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アメリカ合衆国の写真家、ジャーナリスト ウィキペディアから
デビッド・ダグラス・ダンカン(David Douglas Duncan、1916年1月23日 - 2018年6月7日)は、アメリカの報道写真家。太平洋戦争においてはアメリカ海兵隊予備役、朝鮮戦争、ベトナム戦争においては従軍写真家[1]として活動。太平洋戦争終結となる戦艦ミズーリ上での日本の降伏文書調印の様子の写真や、パブロ・ピカソのポートレート写真、およびピカソ作品の写真集で知られる。また、日本光学工業(現:ニコン)製カメラおよび同社製レンズ「ニッコールレンズ」を世界に広めた立役者としても知られる[1][2]。
ダンカンがニッコールレンズと出会ったのは1950年6月のことである。[1]当時、日本美術の撮影に勤しんでいたダンカンは契約カメラマンとして、タイム・ライフ誌の東京支社にいた。のちにダンカンのアシスタントになる写真家・三木淳は、日本人唯一のタイム・ライフ誌カメラマンとして同じく東京・京橋にある同社の東京支社内にいた[1]。
ある日、三木の友人である写真家・村井龍一がタイム・ライフ社を訪問した[9][10]。その彼のカメラには"Nikkor P・C 8.5cm F2"[2]がつけられていた。三木はそのカメラでダンカンを撮影した。当時の日本製品には「物まねはうまいが品質はイマイチ」というイメージがついていたため、その先入観に囚われたダンカンは当初、「日本製のゾナーか?」と興味を示さなかったという[1]。
後日、三木が現像した肖像写真を見たダンカンの表情が急変した。自身の肖像写真がシャープに描かれていたのである。ダンカンはルーペを持ち出してその写真をチェックし、『日本製ゾナーレンズ』のもつ描写のシャープさを見抜いた。そして「このレンズを作っている工場に行きたい。」と三木に伝えたという[1][2][10]。
翌日、ダンカンは三木、「フォーチュン誌」の写真家ホレス・ブリストルを連れて、日本光学の大井工場を訪問。当時、日本光学社長であった長岡正男は3人をレンズの検査室に案内し、投影検査機でダンカン、ブリストルの手持ちのレンズとニッコールレンズの性能比較を見せたという。それを見て,ダンカンは「素晴らしい」 を連発し、「日本へ来てこんな素晴らしいレンズを発見できてこんな嬉しいことはない」、とまで評し[10]、『ニッコールレンズ』の性能に驚いた2人は、その場でライカスクリューマウントのニッコールレンズを購入した[1]。
ダンカンは、ニッコールレンズと出会ってから、毎日のように同工場へ通って検査室へも入っており[10]、1948年に日本光学に入社した脇本善司によれば、ダンカンが「今あるレンズを全部見せろ」といった、と述べている[10]。
その直後、朝鮮戦争が勃発。2台のライカに"Nikkor SC 5.0cm F1.5"と"Nikkor Q 13.5cm F4"をつけたダンカンは朝鮮戦線で、一貫してニッコールレンズを使用し、多くの写真を撮影した[1]。特に"Nikkor SC 5.0cm F1.5"は、彼の代表作の人一つ"これが戦争だ!(This Is War!)"に「,ライカⅢ c の1台に5cm の 標準レンズを他の1台に望遠レンズを装着した」、と記録が残っている。ダンカンを始めとするタイム・ライフ誌のカメラマン達は、朝鮮戦線で撮った写真を東京へ持ち帰り、三木達がそれを引き伸ばして、電送でニューヨークの本社に送ったところ、タイム・ライフ本社から「いつものレンズとは違って大変シャープだが、何を使っているか」との問い合わせがきた。ダンカンは「日本のニッコールだ」と返信した、と三木が記録している[10]。これをきっかけとしてニッコールレンズおよびニコンSなどのカメラがアメリカの写真家たちを席巻。ニッコール、もとい日本光学の名が世界を轟かせた瞬間であった[1]。
ダンカンはのちに、ニコンの公式ファンクラブであるニッコールクラブの設立に携わるなど、ダンカンとニコンの関係は親密なものとなった。ニコンは1965年にはニコンFの製造20万台目のカメラをダンカンに寄贈している。
2018年のダンカンの死後翌日、ニコンは公式サイトを通して追悼声明を公表。ダンカンを「ニコンが世界に認められるきっかけを生み出した、ニコンにとっての大恩人」と評し、「世界のジャーナリズムに与えた多大な貢献」を称えるとともに、「互いに一世紀以上を生き抜いてきた盟友」の死を悼んだ[11]。
ニコンホームページ内には、ニコン創立100周年を記念して、ダンカンが97歳時のインタビューを公開している[1]。
ここでは、ウィキメディア・コモンズ上にある、ダンカンの撮影した写真を提示する。
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