とキャビンを装備。
- C-117B
- スーパーチャージャーを取り外したC-117A。
- C-117C
- VC-47をC-117B仕様に改修した機体。後にVC-117A/Bに改称。

- XCG-17
- エンジンを取り外し兵員輸送グライダーとした機体。驚異的な滑空性能を見せたものの、1944年に試験が完了した時点でアメリカ陸軍がグライダーの必要性は限られていると判断したため量産されなかった。
- R4D-1
- アメリカ海軍/海兵隊向けのC-47。
- R4D-3
- アメリカ海軍に移管されたC-53。
- R4D-5
- アメリカ海軍に移管されたC-47A。後にC-47Hに改称。
- R4D-6
- アメリカ海軍に移管されたC-47B。後にC-47Jに改称。
- R4D-7
- アメリカ海軍に移管されたTC-47B。後にTC-47Kに改称。

- R4D-8
- 再生したR4D-5/6をDC-3S(別名スーパーDC-3)相当に改修した機体。後にC-117Dに改称。
- R4D-5L/6L
- R4D-5/6の南極観測支援機型。後にLC-47H/Jに改称。
- R4D-5Q/6Q
- R4D-5/6の電子戦訓練型。後にEC-47H/Jに改称。
- R4D-5R/6R
- R4D-5/6の人員輸送型。後にTC-47H/Jに改称。
- R4D-5S/6S
- R4D-5/6のASW訓練型。後にSC-47H/Jに改称。
- R4D-5Z/6Z
- R4D-5/6のVIP輸送機型。後にVC-47H/Jに改称。
- R4D-8L
- R4D-8の南極観測支援機型。後にLC-117Dに改称。
- R4D-8T
- R4D-8の練習機型。後にTC-117Dに改称。
- R4D-8Z
- R4D-8の幕僚輸送機型。後にVC-117Dに改称。

- ダコタ Mk.I
- イギリス向けのC-47。
- ダコタ Mk.II
- イギリス向けのC-53。
- ダコタ Mk.III
- イギリス向けのC-47A。
- ダコタ Mk.IV
- イギリス向けのC-47B。
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採用国
要約
視点
日本での生産・運用

日本では、戦前に日本海軍が三井物産にDC-3のライセンスを取得させた上で、実際の生産は1937年(昭和12年)に設立された昭和飛行機工業によって行われた。エンジンは三菱の「金星」に変更され、日本海軍から零式輸送機(L2D2)として、1940年(昭和15年)に制式採用された。また零式輸送機は、エンジン換装によりカタログデータ上ではC-47を一部上回っていた。この零式輸送機について「DC-3(C-47)のデッドコピー」という説も流布しているが、実際には上記の通り正式なライセンス生産に出自を発している。大東亜戦争中期からは中島飛行機も一時生産を行った。昭和飛行機と中島飛行機によって、1945年(昭和20年)までに合計486機が製造された。
戦後は、海上自衛隊が1958年11月から12月にかけて旧アメリカ海軍のR4D-6を3機(内1機は厳密に言えばR4D-7だったのだが、R4D-6と事実上違いがないためR4D-6と呼んでいた)、R4D-6Qを1機供与され(愛称はいずれも「まなづる」)、1971年にYS-11に代替されるまで海上自衛隊唯一の輸送機として運用した。しかし当然ながら機数不足であったため、P2V-7やUF-2なども人員輸送や連絡飛行に使用しなければならなかった。
退役後R4D-6Qは展示機となったが、R4D-6の内2機はアメリカに買い取られた後フィリピンに売却された[5]。
諸元


出典: Francillon, René J. McDonnell Douglas Aircraft Since 1920. London: Putnam & Company Ltd., 1979. ISBN 0-370-00050-1.
諸元
- 乗員: 3名
- 定員: 兵員28名
- ペイロード: 2,700 kg (6,000 lb)
- 全長: 19.43 m (63 ft 9 in)
- 全高: 5.18 m (17 ft 0 in)
- 翼幅: 29.11 m (95 ft 6 in)
- 翼面積: 91.7 m2 (987 sq ft)
- 空虚重量: 8,226 kg (18,135 lb)
- 運用時重量: 11,793 kg (25,999 lb)
- 最大離陸重量: 14,061 kg (30,999 lb)
- 動力: プラット・アンド・ホイットニー R-1830 レシプロエンジン、895kW (1,200hp) × 2
性能
- 最大速度: 365 km/h (197 kn) (高度2,700m時)
- 巡航速度: 274 km/h (148 kn)
- フェリー飛行時航続距離: 5,795 km (3,129 nmi)
- 航続距離: 2,575 km (1,390 nmi)
- 実用上昇限度: 8,045 m (26,394 ft)
- 上昇率: 318m/min
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現存する機体
- 汎用性の高い機種であったため、数多くの機体が現存する。以下の表は博物館公式サイトなどがあるものを主にまとめたものであり、全現存機を掲載しているわけではない。
- 「/」のある製造番号は、製造途中ないし改修において製造番号が更新されたものを表す。左が当初のもので、右が新しく与えられたものである。
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登場作品
映画
- 『アウトブレイク』
- アバンタイトルに登場。原因不明の感染症に汚染されたザイールの傭兵キャンプに、燃料気化爆弾を投下する。
- 『遠すぎた橋』
- マーケット作戦用に大量動員され、アメリカ軍、イギリス軍そして自由ポーランド軍の空挺部隊が本機から次々と空挺降下する。
- 『ザ・ナイト・マイ・ナンバー・ケイム・アップ』
- ハーディ中将が東京へ向かう機体としてダコタが登場。日本沿岸の海岸に墜落する。機内や飛行中のシーンには、実機が使われている。
- 『飛べ!ダコタ』
- 『ザ・ナイト・マイ・ナンバー・ケイム・アップ』と同じ事件を描いた日本映画。日本に墜落したイギリス空軍のダコタが登場する。撮影にはタイ王国空軍が2006年に廃棄したAC-47(c/n14317/25762)を使用している。
漫画
- 『放課後アサルト×ガールズ』
- イズナ軍輸送機として登場。空挺部隊輸送の他に、ウェイコCG-4Aグライダーの曳航機としても使われている。
ゲーム
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出典
関連項目
Wikiwand - on
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