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LKB1

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LKB1
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LKB1(liver kinase B1)またはSTK11(serine/threonine kinase 11)、renal carcinoma antigen NY-REN-19は、ヒトではSTK11遺伝子にコードされるプロテインキナーゼである[5]

概要 STK11, PDBに登録されている構造 ...
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発現

マウス3T3-L1細胞やヒトSGBS細胞をテストステロンジヒドロテストステロンで24時間処理すると、アンドロゲン受容体を介してLKB1のmRNAの発現が大きく低下し、その結果AMPKリン酸化による活性化が低下する。対照的に、17β-エストラジオール処理はLKB1のmRNAを増加させる。この効果はエストロゲン受容体α(ERα)によって媒介される[6]

一方、ER陽性乳がん細胞株MCF-7では、エストラジオールはLKB1転写産物とタンパク質発現の用量依存的な低下を引き起こし、LKB1の標的であるAMPKのリン酸化を大きく低下させる。ERαはSTK11のプロモーター領域にリガンド非依存的に結合し、この相互作用はエストラジオール存在下で低下する。さらに、STK11のプロモーター活性はエストラジオールの存在下で大きく低下する[7]

機能

STK11遺伝子はセリン/スレオニンキナーゼファミリーのメンバーをコードする。細胞の極性を調節し、がん抑制遺伝子として機能する。

LKB1活性の喪失は、高度にアグレッシブなHER2+乳がんと関係している[8]乳腺Lkb1の発現を喪失するよう遺伝子改変されたHER2/neuマウスは、腫瘍形成の潜伏期間が減少する。これらのマウスは、非常に代謝が高く、mTORが過剰に活性化された乳腺腫瘍を形成する。AZD8055(mTORC1mTORC2の阻害剤)と2-DGを用いてmTORと代謝を同時に標的とした臨床前研究では、乳腺腫瘍の形成が阻害されている[9]。乳腺腫瘍を持たない対照群のマウスでは、ミトコンドリアの機能はAZD8055/2-DG処理の影響を受けない。

ポイツ・ジェガーズ症候群でみられる、触媒活性を失ったLKB1変異体は、プロモーター領域の応答エレメントへのリクルートによってサイクリンD1の発現を活性化する。触媒活性を失ったLKB1変異体は発がん因子としての性質を持つ[10]

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臨床的意義

この遺伝子の生殖細胞系列変異は、消化管でのポリープの成長、皮膚や口の色素斑、その他の新生物英語版によって特徴づけられる常染色体優性遺伝疾患である、ポイツ・ジェガーズ症候群と関係している[11][12][13]。また、散発性の肺がん、主に腺癌でも変異がみられる[14]。さらに、子宮頸がん乳がん、腸がん、精巣がん膵がん皮膚がんでもこの遺伝子の体細胞変異は多数発見されている[8][15][16]

活性化

LKB1は、偽キナーゼ英語版STRAD英語版アダプタータンパク質MO25英語版の結合によって、アロステリックに活性化される。LKB1-STRAD-MO25ヘテロ三量体複合体は生物学的活性単位として、AMPKや、AMPK関連キナーゼファミリーの少なくとも12種類の他のキナーゼをリン酸化して活性化する。STRADαのいくつかのスプライスアイソフォームはLKB1の活性、複合体の組み立て、LKB1の細胞内局在、そしてLKB1依存的なAMPK経路の活性化に異なる影響を与える[17]

構造

LKB1-STRAD-MO25複合体の結晶構造はX線結晶構造解析によって明らかにされており[18]、LKB1がアロステリックに活性化される機構が解明されている。LKB1は他のプロテインキナーゼでも見られる典型的な構造をしており、リガンドであるATPを結合するポケットの両側に2つのローブが位置している。STRADとMO25は協働してLKBの活性型コンフォメーションを促進する。LKB1のキナーゼ活性に重要なエレメントである活性化ループはMO25によって適切な位置に保持されており、STRADとMO25の存在下でLKB1の活性が大きく増大することが説明される。

相互作用

LKB1は次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

出典

関連文献

外部リンク

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