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ジョン・デュ・プレ(英: John Du Prez、本名:Trevor Jones、1946年12月14日 - )は、イングランド・シェフィールド出身の音楽家、トランペッター、指揮者、作曲家。1980年代にマルチ・ヒットを飛ばしたサルサ・ポップバンド『モダン・ロマンス』の元メンバーである。
以来『オックスフォード・ブルース』(1984年)、『ワンス・ビトゥン 恋のチューチューバンパイア』(1985年)[1][2]、"Carry On" シリーズの最終作 "Carry On Columbus"(1992年) などの音楽を担当している。2006年の映画『ライアンを探せ!』のサウンドトラックにも参加している[注 1]。
映画第3作『ライフ・オブ・ブライアン』以来モンティ・パイソン作品との関わりが多く、数々のパイソンズ作品で音楽や指揮を務めている(→#キャリア)。
デュ・プレは元々イングランド・シェフィールドの出身である。ARCM[注 2]でオックスフォード大学のMaster of Arts・音楽学士号(英: MA (Oxon), B.Mus., ARCM)を取得した[4]。その後オックスフォードのクライスト・チャーチで、トレヴェリアン研究者として活動した[4]。1976年にはロンドン大学の音楽部(英: Music department)に職員として勤務し、その後フルタイムの作曲家となった[4]。以来エリック・アイドルと30年以上にわたる共同制作を行っている[4]。
デュ・プレは、モンティ・パイソン関連作品の音楽を数多く手掛けている。1979年に公開されたパイソンズの映画第3作『ライフ・オブ・ブライアン』(テリー・ジョーンズ監督)や、テリー・ギリアム監督[注 3]・ショーン・コネリー主演の『バンデットQ』(1981年)ではアレンジャーを務めた。パイソンズ映画第4作『人生狂騒曲』や[5]、ジョン・クリーズ、マイケル・ペイリンの出演した映画『ワンダとダイヤと優しい奴ら』[6][7]では音楽を手掛けている。またメンバーの中でもエリック・アイドルとの共同制作が多く、ミュージカル『スパマロット』を制作して2005年のトニー賞を受賞したほか、『モンティ・パイソン ノット・ザ・メシア』[8]、『モンティ・パイソン 復活ライブ!』[9]では音楽・指揮を務めている。
英国のテレビシリーズ『キャプテン・スター』では音楽とイントロ・テーマを手掛けた。1986年には、マドンナやショーン・ペンの出演した映画『上海サプライズ』のサウンドトラックで、"The Hottest Gong In Town" と "Zig-Zag" の2曲を編曲した[10]。この曲はどちらも映画の制作総指揮だったジョージ・ハリスンが歌っている。
ジョン・デュ・プレというペンネームは、西アフリカの映画音楽家トレヴァー・ジョーンズと混同されないよう付けたものである[11]。彼は1980年代のポップ・グループ『モダン・ロマンス』で、トランペットとホルンを担当していたことでも知られている。グループは1981年から1983年にかけてトップ40ヒットをいくつも飛ばしたほか、BBCの番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』などのテレビ番組にもいくつもゲスト出演していた。
現在では映画音楽を数多く手掛けていることでも知られている。ロブ・ロウの『オックスフォード・ブルース』(1984年)、コメディ映画『最強最後の晩餐』(1984年)、ジム・キャリーのホラー・コメディ『ワンス・ビトゥン 恋のチューチューバンパイア』(1985年)[1]、『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』3部作などの音楽を担当した。1990年に公開された第1作『ミュータント・タートルズ』では、彼の作った組曲 "Shredder's Suite" がサウンドトラックに収録されている[12]。2006年の映画『ライアンを探せ!』には、エリック・アイドルと共作で曲を提供している[3]。
デュ・プレは1980年代初めにモダン・ロマンスへ参加し、彼の在籍した期間はグループの最も成功した時代となった。デビューアルバム『ロマンティックな冒険者 (Adventures in Clubland)』[注 4](1981年)、『トリック・オブ・ザ・ライト』[注 5](1983年)、『パーティ・トゥナイト』[注 6](1983年)などに参加している。モダン・ロマンスによるカバー版 "Cherry Pink (and Apple Blossom White)" ではトランペット・ソロを担当し、この曲は1982年の英国ヒットチャートでトップ20に入った。この作品のB面はデュ・プレに献辞された、ほぼインストゥルメンタルの曲 "Who Is John Du Prez?"(意味:ジョン・デュ・プレって誰?)である。モダン・ロマンスは、その後も解散まで7つのトップ40ヒットを飛ばした。その中には、英国ヒットチャート4位を記録し、後に映画『シュレック』でも使われた曲 "Best Years of Our Lives" も含まれている。
1980年代初めには、グループは英国、ヨーロッパ、極東、ベネズエラツアーを行い、同じ時期にはいくつかのゴールドディスク認定も受けている。アルバム『ロマンティックな冒険者』は南アメリカでナンバーワンとなりゴールドディスク認定を受けた。また英国では "Everybody Salsa"(12位)、『今夜はアイ・ヤイ・ヤイ!』(10位)、"Queen of the Rapping Scene / Nothing Ever Goes the Way You Plan"(37位)と3つのヒットを出している。またシングル『サルサに夢中』は全米ダンスチャートで2位を記録した。1983年には、リード・ヴォーカリストがジェフ・ディーン(英: Geoff Deane)の脱退でマイケル・J・マリンズへ変わり、グループは大きな分岐点を迎えることになる。"Best Years of Our Lives"は4位、"High Life (song)" は8位、"Don't Stop That Crazy Rhythm" は14位、"Walking in the Rain" は7位、"Good Friday" は96位を記録するなど、出したシングルが軒並みヒットした。この年の英国アルバムチャートでも、スタジオアルバム『トリック・オブ・ザ・ライト』が53位、クリスマス・コンピレーション・アルバム『パーティ・トゥナイト』が45位を記録している。デュ・プレのトランペット・ホルンは、パーティソングの "Best Years of Our Lives" や "High Life" から、サルサチューンの "Everybody Salsa" 『今夜はアイ・ヤイ・ヤイ!』など、ほぼ全ての曲で特徴的に用いられた。またブルース調の悲しいバラード "Walking in the Rain" でも効果的に用いられ、この曲は英国のトップ10チャートに入ったほか、タイでは第1位を記録した。デュ・プレは、1983年のカバー版 "Band of Gold" でも演奏している。デュ・プレは1985年のグループ解散前にモダン・ロマンスを去っているが、グループのお別れシングル "Best Mix of Our Lives"(1985年、チャート81位)でも彼のトランペットを聞くことができる[13][14][15]。
デュ・プレは他のメンバーと共に、アルバム『トリック・オブ・ザ・ライト』のカバーに写っているが、このアルバムはドイツの出版社・タッシェンの出版した "1000 Record Covers" 中で取り上げられている[16]。この本は、1960年代から1990年代にかけての様々なジャンルの音楽から、ビニル盤の優れたカバーアートを集めたものである。録音や楽曲制作の面では、モダン・ロマンスの音楽の大半はトニー・ヴィスコンティのプロデュースを受けていた。モダン・ロマンスは、ワーナー・ミュージック・グループ、ロンコとレーベル契約を結んでいる[17]。デュ・プレはモダン・ロマンスのメンバーとして、ヒットシングル "High Life" を Russell Harty Television Show[注 7](1983年)で演奏しているが、この際クレオ・ロコスがバック・ヴォーカルを務めた[14]。
2006年には、ワーナーから発売されたCD "Modern Romance: The Platinum Collection" にデュ・プレの演奏が収録された[18][19]。これはモダン・ロマンスの楽曲を集めたコンピレーション・ベスト・アルバムである。
エリック・アイドルとの長年の交遊から、デュ・プレは、モダン・ロマンス脱退前にモンティ・パイソンの映画第4作『人生狂騒曲』(1983年)へ作曲家として参加している[5]。また、モンティ・パイソンの別のメンバー、マイケル・ペイリンとは、翌年の映画『最強最後の晩餐』(1984年)でタッグを組み、デュ・プレは音楽と指揮を担当している[20]。さらに、1988年には、ジョン・クリーズが脚本・主演を務め、ペイリンも出演した映画『ワンダとダイヤと優しい奴ら』でも音楽を担当している[6]。
また、ロブ・ロウの活動初期の作品『オックスフォード・ブルース』(1984年)[注 8][21]、ジム・キャリー主演の『ワンス・ビトゥン 恋のチューチューバンパイア』(1985年)などの音楽を担当した。
ミュータント・タートルズ映画三部作で、デュ・プレは音楽を担当した[22][23][24]。彼の曲 "(That's Your) Consciousness" は、第2作のサウンドトラックに収録されている[25]。
2004年の映画 "Fascination" (en) では、モダン・ロマンスのメンバー、デイヴィッド・ジェイムズ(英: David Jaymes)と再び共同制作をしている。ジェイムズはこの作品のミュージック・スーパーバイザーを務めた[26][27][28]。
年 | 作品名 | 区分、備考 |
---|---|---|
1982 | The Pantomime Dame | ドキュメンタリー |
1983 | 人生狂騒曲 Monty Python's The Meaning of Life (en) |
|
クリムゾン 老人は荒野を目指す The Crimson Permanent Assurance |
短編映画[注 9] | |
冒険・冒険・大冒険 ホラ吹きキャプテンの大冒険[29] Bullshot |
||
1984 | オックスフォード・ブルース Oxford Blues |
|
最強最後の晩餐 A Private Function |
||
1985 | She'll Be Wearing Pink Pyjamas (en) | |
ワンス・ビトゥン 恋のチューチューバンパイア Once Bitten |
||
1986 | Love with the Perfect Stranger | テレビ映画 |
1987 | Personal Services (en) | |
Sunday Premiere | テレビシリーズ、エピソード "Claws" の音楽を担当 | |
1988 | Number 27 | マイケル・ペイリン脚本の映画[30] |
ワンダとダイヤと優しい奴ら A Fish Called Wanda |
||
1989 | 浮気なシナリオ A Chorus of Disapproval |
同名の戯曲の映画化 |
パロディ放送局UHF UHF |
||
1990 | ミュータント・タートルズ Teenage Mutant Ninja Turtles (en) |
|
1988-1990 | Screen Two | テレビシリーズ、3話 |
1990 | ダブルチェイス/俺たちは007じゃない Bullseye![31] |
|
1991 | ミュータント・ニンジャ・タートルズ2 Teenage Mutant Ninja Turtles II: The Secret of the Ooze (en) |
