トップQs
タイムライン
チャット
視点

渋谷ホームレス殺人事件

2020年に東京都渋谷区で発生した殺人事件 ウィキペディアから

Remove ads

渋谷ホームレス殺人事件(しぶやホームレスさつじんじけん)は、2020年11月16日東京都渋谷区幡ヶ谷ホームレスの女性が殺害された事件[1]。加害者の自殺により公訴棄却となった。

概要 渋谷ホームレス殺人事件, 場所 ...

被害者

被害者の女性Aは、死亡当時64歳[2]広島県出身で、地元の短期大学に通っていたころは演劇に打ち込んでいた[3]。東京でコンピューター関連の仕事に就いた後、2020年2月ごろまで首都圏のスーパーで試食販売の仕事に従事していた[2][3]

事件の3年ほど前に家賃滞納で杉並区のアパートを退去して以来、路上生活を行っていた[2]生活保護は受けていなかった[2]。亡くなった時の所持金は8円だった。

推移

2020年11月16日早朝4時ごろ、幡ヶ谷原町バス停のベンチに女性Aが座っていたところ、男Bが石などの入ったポリ袋で女性Aを殴り死亡させた[2][4]。死因は外傷性クモ膜下出血。男Bはのちの調べに「彼女が邪魔だった」「痛い思いをさせれば、いなくなると思った」と供述している[1]

2020年11月21日、男Bは母親に連れられて最寄りの交番に出頭し、傷害致死容疑で逮捕された(当時46歳)。母親は警視庁代々木警察署に電話し、「あの事件は息子が起こしました。息子は『あんな大事になるとは思わなかった。お母さんごめんなさい』と言っています」と伝えた[1]

2022年4月8日、男Bが自宅近くで飛び降り自殺する。2022年3月ごろに保釈された直後のことだった[5]。2022年5月17日に予定されていた公判は自殺を受け中止となった[3]

事件の背景と世相

 この事件が起こった同じ月の2020年11月11日にWebメディア「cakes(ケイクス)」にて、「ホームレスを3年間取材し続けたら、意外な一面にびっくりした」という記事が公開された。この記事はTwitter(現在のX)などのSNS上で「cakesクリエイターコンテスト2020」の優秀賞を受賞した作品として拡散されたが、ホームレス支援などを行っている関係者などから批判を受けた。批判の多くはホームレスを動物のように観察して楽しんでいるエンタメコンテンツになっているというような趣旨であった[6]

 この批判はさらに反対側に批判を引き起こし、主に人権擁護やポリティカル・コレクトネスを嘲笑して批判する言論ビジネスを行う側から「ホームレスを笑って何が悪いのか」「ホームレスを語れないタブーにするな」「コンテンツにできないものがあってはならない」などという議論がSNS上で巻き起こった[7]

 当時のネットインフルエンサーであった池澤あやかは「うーん、ホームレスは、ならざるをえない人の苦しみがあり、社会問題である一方で、彼らが生み出した素晴らしいDIYや生活の知恵はたくさんある。苦しみや社会問題にフォーカスするだけではなくて、こうした面に光があたるような取材もあって良いと思うけどな…。」という発言をSNS上でし批判を受けたことに対して、自身が出演する番組ABEMA Primeで「炎上するほどかと思うし、上から目線だという意見についても、どこがそれに当たるのかは分からなかった」「タブーにしたら何も言えなくなっちゃう」と笑顔で述べ、一連のホームレスをめぐるコンテンツ化を擁護した[8]。  こうしたホームレスをめぐるインターネット上のコンテンツ化を許容する言動と、それを批判する人権擁護とポリティカル・コレクトネス、さらにはさらにそれを批判し嘲笑する反ポリティカル・コレクトネスの言動がネット上で過熱して主流となる中で、まさにABEMA Primeがホームレス特集を放送したその深夜にこの事件は起こった。

 このホームレスをコンテンツにしてよいとして冷笑する表現の自由原理主義者と、弱者をコンテンツビジネスから守ろうとするポリティカルコレクトネスの対立の流れは決着がつくこともなく、当事件の加害者も被害者も亡くなってしまったこともあり事実解明も調査も進まず、2023年1月の「視聴率稼ぎのためのホームレスいじめ動画制作問題」へと進んでいく事となった[9]

関連映画

夜明けまでバス停で』(高橋伴明監督、2022年)[10]

脚注

関連項目

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads