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かつて北陸鉄道が日本の石川県小松市で運営していた鉄道路線 ウィキペディアから
小松線(こまつせん)は、石川県小松市の小松駅から、同市の鵜川遊泉寺駅を結んでいた北陸鉄道の鉄道路線[3]。モータリゼーションの進行による利用者の大幅な減少により、北陸鉄道の経営合理化の対象となり、1986年(昭和61年)5月31日限りで全線廃線となった。
ほぼ中間に位置する加賀八幡駅が交換駅で朝夕は約20分毎、日中は約60分毎の運行で、廃止時点では1日に20往復が設定されていた。
小松線の前身となる白山電気鉄道(免許時白山鉄道)は、鳥越村の金名鉄道(後の北陸鉄道金名線)釜清水駅に至る構想で[6]、鳥越村の鈴木源平ほか67名の発起により、1926年(大正15年)3月に能美郡小松町-同郡中海間の敷設免許状が下付されたことに始まる。11月に会社を設立し、資本金65万円としたが株金の払込がすすまなかったため、不足分を借入金でまかない[注釈 1]工事をすすめ、1929年(昭和4年)5月になり小松 - 遊泉寺(後の鵜川遊泉寺)間の開業をむかえることになる。ところが開業間もない12月には、債権者の訴えにより破産宣告を受けた[7]。これは1930年(昭和5年)4月、抗告により破産宣告取消となったが、その後も経営者は度々変わり、株主総会決議無効確認の訴訟など内紛もあった[8]。負債は累積しついに半額減資し、その後175,000円の増資を行って資本金を50万円とした[9]。
やがて戦時体制になり、鵜川遊泉寺近くの洞窟に海軍軍需部の施設や中島飛行機の疎開工場が建設された[10]。また北陸本線の手取川橋梁が破壊された時の迂回路として、1945年(昭和20年)5月に鵜川遊泉寺 - 加賀佐野間の免許が申請された。県当局(県警察)は私鉄統合による統制を進めていき、1942年(昭和17年)に発足した北陸鉄道により統合は具体化していった。最後に残った小松電気鉄道は、浅野川電気鉄道とともに合併には否定的であったが、北陸鉄道に石川県警察部の推薦で支配人に入った前保安課長西村朝栄が合併につとめ、反対していた社長の町谷彦作を小松署に拘留している間に、北陸鉄道への統合を完成させた[11]。
戦後は通勤・通学の足として、1967年(昭和42年)には約212万6000人の利用客があった。しかし以降は並行道路の整備により利用客は急減。1983年(昭和58年)には約62万3000人まで落ちこんだ。駅の無人化などで経費を削減したが、収支は悪化するばかりで、ついに1984年(昭和59年)に小松市長に小松線廃止の申し入れを行った[1]。道路整備の遅れや、代替バスが自社のものではなく旧・尾小屋鉄道の小松バス(当時、現在の北鉄加賀バス)であることなどがネックとなり、折衝は難航したが、1986年(昭和61年)4月にバス代行同意にいたり、同年5月31日限りで廃止となった[2][12][6]。
小松線の近年の輸送実績を下表に記す。表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年度別輸送実績 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 輸送密度 人/1日 |
特 記 事 項 | |||
通勤定期 | 通学定期 | 定 期 外 | 合 計 | |||
1977年(昭和52年) | 26.0 | 43.5 | 35.7 | 105.3 | 1,782 | |
1978年(昭和53年) | 29.3 | 41.8 | 32.7 | 103.9 | 1,784 | |
1979年(昭和54年) | 21.2 | 35.1 | 33.6 | 90.0 | 1,591 | |
1980年(昭和55年) | 17.7 | 29.8 | 34.2 | 81.9 | 1,456 | |
1981年(昭和56年) | 15.6 | 27.4 | 31.3 | 74.4 | 1,321 | |
1982年(昭和57年) | 13.2 | 23.0 | 29.1 | 65.2 | 1,162 | |
1983年(昭和58年) | 12.1 | 21.2 | 29.0 | 62.3 | 1,094 | |
1984年(昭和59年) | 10.0 | 19.1 | 24.2 | 53.3 | 950 | |
1985年(昭和60年) | 8.2 | 21.1 | 25.6 | 54.9 | 961 | |
1986年(昭和61年) | 1.1 | 2.6 | 5.0 | 8.7 | 992 | 廃止 |
小松線の近年の収入実績を下表に記す。表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年度別収入実績 | |||||||
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年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 | ||||
通勤定期 | 通学定期 | 定 期 外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1977年(昭和52年) | 41,273 | ←←←← | 37,592 | 27 | 78,892 | 661 | 79,554 |
1978年(昭和53年) | 44,042 | ←←←← | 41,050 | 32 | 85,125 | 770 | 85,896 |
1979年(昭和54年) | 43,496 | ←←←← | 45,028 | 35 | 88,560 | 842 | 89,403 |
1980年(昭和55年) | 37,558 | ←←←← | 45,510 | 47 | 83,116 | 1,049 | 84,166 |
1981年(昭和56年) | 33,127 | ←←←← | 41,820 | 55 | 75,003 | 1,507 | 76,511 |
1982年(昭和57年) | 27,846 | ←←←← | 38,858 | 64 | 66,768 | 1,108 | 67,876 |
1983年(昭和58年) | 28,057 | ←←←← | 43,358 | 61 | 71,476 | 858 | 72,335 |
1984年(昭和59年) | 27,207 | ←←←← | 39,968 | 78 | 67,253 | 1,219 | 68,471 |
1985年(昭和60年) | 27,655 | ←←←← | 45,416 | 82 | 73,153 | 984 | 74,137 |
1986年(昭和61年) | 3,908 | ←←←← | 9,614 | 0 | 13,522 | 200 | 13,722 |
年度別実績 | |||||||
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年度 | 輸送人員(人) | 貨物量(トン) | 営業収入(円) | 営業費(円) | 営業益金(円) | その他損金(円) | 支払利子(円) |
1929 | 201,936 | 213 | 19,412 | 23,098 | ▲ 3,686 | 40,804 | |
1930 | 193,388 | 287 | 19,133 | 23,703 | ▲ 4,570 | 雑損125,470 | 56,002 |
1931 | 180,059 | 500 | 18,161 | 19,425 | ▲ 1,264 | 雑損338 | |
1932 | 164,721 | 506 | 16,814 | 14,909 | 1,905 | 雑損1,290 | 33,539 |
1933 | 201,357 | 1,857 | 20,422 | 17,353 | 3,069 | 不用地売却差損7,190 | 413 |
1934 | 215,928 | 2,217 | 21,986 | 20,559 | 1,427 | 償却金500 | 120 |
1935 | 250,201 | 548 | 報告書未着 | ||||
1936 | 122,911 | 12,857 | 11,007 | 1,850 | 償却金1,850 | ||
1937 | 352,562 | 17,847 | 67,520 | 64,927 | 2,593 | 853 | |
1939 | 450,657 | 740 | |||||
1941 | 573,143 | 770 | |||||
1943 | 797,323 | 5,563 | |||||
1945 | 1,060,273 | 6,206 | |||||
廃止後は、廃止代替バスとして旧小松バス(2021年7月1日に、加賀温泉バスと合併し北鉄加賀バスに社名変更)が、小松駅と鵜川遊泉寺の先のハニベ前まで路線バスを運行しているが[29]、利用客減のため2024年4月時点では平日7往復・土休日5往復に減回されている。
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