|
ミステリー・デイト Mystery Date |
||
Thacker | ||
1992 | Carry on Columbus (en) | |
1993 | ミュータント・ニンジャ・タートルズ3 Teenage Mutant Ninja Turtles III (en) |
|
1994 | グッドマン・イン・アフリカ A Good Man in Africa |
|
1996 | たのしい川べ[注 10] The Wind in the Willows |
|
1997 | キャプテン・スター Captain Star |
テレビシリーズ、4エピソード |
2004 | Fascination (en) | |
2006 | The Large Family (en) | テレビシリーズ |
2007 - | モンティ・パイソン ノット・ザ・メシア Not the Messiah (He's a Very Naughty Boy) |
コミック・オラトリオ |
2015 - | Clangers (en) |
年 | 作品名 | 提供曲 | 備考 |
---|---|---|---|
1981 | バンデットQ Time Bandits |
Me and My Shadow | 編曲[33] |
1983 | 人生狂騒曲 The Meaning of Life[34] |
The Meaning of Life Oh Lord Please Don't Burn Us Galaxy Song |
|
クリムゾン 老人は荒野を目指す The Crimson Permanent Assurance[注 9] |
Accountancy Shanty[34] | ||
1986 | 上海サプライズ Shanghai Surprise |
Hottest Gong in Town Zig-Zag |
編曲 |
1991 | ミュータント・ニンジャ・タートルズ2 Teenage Mutant Ninja Turtles II: The Secret of the Ooze |
(That's Your) Consciousness | |
1993 | 相続王座決定戦 Splitting Heirs |
Somebody Stole My Baby[35] | |
2006 | ライアンを探せ! The Wild |
Really Nice Day Really Nice Day Finale[注 1] |
|
2008 | BCN aixeca el telo | The Song That Goes Like This | テレビシリーズ |
2009 | Monty Python: Almost the Truth - The Lawyers Cut | Fuck Christmas The Galaxy Song |
テレビシリーズ |
年 | 作品名 | 備考 |
---|---|---|
1982 | キース・ハリス・ショー The Keith Harris Show |
モダン・ロマンスとして、1回 |
Get It Together | テレビシリーズ、話名不明 | |
Best Years of Our Lives | モダン・ロマンスとして、ミュージック・ビデオ | |
1982 - 83 | トップ・オブ・ザ・ポップス Top of the Pops |
モダン・ロマンスとして、出演日不明 |
The Krankies Club[注 11] | テレビシリーズ、3話、モダン・ロマンスとして | |
1983 | The Russell Harty Television Show[注 7] | モダン・ロマンスとして、出演日不明 |
High Life | モダン・ロマンスとして、ミュージック・ビデオ | |
Don't Stop That Crazy Rhythm | ||
Walking in the Rain | ||
Good Friday | ||
Rod and Emu's Saturday Special[注 12] | モダン・ロマンスとして、1話 | |
2005 | 第59回トニー賞 The 59th Annual Tony Awards |
テレビ・スペシャル番組 |
2006 | The South Bank Show (en) | テレビシリーズ・ドキュメンタリー、1話 |
2009 | Monty Python: Almost the Truth - The Lawyers Cut | テレビシリーズ、3話 |
2009 | モンティ・パイソン ノット・ザ・メシア ロンドン公演 Not the Messiah (He's a Very Naughty Boy) |
指揮者として |
2014 | モンティ・パイソン 復活ライブ! Monty Python Live (Mostly) |
年 | 作品 | 賞名 | 結果 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2005年 | スパマロット Monty Python's Spamalot |
第48回グラミー賞 最優秀ミュージカル・ショー・アルバム賞 (en) 48th Grammy Awards for Best Musical Show Album |
受賞 | エリック・アイドルとの共同受賞[36] |
第59回トニー賞 最優秀劇場向けオリジナル・スコア(曲または詞)賞 59th Tony Award for Best Original Score (Music and/or Lyrics) Written for the Theatre |
ノミネート | 曲:ジョン・デュ・プレ&エリック・アイドル、詞:エリック・アイドル[37] | ||
第59回トニー賞 最優秀ミュージカル賞 59th Tony Award for Best Musical |
受賞 |
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