一寸法師 (江戸川乱歩)
江戸川乱歩による日本の小説 ウィキペディアから
江戸川乱歩による日本の小説 ウィキペディアから
『一寸法師』(いっすんぼうし)は、江戸川乱歩の中編小説。『地獄の道化師』などと並び微妙な分量であり、長編と呼ばれることもある。
『東京朝日新聞』に1926年12月8日から1927年2月20日まで、『大阪朝日新聞』に1926年12月8日から1927年2月21日まで掲載された。東西同時掲載だったが、大正天皇崩御などの重要事件が相次ぎ、特別紙面が組まれた影響で掲載日にずれが生じ、『大阪朝日新聞』では最後の4回を3回に圧縮した。
山本有三が病気により小説連載を中断することとなったため、急遽ピンチヒッターとして乱歩が小説を掲載することとなった。急な連載、かつ長編には慣れていなかったため、ストーリーがまとまらず、たびたび休載し、細部の詰めなども甘く、内容も乱歩としては満足できるものではなかった。特に、それまで短編で本格探偵小説を書いてきた乱歩としては、本作は通俗的な作品として、羞恥の対象であったことを何度も発言している。事実、本作と並行して書かれた『パノラマ島奇譚(奇談)』を脱稿すると、乱歩は小説を休筆し、妻子をおいて旅に出ている。次に『陰獣』で復活を果たすのは1年以上もあととなった。
一方で、のち、一世を風靡することとなる戦前の乱歩の「通俗長編もの」の嚆矢ともなった作品でもある。実際、本作も人気を集め、連載の同年に映画化されるなど(乱歩作品初の映画化)反響は大きかった。[1]
ある夜、浅草公園で休んでいた小林紋三は背の低い男が落とした風呂敷包みから人間の手足がこぼれ落ちるのを目撃する。不審に思った小林は男の後を追いかけ、養源寺という寺に入るのを確認する。翌日、小林は養源寺を訪ね住職に背の低い男について尋ねるが、「心当たりはない」と住職に追い返されてしまう。寺の周辺の人々も背の低い男に覚えがないという。何ら手がかりを得られないまま下宿に戻る途中、小林は実業家の山野大五郎の妻・百合枝に遭遇する。百合枝は義理の娘の三千子が失踪したと述べ、捜査のために探偵の明智小五郎を紹介して欲しいと小林に懇願する。明智の貧窮時代、小林は明智と一緒に生活したことがあり、明智とは顔なじみであった。
屋敷は厳重に戸締まりをしていたにもかかわらず、ある日突然、三千子が姿を消してしまったという話を百合枝から聞いた明智は山野邸を徹底的に捜索し、ピアノから三千子のものと思われる髪の毛とヘアピンを発見する。さらに使用人から事情聴取をおこなった明智はゴミの回収があって間もないのにもかかわらず、外に置いてあったゴミ箱がいっぱいになり、区役所の清掃職員がゴミを回収していったという話を聞き出す。そこから、明智は三千子はいったんピアノの中に隠された後、ゴミと一緒に外に連れだされたのではないかと推理する。
そのころ、銀座のとある百貨店の呉服売り場の飾り人形の片手が人間の女性の手とすり替えられるという事件が起こる。明智は密かにその手の指紋を入手し、三千子の部屋に残された指紋と照合すると、指紋は一致した。前夜、その百貨店では宿直員によって背の低い男が目撃されていたが、その男は忽然と行方をくらませていた。さらに山野邸に若い女性の手が送りつけられる。この手の指紋も三千子の部屋に残された指紋と一致した。
一方、百合枝は何者かに呼び出され、怪しい男と密会する。百合枝の様子を不審に思った小林は百合枝の後を追いかけるが…。
果たして三千子に何が起こったのか?そして、殺人事件の犯人は誰だろうか?
光文社文庫『江戸川乱歩全集第2巻 パノラマ島綺譚』(2004年)
聯合映画芸術家協会制作、志波西果監督。乱歩の作品では初めての映像化である。
監督の志波は制作途中で降板したため、後半部分は脚本の直木三十五が演出している。そのため、監督は志波と直木の連名とされることもある。
松竹制作。
新東宝制作。映像ソフトでは題名を『江戸川乱歩の一寸法師』としているものもある。
2004年公開の映画。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.