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クロム

原子番号24の元素 ウィキペディアから

クロム
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クロム: chromium [ˈkroʊmiəm]: Chrom [ˈkroːm]: chromium: )は、原子番号24の元素元素記号Crクロム族元素のひとつ。

概要 外見, 一般特性 ...
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名称

1797年酸化状態によってさまざまな色を呈することからギリシャ語χρωμα(chrōma、色)にちなんでルネ=ジュスト・アユイにより命名された[2]。別名クロミウム

性質

クロムは銀白色の金属で硬く、融点は1907 °C、沸点は2671 °C(ほかに融点に関しては1857 °C、沸点に関しては2200 °C、2690 °Cという値がある)[3][信頼性要検証]ネール点は34.85 °C。

クロムには3つの同素体(α、β、γ)があり、それぞれの結晶構造は体心立方格子構造面心立方格子構造六方最密充填構造である。

歴史

1797年フランスルイ=ニコラ・ヴォークランによってシベリア産の紅鉛鉱(クロム酸鉛、PbCrO4)から発見された。ヴォークランはこの翌年(1798年ルビーが赤いこと、エメラルドが緑色であることについて、クロムが不純物として入っているためであることを発見した[2]

かつて、兵馬傭坑より出土した青銅の剣や矛・戟・弓矢からクロムが検出されたこと、またそれらの多くに錆びた痕跡がないことから、代にクロムによる耐食加工技術が用いられていたという説が唱えられていたが[4]、2019年の調査によって、クロムは兵士像に塗布されていた塗料由来のものであり、耐食加工の痕跡ではないことが明らかにされた [5]

用途

金属としての利用は、光沢があること、硬いこと、耐食性があることを利用するクロムメッキとしての用途が大きい。また、鉄と10.5 %以上のクロムを含む合金フェロクロム)はステンレス鋼と呼ぶ。ステンレス鋼ではクロムが不動態皮膜を形成し、ほとんどを生じないため車両機械といった重工業製品から流し台包丁などの台所用品まで幅広い用途がある。

この金属は産業上、重要性が高いものの、産出地に偏りがあり供給構造が脆弱である。日本では、国内で消費される鉱物資源の多くが他国からの輸入で賄われている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として、国内消費量の最低60分を国家備蓄すると定められている。

必須元素としてのクロム

クロムは人間にとって微量必須元素である。1日の必要量は50200 μg。クロムを多く含む食品は、ビール酵母レバーエビ、未精製の穀類豆類キノコ類黒胡椒などである。

クロムは、インスリンが体内でレセプターと結合するのを助ける働きをしている耐糖因子を構成する材料となるため、クロムが体内で不足すると、糖代謝の異常が起こり糖尿病の発症に至る可能性がある[6]

もともとクロムは体内に吸収されにくいミネラルであるが、穀物を精製するとクロムが大幅に失われてしまう問題が存在する。小麦粉の場合、精白すると98 %のクロムが失われ、を精米すると92 %のクロムが失われるとされている。そのため、体内へのクロム吸収率の向上を図ったサプリメントなども開発・販売されている[要出典]

クロムの毒性

クロム単体および3価のクロムは毒性がない[6]一方で、6価のクロム化合物(六価クロム)は毒性が高い。かつては六価クロムをメッキ用途として使うことが多かったが、土壌汚染を起こすなどでしばしば問題視され、亜鉛メッキ上のクロメート処理では使われなくなってきているが、クロムメッキでは酸化クロム(VI)を使用したメッキ液が主流である。また、たばこに含まれる発がん性物質としても知られる。

4価のクロム化合物はWHOの下部機関IARCより発癌性があると(Type1)勧告されている。

RoHS規制物質としてのクロム

EU-RoHSにおいては6価クロムの濃度を0.1 %以下に抑えること、中国版RoHSにおいては意図的添加、処理を規制対象としている。検出方法としてはジフェニルカルバジド法を用いる。これは6価クロムが1,5-ジフェニルカルボノヒドラジドと酸性溶液中で反応してクロム‐ジフェニルカルバゾン錯体を形成することを利用したもので、紫外可視分光光度計を用いて吸光度を測定し、濃度を求める。この際、共存元素(3価、5価バナジウム、6価モリブデン)の影響を受ける。

クロムの化合物

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五重結合状態のクロム化合物を化学構造式で表現した図
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同位体

国別の産出量

2019年における国別の産出量は以下の通りである[7]

さらに見る 順位, 国 ...

出典

関連項目

外部リンク

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