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CPUID
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CPUIDは、x86の機械語命令の一つ(およびそのアセンブリ・ニーモニック)である。CPUの識別 (IDentification) の意。486の後期のステッピングで導入され、Pentiumで完全に公開された。
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CPUIDを使用することで、ソフトウェアはプロセッサの形式と機能(例えば、MMXやSSEなどの拡張のサポートの有無)を識別することができる。機械語オペコードは0FA2hであり、オペランドとしてEAXレジスタの値でどのような情報を取得するかを指定する。
CPUID命令の使用可否
CPUID命令は一部の80486およびそれ以降のプロセッサで利用できるため、場合によってはCPUID命令が存在するプロセッサであるか否かを事前に判別する必要が生じる。80486以前のプロセッサを識別する必要がある場合には、それぞれの振舞の微妙な違いを利用する難解なテクニックを駆使する必要があった(たとえばPUSH SP
の結果として、PUSH
による変化前と変化後の、どちらの値がプッシュされるか、等)。
80486以上のプロセッサであることが確認できた場合、CPUID命令の存在を確認するためのフラグとして32ビットフラグレジスタ (EFLAGS) の第21ビットが新たに設けられているため、このビットが「変更可能」であればCPUID命令が使用可能であると判断できる。なおEFLAGSは80386以上のプロセッサであればアクセスできるため、80286以下のプロセッサを判別・除外しておく必要はあるものの、CPUID命令の有無だけを調べたいのであれば実質的に80386以上であることが確認できればこのフラグを調べることができる。
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CPUID命令の呼び出し
要約
視点
CPUID命令は、EAXレジスタが暗黙のオペランドであり、それ以外の(明示的な)オペランドは無い。どのような情報を返すべきかを指定する値をEAXレジスタに設定し、CPUID命令を実行する。まずEAX = 0
でCPUIDを呼び出し、CPUでサポートされている最大のパラメータを取得するべきである。CPUIDの拡張機能情報を取得する場合は、EAXのビット31をセットしてCPUIDを呼び出す。拡張機能情報でサポートされている最大の機能番号を得るためには、EAX = 8000000h
でCPUIDを呼び出す。
EAX=0: ベンダIDの取得
これは、CPUベンダのID文字列を返す。12文字のASCII文字列がEBX, EDX, ECXの順序で格納される。基本機能の最大機能番号がEAXに格納される。
既知のCPUベンダのID文字列は以下のとおり:
- "AMDisbetter!" - AMD K5の初期のエンジニアリングサンプル
- "AuthenticAMD" - AMD
- "CentaurHauls" - セントールテクノロジー
- "CyrixInstead" - サイリックス
- "GenuineIntel" - インテル
- "GenuineTMx86", "TransmetaCPU" - トランスメタ
- "Geode by NSC" - ナショナル セミコンダクター
- "NexGenDriven" - NexGen
- "RiseRiseRise" - Rise Technology
- "SiS SiS SiS " - SiS
- "UMC UMC UMC " - UMC
- "VIA VIA VIA " - VIA Technologies
例えば、ベンダIDが"GenuineIntel"の場合、EBXが0x756e6547、EDXが0x49656e69、ECXが0x6c65746eとなる。
.section .data
s0: .string "Largest Standard Function Number Supported: %i\n"
s1: .string "Vendor ID: %s\n"
.text
.global main
.type main, @function
main:
pushq %rbp
movq %rsp, %rbp
subl %eax, %eax
cpuid
subq $8, %rsp
movl %ebx, (%rsp)
movl %edx, 4(%rsp)
movl %ecx, 8(%rsp)
movl $s0, %edi
movl %eax, %esi
subl %eax, %eax
call printf
movq $s1, %rdi
movq %rsp, %rsi
subl %eax, %eax
call printf
subl %eax, %eax
movq %rbp, %rsp
popq %rbp
ret
EAX=1: プロセッサ情報とプロセッサの機能
これはCPUのステッピング、モデル、ファミリーをEAXに返す(これはCPUの「シグネチャ」とも呼ばれる)。また、機能フラグをEDXとECXに、追加の機能情報をEBXに返す。
EAXに格納される情報のフォーマットは以下のとおり:
- 3:0 - ステッピング
- 7:4 - モデル
- 11:8 - ファミリー
- 13:12 - プロセッサタイプ
- 19:16 - 拡張モデル
- 27:20 - 拡張ファミリー
インテルとAMDは、CPUのファミリーを上記の「ファミリー」と「拡張ファミリー」の合計で表示し、モデルを上記の「モデル」と4ビット左シフトした「拡張モデル」の合計で表示するように提案した。
プロセッサ情報と機能フラグはメーカ個別のものであるが、通常は互換性のためにインテルの値を他のメーカも使用している。
また、80386以上のプロセッサではリセット直後のDXレジスタにはこれらの情報(拡張ファミリ・拡張ステッピングは除く)に相当する値が格納されているため、ハード構成によっては80286がプロテクトモードからリアルモードに戻るためのリセット機構(通例、80386以降のシステムでも互換性のために残されている)を利用することで、386/486系プロセッサでもファミリ・モデル・ステッピングなどに相当する情報を得られる場合がある。詳細はIntel 80286およびIntel 80386を参照。
EAX=2: キャッシュとTLBディスクリプタ情報
これは、キャッシュとTLBの機能を示すディスクリプタのリストをEAX, EBX, ECX, EDXレジスタに格納する。
EAX=3: プロセッサ・シリアル・ナンバ
これは、プロセッサのシリアル番号を返す。プロセッサ・シリアル・ナンバは、インテルがPentium IIIで導入したが、プライバシーの懸念のためにこの後のモデルでは実装されていない(PSN機能ビットは常にクリアされている)。トランスメタのEfficeonとCrusoeプロセッサはこの機能を提供している。AMDは、この機能をどのCPUにも実装しなかった。
インテルPentium IIIでは、シリアル番号はEDX:ECXレジスタに格納される。トランスメタのEfficeonではEBX:EAXレジスタに、CrusoeではEBXレジスタだけに格納される。
プロセッサ・シリアル・ナンバ機能を使用するためには、BIOSの設定を有効にする必要があることに注意すべきである。
EAX=80000000h: サポートする最大拡張機能番号の取得
最大の拡張機能番号をEAXに格納する。
EAX=80000001h: 拡張プロセッサ情報とプロセッサの機能
AMD社のCPUの拡張機能フラグをEDXとECXに格納する[9][10]。 EDXのビット 0 から 9, 12 から 17, 23と 24は、AMDのCPUではEAX=1の場合のCPUIDの結果と重複し、IntelのCPUでは未使用である。IntelのCPUでもsyscall, nx, pdpe1gb, rdtscp, lm, lahf_lm, abm/lzcnt, 3dnowprefetchに対応しているものもある。
- On some older processors, executing
CPUID
with a leaf index (EAX) greater than 0 may leave EBX and ECX unmodified, keeping their old values. For this reason, it is recommended to zero out EBX and ECX before executingCPUID
with a leaf index of 1.
Processors noted to exhibit this behavior include Cyrix MII[1] and IDT WinChip 2.[2] - On Pentium Pro (
GenuineIntel
Family 6 Model 1) processors only, EDX bit 11 is invalid - the bit it set, but theSYSENTER
andSYSEXIT
instructions are not supported on the Pentium Pro.[4] FCMOV
andFCOMI
instructions only available if onboard x87 FPU also present (indicated by EDX bit 0).- ECX bit 16 is listed as "Reserved" in public Intel and AMD documentation and is not set in any known processor. However, some versions of the Windows Vista kernel are reported to be checking this bit[5] - if it is set, Vista will recognize it as a "processor channels" feature.
- On non-Itanium x86 processors, support for the No-execute bit is indicated in CPUID.(EAX=8000_0001):EDX[bit 20] instead.
- EDXのビット 0 から 9, 12 から 17, 23と 24は、AMDのCPUではEAX=1の場合のCPUIDの結果と重複、IntelのCPUでは未使用。
- インテル社のCPUではCPUIDのsyscallビットはCPUが64ビットモードで動作しているときのみセットされる。
EAX=80000002h,80000003h,80000004h: プロセッサブランド文字列
プロセッサブランド文字列をEAX, EBX, ECX, EDXに格納する。全体で48バイトのNULL終端ASCII文字列のプロセッサブランド文字列を得るために、各パラメータを順番に設定しCPUIDを呼び出す必要がある。
EAX=80000005h: 予約
この機能は使用されていない。
EAX=80000006h: 拡張L2キャッシュ情報
ECXにL2キャッシュの詳細情報を格納する。2種類の方法で表したキャッシュサイズと、キャッシュとメモリの対応を示すコードを含む。
EAX=80000007h: 予約
この機能は使用されていない。
EAX=80000008h: 仮想アドレスと物理アドレスのサイズ
最大の仮想アドレスサイズと物理アドレスサイズをEAXに格納する。
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関連項目
- Pentium III: プライバシーに関する論争
- CPU-Z: 各種のシステム情報を取得するためにCPUIDを使用するWindowsユーティリティ
脚注
注釈
外部リンク
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