トップQs
タイムライン
チャット
視点

エメリー・ワールドワイド17便墜落事故

ウィキペディアから

エメリー・ワールドワイド17便墜落事故
Remove ads

エメリー・ワールドワイド17便墜落事故は、アメリカ合衆国ネバダ州リノからカリフォルニア州サクラメントを経由してオハイオ州デイトンへ向かう国内定期貨物便だったエメリー・ワールドワイド17便が2000年2月16日にサクラメント・マザー空港から離陸した直後に墜落し、3人の乗員全員が死亡した事故である。

概要 事故の概要, 日付 ...

国家運輸安全委員会(NTSB)の調査によると、離陸中に右の昇降舵のコントロールを失ったことが原因とされた。NTSBはさらに、エメリー・ワールドワイドによって行われた間違ったメンテナンス手順が、昇降舵の制御棒のボルトに過大なトルク負荷をもたらしたことも明らかにした[1][要ページ番号]

15の勧告がNTSBによって発行された。推奨事項の1つは、アメリカのすべてのDC-8を検査して、昇降舵のタブの取り外しによって発生する可能性のある墜落を防止することだった。連邦航空局はその後100以上のメンテナンス違反を発見した。エメリー・ワールドワイドは、2001年8月13日に運行を終了した[1]

Remove ads

事故の経緯

Thumb
エメリー・ワールドワイドのDC-8-71F

17便はネバダ州リノ・タホ国際空港からカリフォルニア州サクラメント・マザー空港を経由してオハイオ州ジェームス・M・コックス・デイトン国際空港へ向かう国内定期貨物便だった。3人の乗員を乗せたダグラス DC-8-71F(N8079U、1968年製・元ユナイテッド航空[2])はアメリカの大手航空貨物会社エメリー・ワールドワイドが運行していた[1]

タクシーチェックリストを完了した後、乗員は現地時刻19時47分頃に離陸前チェックリストを開始した。サクラメント管制に滑走路22Lからの離陸許可を要請した。17便は離陸滑走を開始した[1]

機体がV1離陸決心速度)に達し、機長がローテートと告げた。FDRによるとピッチは機首上げ0.2度から機首上げ5.3度に増加した。乗員が操縦桿を押している(機首下げ)にもかかわらずピッチは増え続けた。この間、操縦桿は前方14.5度から17.4度まで押されており、エレベータの角度は上向き(機首上げ)約5.5度から8.6度に増加している[1]:3-4

機体が滑走路から離陸した直後、航空機は左旋回し、副操縦士が早急にサクラメントに戻りたいと告げた。エンジンのRPMが低下し始め、スティックシェーカーが作動し始めた。機長は緊急事態を宣言した。機体は不安定に動き始め、ピッチとバンク角が減少し始め、17便は降下し始めた[1]

機長はエンジンの回転数が上昇し始めると緊急事態宣言を繰り返した。17便は11度に傾きながら降下していた。その後、機体は上昇し始めるが、それにつれて左へ傾いていった。機長はサクラメント管制に非常にコントロールが難しい状況にあると伝えた[1][3]

17便は北西方向に飛行を続けていたが乗員は、機体を安定させようとしていた。地上近接警報システム(GPWS)が鳴り始め、19時51分に、左主翼が中古車回収場の南東端に隣接する2階建ての建物に取り付けられたコンクリートとスチールの支柱に接触した。DC-8は空港から1キロほどの中古車回収場に墜落し、何百台もの車に衝突しながら炎上した。乗員3人は全員死亡した[1][4]

Remove ads

事故原因

コックピット・ボイス・レコーダーの記録によると、離陸して10数秒後には、副操縦士が空港へ引き返すと機長らに話した。また当初、乗員らは荷崩れが起きたと考えていたが、最終的には、昇降舵の異常であると考えていたようだった[5]

機体の残骸を調査した結果、右のエレベーター・クランクとプッシュロッドを繋ぐボルトが欠落しており、プッシュロッドの後端も比較的無傷だった。一方、左側はボルトがしっかりと付いており、プッシュロッドは折れ曲がっていた。FDRの記録から、離陸時の昇降舵異常はボルトの脱落によるものだと推定された。また、右側のボルトは、サクラメントへの着陸時に脱落したと考えられた。離陸滑走時に、昇降舵に空力的な負荷がかかり、クランクとプッシュロッドが接触した。それによって、右の昇降舵は極端な機首上げ状態になった[1]:66-67

ボルトは、本来ピンによって固定されているが、事故機の右側のボルトにはピンが付いていなかったと推定される。事故機は、墜落の少し前にD検査とメンテナンスを受けており、そのどちらかでピンを付け忘れたと思われるが、どちらの検査で起こったかは特定できなかった[1]:68

国家運輸安全委員会(NTSB)は、事故の3年後の2003年に最終報告書を発表した。報告書によると、17便の墜落は、右の昇降舵制御タブの脱落によって引き起こされたと述べられている。脱落は、取付けボルトを適切に固定して検査することをしなかったために生じた[6]

Remove ads

CVRの記録

要約
視点

不明瞭な発言は#で示しており、一部省略した部分もある[5]

さらに見る 時間, 発言者 ...
Remove ads

同様の事故

映像化

脚注

関連項目

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads